(idea 2019年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

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親と子の居場所づくり ~地域の子育て世代の今を見つめる~

NPO法人いちのせき子育てネット代表 岩渕豊子さん

 一関出身。保険会社勤務で全国を回り一関へUターン。自宅で保険代理店を営む中、地域の保健推進員から一関保健センターの託児ボランティアに誘われ子育て支援に関わり始める。

その後、子育て支援に関する研修を通し、任意団体「ゆずりは」を立ち上げ2年間活動。県の事業を受託し大町商店街内のビルに子育て支援の場として「おやこ広場」を開設。平成20年には、「NPO法人いちのせき子育てネット」を設立し代表を務める。

対談者 NPO法人いちのせき子育てネット 岩渕豊子 さん

聞き手 いちのせき市民活動センター 主任 佐々木牧恵

 転勤先の神奈川県川崎市で子育てをしていた際、「困りごとがあればすぐに周りのおばちゃん達が家に駆けつけ助けてくれた」と話す岩渕さん。そのご恩を一関で返したいと子育て支援の活動に携わり、20年間地域の子育てを見つめてきました。そんな岩渕さんに、子育て環境やニーズの変化などについて伺いました。

移り変わる子育て環境

佐々木】 岩渕さんは平成11年頃から子育て支援に関わり始めたということですが、当時から今のような支援スタイルだったのでしょうか?

 

【岩渕】 その当時は一関に子育てサークルがたくさんあって。その人達に声をかけて「どんなことをしてほしい?」と聞いたら「自分の時間がほしい」「美容室に行きたい」「一人で熱いコーヒーを飲みたい」「病院に行きたい」と話すので、それならお子さんを預かるねということで託児を始めたんです。ところがある日、「今日はどこにも出かけないのですが、私もここで一緒に遊んじゃだめですか?」と言われて。そこからお母さんと子どもと私達とで3人が一緒に遊び始める居場所づくりが始まっていったんですよね。

 

【佐々木】 なるほど。利用者さんたちの真のニーズは「託児」より「一緒に遊ぶ場所」だったと。利用者さんの数は増えていますか?

 

【岩渕】 当初は月2回で1回の利用者が5~6人でしたが、おやこ広場ができて週5日になり、一時は増えたけど最近はかなり減っています。今は働くことを選択しているお母さん達が多くて。ある程度保育料が安くなったということもあり、こんなに利用料が安いなら働いた方が良いと思うお母さんが増えているようです。

 

【佐々木】 そうですか。では今ここを利用している方達というのは?

 

【岩渕】 どちらかというと地元の方より転勤族なのかな。旦那さんが働いて、お母さんは専業主婦の方とか、働きたいけど転勤のたびに職場を見つけるのが大変だから働いていない方とか。地元の人の場合は働かないことを何だか申し訳なく感じがちなのかも。

 

【佐々木】 私も経験しましたが、本当に肩身が狭いですよね。暇人扱いされるから。ゆっくり子育てすることが悪いことみたいで。その影響か、前に全国で話題になった「保育園落ちた死ね」が「保育園落ちてほしい」に変わっているという話をお聞きしました。「待機児童」という名目でしかゆっくり子育てができないというか。

 

【岩渕】 直接は言わないけれど、本音は2~3歳まで子育てをしたいのよね。私達の時は専業主婦が当たり前でした。働いても結婚したら辞めて、子育てが落ち着いて暇になったらパートで働くくらいだったでしょ。でも今は人口が減っているから、社会を支えていくには子育て世代のお母さん達まで働かなければならない。

 

【佐々木】 ゆっくり子育てするなんて、夢のまた夢みたいですよね。

 

 

支えたいのは「お母さん」

 

【佐々木】 子育てサークルとこのような場の違いは何でしょうか。

 

【岩渕】 ここに来ると自分たちは「お客さん」でしょ。サークルは全部自分たちで発案して計画して。

 

【佐々木】 ここでは、あえて企画モノはせずに、居場所づくりを?

 

【岩渕】 イベントに参加するお母さん=元気なお母さんだから。イベントに行けず、イベントを避けて来るお母さんにこそ支援が必要なので。皆と騒げる人は支援が必要ない人、自分で自分の言いたいことも言えるし。本当は言いたいことがあるけれど、殻にこもって言えない人もいるので、そんな人にこそ本当は支援が必要なのよね。

 

【佐々木】 それこそ転勤族の人は周りに家族も友達もいないですからね。そう考えると、岩渕さんたちは子ども達を見ているというより、お母さんを見ているという感じなのでしょうか。つまりここは子ども達の場というよりはお母さん達の居場所?

 

【岩渕】 お母さんというか、子育てしている人達の居場所かな。こどものためなら、ここに来ないで外で遊んだ方が良いですよね。

 

【佐々木】 確かに。でも今のお話ですと、子どもが好きで保育士さんになる人がいても、相手が子どもではなくお母さん達だと思うと逆というか、子どもが好きなだけでは務まらないですよね。

 

【岩渕】 保育士さんが保育士を辞める理由がお母さんだというケースが少なくないのだそうです。子どもは好きだけど、お母さんとの関係に悩み辞めるという。

 

【佐々木】 そうなるとやはり、岩渕さんたちの存在は貴重ですね(笑)

 

 

「関わり方」を見て学ぶ

 

【佐々木】 20年もの間子育て支援に関わってきて、今の需要としては何を感じていますか?

 

【岩渕】 子どもとの関わり方を見ている人たちがいるのよね。母親としてどうやって自分の子どもに関わったらよいか、一生懸命に見て考えているの。

 

【佐々木】 相談するわけではなく、岩渕さんと子どもが関わるのをただ見ている?

 

【岩渕】 そう。ジーッとみられているのがわかるの。泣いた時、ワーッと子どもが怒った時、どうしたら良いんだろうっていうのを観察されているというのはすごくある。

 

【佐々木】 確かに私も見てしまいますね。言葉で「こうするんだよ」って言われてもわかりにくいので、見て吸収したい。

 

【岩渕】 こちらも言葉で伝えるよりやってそれを見ていただいた方がいいし。泣いた時は高い高いしてあげるとか、ぐずった時のなだめ方とか、気分転換のさせ方とか。

 

【佐々木】 そういう技を自然に学べる場はありがたいですよね。子どもとの関わり方に悩むことは誰しもあるはずですし。

 

【岩渕】 自分一人で子育ての責任を背負わない方が良いと思います。助けてほしい時は声を出しましょう。「私こんな状態なんです」「助けて」って言えるような社会になってほしいんだけど。岩手の人達はなかなか言わないからね。「一人で抱え込まないで」と言いたいね。

┃おやこ広場

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