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(idea2026年5月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
いわゆる「パワースポット」として、癒しをもたらす存在であると同時に、「滝行」など、修験道や神道の修行の場にもなる「滝(瀑)」。明確な定義がないため、どれくらいの数が存在するのか定かではありませんが、当市内にも、数え方によっては50以上の滝が存在します。滝に魅了され「滝めぐり」を趣味とする人も少なくはありません。今回は滝を深掘りするとともに、市内の魅力的な滝をピックアップしてみました。
※記載内容はあくまでもセンター独自調査の結果です。
国土交通省によると、滝とは、「流水が急激に落下する場所」を指し、地理院地図上は「高さ5m以上、いつも水が流れている有名な滝や好目標となる滝」のみを表示しているようです。
滝は、自然にできた滝(自然滝)と、庭園や公園の景観整備などで人工的にできた滝(人工滝)に分けられます。自然滝の多くは、川の侵食作用によって硬い岩盤と柔らかい岩盤の差が生まれることで形成され、柔らかい部分が先に削られ、硬い部分が崖として残ります(浸食型)。地殻変動や、火山活動による溶岩の遮断などによってできる自然滝もあります。
人工滝と呼ばれるものの中には、「滝」として作ったわけではなく、河川改修(落差工等)の結果「滝のように見える」状態になったものや、ダムなどが、その構造上、滝のような落差で水が流れるものも含まれます。
今回は主に「自然滝」について掘り下げますが、自然滝もその形状等によって分類がされています(下記コラム参照)。一般的にイメージするのは真っすぐに滝壺へと落下する「直瀑」ですが、例えば当市が誇る名勝・厳美渓には、複数箇所で「渓流瀑」が存在。そのほか、「段瀑」や「滑滝」に分類できそうな滝も市内には存在します。
なお、滝の数の把握は難しく、平成2年に選定された「日本の滝100選」には、全国から527滝の応募があったようで、岩手県からは八幡平市の「不動の滝」が選ばれています。また、山形県は「日本一の滝王国」を自称し、「落差5m以上の滝が大小230もある」としています。一関市においては、市として「滝」を所管する機関がなく、河川を管理する国土交通省岩手河川国道事務所においても、「滝」はあくまでも「河川」の一部であり、滝の数については把握していないとのこと。そこで、当センターが各種WEBサイトを参考に市内の滝を地図に落としてみたところ、数え方によっては50以上の滝がありました(下方の表参照)。
先述の通り、明確な定義がなく、地図上にも表記されないことの多い「滝」ですが、現地には「〇〇の滝」と看板などが設置されていることも少なくありません。これらの名称は地域住民などによる「通称」であることが多いですが、その地に赴いた偉人が滝の景観に感動して名づけ、それが言い伝えられているという背景があることも。
厳美にある「霜後の滝」は、古くは「しも滝」と呼ばれていたそうですが、藤原基衡がこの地を遊覧し、酒宴や曲水の宴を楽しんだ際、土地の者に滝の名を聞いたところ、「しも滝」と教えられ、「単純すぎるからこれからは霜後の滝と呼ぶべき」と提案したという言い伝えがあるそうです。
滝は形状、成因(火山、浸食等)、水量などによって分類されることがあります(明確な分類というよりも、滝愛好者等が、便宜上整理したもの)。
形状での分類の場合、以下の4つが一般的で、さらに水が滝壺に落ちるのか、海や本流に直接落ちるのか等の分類が加えられることもあるようです。
当センタースタッフが複数のWEBサイトを渡り歩き、かつ、市内の滝に詳しい方にもヒアリングをした結果、52もの滝を地図に落とすことができました。本当はこの地図を公開したいところですが、滝にたどり着くまでには私有地を通過しなければいけないケースが多く、そうした許可取りが難しい滝も含まれているため、今回は地域別の滝の数(下図)と、名前のついている滝をいくつかご紹介するに留めることにします。
また、当市における「メジャーな滝」を画像とともにご紹介します。(写真提供:フォトグラファー遠藤凌平氏)
落差 約5メートル
真滝6民区地内の普賢沢にあり、坂上田村麻呂が不動明王を祀ったと伝わる「滝神社」の横に流れる。滝神社は「岩手の六芒星」の1つとして話題に。水量は少ないが、周囲の静寂と、歴史ロマンを感じる佇まいが魅力。
落差 約7メートル
磐井川支流・小猪岡川にあり、干ばつで雨を望んだ住民がこの滝に棲む龍にお願いし雨を降らせてもらったという伝説もある。干ばつから救われて以来、この滝は「龍神が宿る神聖な場所」として崇められるようになった。
落差 1m程(ほぼなし)
砂鉄川の源流に近い内野地区にある延長約1㎞の渓流。「滑岩(なめりいわ)」の名前の通り岩の上を水が滑るように流れる。滑りやすいため「足を取られて流されるのは水神の戒め」という言い伝えも。
落差 約5メートル
興田川支流・鳥海川にあり、落差はあまりないものの、周辺の自然も美しく、景観全体を愉しむことができる。特に紅葉の時期は市内外から観光客が訪れる。市内の滝の中では、比較的アクセスしやすい。
落差 約6メートル
久保川流域にあり、右頁で紹介した藤原基衡にまつわる言い伝えも残る滝。冬には滝壺などが凍結し、長く伸びた氷柱を見ることができたが、倒木により近年は立ち入り禁止が続いている。
落差 約18メートル
室根山登山道の中腹にあり、三十三観音(室根神社境内の西側)の下から湧き出る清水が源の小さな滝。
急な傾斜(岩壁)に水が流れており、落差18mといっても、滝の開始点・終了点は分かりにくい。春先は比較的水流が多く、新緑の中を走る水が美しいが、時期によっては水流が確認できないことも。8月上旬は道中にレンゲショウマが咲く。近くには「芦東山籠岩」がある。
国道284号沿いの千厩川に「見る目が淵」と呼ばれる淵(川底が深くなり常に流水渦を巻く場所)と、その淵よりも数百メートル上流に小さな滝がありました。河川改修によって「見る目が淵」は当時とは姿を変え、小さな滝は荒々しく落差も多きな滝となりました。
この「見る目が淵」には、当地出身の若者と京都の「色の御前」と呼ばれる貴人の悲しい恋愛物語が残されています。また、その上流にある滝は、「色の御前滝」と呼ばれており、ここにも「色の御前」と当地出身の若者との悲しい恋愛物語があるのです。
どちらにも共通するのが、二人は京都で出会い、当地に戻った若者を色の御前が追いかけてきたという展開。「見る目が淵物語」では、見る目が淵のほとりで水面を見た際、背負っていた子の顔が恋慕う若者に見え、その姿を追って飛び込んでしまうという結末であり、「色の御前滝」の物語では、遠路はるばる追いかけてきた色の御前が、愛しい若者に会う前に身なりを整えようと水面を覗き込んだところ、そこに映った自分のやつれ果てた姿に驚き嘆き、よろけて落ちてしまったという結末です。
人の心のあり方・複雑さを考えさせるお話でありつつ、深い淵や滝は、神聖さがある反面、危険もあることから、あまり近づくことのないように、そのような物語が紐づけられたのかもしれません。
<参考文献>
千葉繁美(2016)『滝・渓流100選~滝に魅せられ10年の記録』
川崎まちづくり協議会・ 川崎支所教育文化課(2015)『川崎地域の文化財
川崎村文化財調査報告書復刻版』
<参考文献(Webサイト)>
GeoInformation Portal Hub(GIPH).「地形のおはなし:滝の分類について」.https://www.web-gis.jp/GS_Topics/WaterFalls/WaterFalls.html(参照2026-4-20)
南三陸滝見隊.「一関市の滝」等.http://takimitai.blog.fc2.com/(参照2026-4-20)
↓実際の誌面ではこのように掲載されております。
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