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(idea2020年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

「巨樹」探訪 vol.4 割山のケヤキ

 国道284号線・千厩川沿いを走行中、道路中央部に立つ謎の巨木が気になっている方は少なからずいるのではないでしょうか?よく見ると根本には標柱も立っている…。なぜここにこんな大きな木が立っているのか?そこには感動のドラマが!?今月は「割山のケヤキ」の謎に迫ります!

                

※記載内容はあくまでも当センター独自調査の結果です。

 

大木ケヤキに迫った危機

 気仙沼街道として古くから内陸部と沿岸部を結ぶ主要な道路であった現在の国道284号線。川崎薄衣エリアは冠水が頻繁におこり、また大型車すれ違い不能区間であったこともあり、平成13年頃から大規模な改修事業が行われていました(薄衣バイパスや道の駅かわさき、北上大橋の整備含む)。

 以前にはクルミやケヤキ、桜などが沿道に植えられていたそうですが、それまでの道路工事等で伐採され、割山のケヤキだけが伐採されずに残っていたそうです。

 しかし、そんなケヤキにもついに伐採の話が浮上します。薄衣字砂子田地内の当該道路を千厩川側へ拡幅、山側に歩道も設置するというもので、ケヤキは工事区間の中に…。

住民の声が生んだ奇跡

 しかし、当時の川崎村村長や地域住民が、「ケヤキは、長年にわたって地域住民の憩いの木として親しまれている。地域のシンボルとして残すべき」という思いから、工事を担当していた千厩地方振興局土木部へ陳情。すでにブロック積み工事などは進められていたものの、保存要望を受け、平成14年、設計見直しに着手してくれるという奇跡が起きたのです!

 

「安らぎのある道路」へ

 見直された設計は、車道を千厩川側に当初の予定より最大で5mずらし、上下線の中央部に三日月型の緑地帯を設け、ケヤキを保護するというもの。実はケヤキ上流の千厩川には、民話に彩られた「色の御前滝」もあることから、滝と一体となった「安らぎのある道路」として整備するという、粋な設計となったのです。

 

 保存を要望していた川崎村では「ケヤキが多くの人たちに親しまれるようになる」と英断を大歓迎!無事にケヤキは守られ、平成16年には旧川崎村文化財調査委員会によってケヤキの根本に標柱が建立されたのでした。

当時の新聞記事(岩手日日)

▲当時の新聞記事(平成14年10月14日 岩手日日紙面より)

※提供:菅原司さん

新聞記事で追うケヤキ保存に関する動き

平成12年度      改良工事着手

平成13年度      道路を約30m千厩川側にずらし、600㎡のブロック積み工事

平成14年5月     旧川崎村がケヤキ保存の要望提出

平成14年10月    ケヤキの保存決定

平成15年5月     ケヤキの保存に向けた作業開始

平成16年6月     旧川崎村教育委員会が標柱建立

平成18年3月末    改良工事区間開通

幸運のケヤキ=割山のケヤキ

「切るのは一瞬。長く生き続けてきたケヤキを後世に残すべき」という住民の声で伐採を免れた「幸運のケヤキ」を改めてご紹介します。

 

【推定樹齢】240年 

【根本周】 4.58m

【目通周】 4.3m ※平成16年6月時点での測定値

【名称】割山のケヤキ

 

 → 伐採見直しが決まった際に当時の川崎村村長が「ケヤキは名もなき一本だが、地域の人たちから自分たちの財産として大切にされている」というコメントをしていることから、「割山のケヤキ」という名称は平成16年に建立された標柱によって浸透したのかもしれません。

割山のケヤキ

現在の割山のケヤキ

平成14年頃の割山のケヤキ

平成14年頃(工事前)のケヤキの様子。千厩川側にそそり立っています。

ちなみに…「割山」という地名は通称で、昔この周辺は山に覆われており、山を割って開拓したことが由来のようです。


川崎にはもう一つ…

 割山のケヤキを調査していくと、実は川崎にはもう1つ、住民の声で残った木があるという情報が!その木がある場所は川崎町門崎妻神の民家の敷地内ということで、早速、民家に住む方へ連絡をし、調査してきました。

「砂地谷(さちや)のカヤ」

 住民の声で保存が決まったのは、地元住民が「砂地谷のカヤ」と呼んでいる樹齢300年の古木でした。国土交通省岩手河川国道事務所が工事を進めていた砂鉄川に架かる門崎橋の架け替え工事で、門崎橋への取り付け道路と工事用の仮設道路の用地にカヤが当たり、伐採される予定でした。

 

 しかし、当時のカヤの所有者と地域住民は、「切るのはしのびない。大木は一朝一夕には成長しない」と保存を訴えてきたそうです。その結果、同事務所は地元住民の意向に配慮。カヤを保護するための擁壁の設置や仮設道路のルート変更など、設計や工法を見直し、保存へと導きました(平成15年)。

 

 江戸時代から風雪や洪水にも耐え、旅人が木の下で休んだという伝えもあるなど、地元住民にも親しまれてきたというカヤの大木。新たな時代も地域住民と一緒に歩み続けます。

砂地谷のカヤ

 

 

◀民家の敷地内にある「砂地谷のカヤ」。

根本周3.7m、目通周3.3m(※)の大木です。

※平成15年時点での測定値


<参考文献> 川崎村教育委員会(2004)『川崎村の名木・古木』

                    岩手日日新聞(2002~2006)

       東磐史学会(2003)『東磐史学 平成15年度 第28号』

<取材協力者> 川崎市民センター

                     所長 菅原正志さん / 原田徳雄さん / 菅原司さん / 小野寺保文さん

        川崎町の皆さん / 旧川崎村文化財調査委員会 藤元淳さん

↓実際の誌面ではこのように掲載されております。

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