毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第59話(idea 2024年2月号掲載)

今月のテーマ

地域運営の落とし穴㊸

ボランティアは「小間使い」ではない

 

「自己実現」の手段であり、ポジティブなもの

 夏から秋にかけての行事期間が少し落ち着きを見せ始め、勢いで頑張ってきたところからの解放感(疲労感)がある人も少なくないでしょう。とは言え、次年度の事業計画を検討する時期になっており、「コロナ禍前って、こんなんだったかな?」という不思議な感覚も……。11月後半から、次年度事業のための‘振り返り’や‘計画の見直し’などの会議が多くなり、様々な立場で出席しているのですが、気になるのが「ボランティア」に関する話題。何が気になるかというと、「運営スタッフが不足しているから、ボランティアでカバーしよう」という意味合いのもの。違和感でしかありません。

 

 そもそも「ボランティア」とは、「個人」の行動であり、個人の興味関心のあることに、自分の都合の良い時間を使って関わることです。だから‘無償’であり、‘善意の行動’になるのです。しかし、ここ最近のボランティアの考え方は、そうではありません。事業をする際の‘人員不足’を補うために関わってもらうという‘穴埋め要員’としてのボランティアになっています。「無償では申し訳ないから、弁当と交通費程度を用意して……」なんて、都合の良い条件をつけて‘有償ボランティア’などと謳ってみる。いやいや、すべてにおいて間違ってますから!

 

 市内のある高校は、「ボランティアとして生徒を派遣してくれる」というイメージが定着し、イベントの主催者等からものすごく重宝されていますが、実は悩みを抱えています。当初は「声をかけてもらうのはありがたい」と、要請に応えていたものの、次第に‘本来の目的’と違う方向性になってきたためです。学校側が生徒たちのボランティア活動をサポートしていた本来の目的は、生徒たちが社会経験を積み、その中で将来の自分について考えたり、目標を見つけるためでした。ところが、依頼ばかりが増えてしまい、「何人の生徒を派遣するか?(派遣できるか)」と、先生方が半ば強引に生徒たちを誘うという状況に。‘オーダーに対して応える’ことが目的になってしまっては本末転倒です。

 

 主催者側も、ボランティアが必要なら「どの業務に何人必要なのか」を明確にする必要があり、「何人出してくれますか?」は、失礼な問い合わせです。事業を主催する者の責任が問われます。むしろボランティアで補わなければならないくらいの状況であれば、その企画自体、見直しか中止の決断が求められるのではないでしょうか。予算面を調整し、有償ボランティアなど姑息な手段を使わず、しっかりアルバイト雇用をした方がしっくりくることもあるでしょう。

 

 当センターでは、市民活動のスタッフバンク「イマカラ」を運用しています。コロナ禍でしばらく運用を止めていましたが、令和6年度に再始動予定です。「イマカラ」を始めた背景には、「ボランティアを小間使いにしない」というメッセージがあるのです。前述したように、「人が足りなければボランティアで」という構図を課題として捉え、ボランティア募集をする市民活動団体には、募集する業務内容を明確にしてもらい、ボランティアをしたい人には、「自分の興味関心のあることや考え、特技を活かせる参加の機会」を提供し、双方にとって最良のマッチングになるような仕組みです。もちろん「自分探しのために何でも良い」というケースもありますが、なるべく小間使いにしないように意識しています。

 

 ‘イベント事業’は賑やかさを構成する大事な要素ではありますが、人員不足、物価高騰などの社会情勢から、運営が困難になってきていることも事実です。これまで同様のやり方でいつまでできるのか、「賑わいのあり方(つくり方)」も再検討していかないと、いずれ運営困難に陥る可能性があるのではないでしょうか。

 

※この原稿を書いたのは令和5年12月。令和6年の元旦に能登半島地震が発生し、「災害ボランティア」を検討している方もいるでしょう。「災害ボランティア」は、「被災地のニーズ」に対して参加するものであり、阪神・淡路大震災の起きた平成7年は「ボランティア元年」とも呼ばれるほど、市民が自発的に、自らの時間を割いて支援活動を行いました。

令和5年開催の「イチコレ」での高校生スタッフの様子

 

 

 当センターでも各種事業に高校生スタッフを起用していますが、募集する役割を明示し、応募制にしています。自分の興味のある仕事に対し、事前打ち合わせ等を経て従事してもらいます。

(写真は令和5年開催の「イチコレ」での高校生スタッフの様子)

 

 

 

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