毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第77話(idea 2025年8月号掲載)

今月のテーマ

 

地域運営の落とし穴 (61)

地域づくりは生きる対策

「セーフティーネット」を構築し、みんなが生きやすい地域に

 普段、私たちは何気なく「生活」という言葉を使っていますよね。「生きる活力」という意味で「生活」を使用する場合、人間が生きるために活力を持つと考えれば、‘生きるために頑張ること’や、‘何か担うこと’を指すような気がします。「生きて活動する」という意味で「生活」を使用する場合、毎日生きているからこそ、‘炊事、掃除、洗濯のような家事的なこと’であったり、‘働いたり地域活動に参加したりする社会的なこと’であったりを指すのでしょう。

 

 「生活」とは、‘生存する面’と、‘人間的・社会的に暮らしていく面’の両面を意味するのかもしれませんね。この「生活」が展開されるのが、「地域コミュニティ」というフィールドなのです。地域づくりと聞くと、賑やかな事業をイメージする方が多いと思いますが、生活の場としての地域を考えると、「生活を支えるために地域づくりがある」のだと、広義的な考え方が求められます。

 

 地域づくりだからと言って‘イベントだけ’や‘楽しいだけ’の事業ばかり実施していたら、生きにくさを感じている人や、誰かの助けを求めている人に手を差し伸べることができなくなってしまいます。

 

 ここ10年程度で「孤独死」の話題は、地域の話し合いで頻繁に耳にするようになりました。独居や老々介護世帯の増加が進んでいる影響が強いのですが、地域の役員さん方は、「何か防ぐ手立てはなかったのか……」と落胆しています。一方で、当市では自死率も高いのですが、地域の話題ではなかなか出てきません。

 

 以下は、「一関市第2次自死対策推進計画」※からの抜粋です。

 ※一関市のHPから確認できます。 

フクロウ 一関市第2次自死対策推進計画

■当市の自死の現状としては、平成21年から令和4年までの年間自死者数は、平成21年の54人が最も多く、以降、増加・減少を繰り返し、令和4年はピーク時の約4割となっています。

■性別にみると、いずれの年も男性が女性を上回っていますが、令和2年や4年のように男女の差が小さい年もあります。

■年代別自死者数は、80歳以上が最も多くなっています。性別にみると、男性では40代、女性では80歳以上が最も多くなっています。

■原因・動機別自死者数は、「健康問題」が最も多く、「不詳」を除き、「経済・生活問題」「家庭問題」の順に多くなっています。

■若年層の死亡原因は、県及び一関保健所管内(一関市・平泉町)の若年層(10歳から39歳まで)の主な死亡原因は、全ての年代で「自死」が上位を占めています。

 

 「自死」はデリケートなことも含まれるため、「触れてはいけないのではないか」と思ったり、身近なところで起きない限り、どこか他人事で考えることもあるでしょう。しかし、誰でも可能性があることなので、その前に気づくことや、「助けて」と言える環境整備(セーフティーネット)は必要です。

 

 ある地域でワークショップをしたところ、民生児童委員・PTA・交通安全協会の面々が同じテーブルになり、「つながりたかったんです!」となった場面がありました。PTAとしては、子どもたちの通学等の安心安全のために、民生児童委員やスクールガード(=学校や通学路で子どもたちを見守るボランティア)とつながりたかったのです。同様にスクールガードも、立ち合いの頻度や時間帯など親の声を聞きたかったし、民生児童委員もPTAとの連携を望んでいました。要するに、‘子どものためのセーフティーネット’を構築したかったのですね。

 

 一関市の自死対策推進計画の目指す姿は、「『生きる』をささえるいちのせき」としています。住民一人ひとりが生きる地域を暮らしやすくするために地域づくり活動があり、その地域づくり活動を推進するために自治会(住民自治組織)があるのです。まさにセーフティーネットですね。

 

 最近では、自治会(集落)の規模縮小により、セーフティーネットの構築が不安定になっています。そのため、地域協働体(RMO)の存在が重要となり、地域づくりに集落支援は関係ないとは言い切れません。そもそも、事業の根拠と住民の意見と参加がないと事業をすることができないため、地域で何かをしたければ、住民の日々の生活を見たうえで判断することが求められます。「市民誰もがゲートキーパー(=悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聴いて、必要な支援につなげ、見守る人)」を基本とする、一関市の自死対策推進計画ですが、自死に限らず、市民の誰もが、‘生きる対策’を推進することで、セーフティーネットが構築される地域になるのです。

 


 

 

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