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(idea 2025年12月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
写真:岩手県立農業大学校農業祭での演舞
(令和6年10月)
大原村(現大東町大原)の山口集落で流派が確立され、渋民村(現大東町渋民)での伝承を経て、明治中期に摺沢村(現大東町摺沢)の小沼集落に伝承。戦時中に中断したものの、昭和25年に地元の踊り手らが復活させ、昭和35年に小沼鹿踊保存会を結成。
住所:一関市大東町摺沢字小沼64(小沼公民館)
TEL:090-1939-4023(事務局 菊池)
田畑を荒らす鹿を追い払うため、百姓たちが鹿の姿に変装し、太鼓を打ち鳴らして舞った姿が起源(諸説あり)とされる「小沼鹿踊」。県内でも特に古い歴史を持つ「行山流山口派」の系統であり、その起源は室町時代末期の宮城県志津川町(現・南三陸町)の水戸辺集落に遡ります。
享保時代、水戸辺集落で伝授を受けた大原村山口集落の加藤又助は、偶然にも、安永2年(1773年)に藩公の前で踊りを披露する栄誉を得ると、感銘を受けた藩公から「伊達家の家紋使用許可」を含む八つの心得「行山踊之事」を拝領。「行山流山口派」が確立され、又助の家が総庭元となります。
文化14年(1817年)、山口集落で伝授を受けた渋民村の小崎幸五郎も庭元となり、明治中期に摺沢村小沼集落の三浦利三郎に継承。小沼集落での鹿踊りは大正2年頃から全盛期を迎えますが、第二次世界大戦で中断。昭和25年に鹿踊りを経験した青年層が復活させると、昭和35年に保存会が結成され、現在に至ります。
令和7年4月からは、組織を若手中心とし、これまで会の中心だった役員・踊り手らは「顧問」という位置づけで継承に携わっています。今年度から顧問となった三浦義博さんと那須満さんは、那須勉さん(当時の会員)を中心として、岩手県立大原商業高等学校※1(以下、大原商業)で鹿踊部生徒らの指導をするなど、新たな継承の仕組みづくりにも尽力しました。
※1 平成18年に岩手県立大東高等学校と統合。
小沼鹿踊りの演舞は、鹿の群れのボス的存在である中立を中心に8人一組で構成されます。中立は、群れの最年長であるため、鹿頭には白髪が混ざるなど、装束や太鼓が他と異なります。その後方に牝鹿が、そして6人の側鹿が役割を分担し、腰の太鼓を打ち鳴らしながら勇壮に舞います。
演目は、基本の「礼庭」をはじめ、鹿の群れの動作を表現した「役踊り」が約10種類あり、舞の一つ一つに意味・物語があります。イベント等での演舞のほか、先祖供養、五穀豊穣、家内安全といった神事等にも合わせて奉納されており、三浦さんは「平成21年を最後に現在は行われていないが、かつて集落内ではお盆に故人の位牌の前で『墓踊り』を奉納する慣習があった」と、振り返ります。
当初は小沼集落内の住民のみで構成していた保存会ですが、平成初頭に入ると踊り手の減少という課題に直面。そんな折、大原商業の学校創立50周年記念で、地域の伝統芸能として鹿踊りを披露して欲しいと声がかかります。若い世代に知ってもらうことが、踊り手確保に繋がるかもしれないと考えた同会は、同校で披露すると共に(平成5年)、保存会への加入について、「集落外にも門戸を開く」と決断します。
これを機に大原商業と同会との連携が始まると、平成7年からは同校の総合学習で鹿踊りへの取組が始まり、翌年には鹿踊部※2が創部します。これは、「若手踊り手を学生時代に経験し、地元就職後に保存会へ迎え入れたい」という、同会の新たな継承戦略でした。
※2 鹿踊部は統合した岩手県立大東高等学校に引き継がれ、現在も活動中。また、同保存会が指導にあたっている。
同会事務局で、鹿踊部出身の菊池太一さんは、「『ザ=右』『コンコ=左』というふうに、三浦さんが音を文字に起こしてくれ、それを覚えた」と当時を振り返り、三浦さんも「音を文字に起こすのは本当に大変だった。鹿踊りの伝統的な伝承方法は口伝。踊りと太鼓のリズムを一体化させて習得するものだからね」と語ります。「若い世代に音だけでなく視覚的にも覚えてもらうきっかけづくり」と当時の教材を手にメンバーらも懐かしみます。
今年度から、20代~40代の若手運営へと一新した同会。会員7名※3のうち5名が鹿踊部OBで、組織の核となっています。「互いに仕事をしながらの活動なので大会やイベント出演時にはメンバーが揃わない時も。そんな時は、市内の同じ流派の他団体との助っ人交流や部活経験者にも協力を仰ぐなど、人の繋がりを大切にしている」と、会長の那須雄治さん。「伝統は、人の繋がりの上に成り立つ」という信念のもと、那須会長は「保存会メンバーや経験者を減らさない努力」を最優先に考え、鹿踊部との絆を深めることはもちろん、流派内の団体を越えた協力体制で、鹿踊りの命脈を保ち続けています。
※3 うち、小沼集落以外の会員が5名。
開館時間
9時~18時
休館日
祝祭日
年末年始
(12月28日から翌年1月4日まで)
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