(idea 2024年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

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「学校」と「地域」の「これから」

~コミュニティ・スクールと地域部活動【前編】~

一関市立東山小学校の学校運営支援協議会の様子(令和4年度)

一関市立東山小学校の学校運営支援協議会の様子(令和4年度)

一関市教育委員会 学校教育課

 一関市教育委員会は、地域の公共事務のうち教育に関する事務を管理、執行する機関で、教育長及び4人の委員により組織される。その権限に属する事務を処理させるため、事務局を置いている。現行の「一関市教育振興基本計画」における基本目標は「学びの風土を礎に 心豊かにたくましく 郷土の誇りを未来につなぐ 一関の人づくり」。 

対談者 一関市教育委員会 学校教育課

 

聞き手 いちのせき市民活動センター  センター長 小野寺浩樹

 学校統合が進み、地域と学校の関係性が変化していく中、地域や保護者から混乱の声が少なからず聞こえるのが「コミュニティ・スクール」と「地域部活動」。導入の目的や目指すべき姿を正しく理解することで、地域としての向き合い方が見えてきます。それぞれの推進を担う一関市教育委員会・学校教育課に、当市の実情と合わせて伺いました(2回シリーズの前編。地域部活動は後編にて)。

小野寺 市内でも動きが見え始めている「コミュニティ・スクール」ですが、誤解も多く、地域の負担も心配されています。

 

学校教育課 「コミュニティ・スクール」とは「学校運営協議会」の制度を導入した学校を指します。「地方教育行政の組織及び運営に関する法律※1」により導入・設置するものです。

 

※1 平成29年4月1日施行(平成29年3月31日一部改正)

 

小野寺 これまであった「学校評議員制度」とは別ですよね?

 

学校教育課 はい。従来の学校評議員制度と置き換えての導入を進めています。評議員制度の場合、校長の求めに応じて意見を言う立場でしたが、学校運営協議会は、地域とともに子どもたちを育てていこうというものです。一関市の場合は、「支援」という言葉を入れて「学校運営支援協議会」としていることが特徴です。

 

小野寺 国の「学校運営協議会」を一関市では「学校運営支援協議会(以下、協議会)」と称しているのですね。導入は進んでいるんですか?

 

学校教育課 令和4年度から設置を進めており、令和5年度は9校※2、令和6年度からは市内全校が設置予定です。

 

※2 一関小学校、弥栄小学校、舞川小学校、舞川中学校、大東小学校、大東中学校、東山小学校、室根小学校、室根中学校

 

小野寺 この4月から、市内の小・中学校全てに設置ですか!

 

学校教育課 はい、全35校に設置される予定です。小・中学校で一つの協議会を設置する地域もあります。

 

小野寺 協議会は誰がどのような人選で設置するんですか?

 

学校教育課 協議会自体は教育委員会の設置ですが、人選は校長先生が行います。学校評議員制度が1校あたり5人以内だったのに対し、協議会では1協議会あたり15人以内と、地域住民の参加が非常に増えています。ただ、最初から15人に設定せず、議論を重ねる中で「こういう立場の人が委員にいると良いね」という時に対応できるようにするため、最大数にはしない学校も多いようです。

 

小野寺 統合により広域化した学校だと、人選の地域バランスなど、学校側も悩ましいのでは。

 

学校教育課 地域協働体の代表者などが委員になっている地域もあれば、当該地域の区長などが中心の地域もあります。対象者は「対象学校の所在する地域の住民」「対象学校に在籍する生徒、児童の保護者」「地域学校協働活動推進員その他の対象学校の運営に資する活動を行う者」「その他当該教育委員会が必要と認める者」です。

 

小野寺 地域に暮らす人であれば、対象になりうるようですが、協議会では何を議論するのでしょうか?

 

学校教育課 協議会設置の目的は、保護者や地域住民の声を積極的に生かして、学校と地域が一体となって地域の特色ある学校づくりを進めることです。そのために、校長は学校運営の基本方針を作成し、協議会に「承認」を得なければならないと定めています。

 

小野寺 学校運営に地域住民も関わっていく、ということ?

 

学校教育課 ただ意見をするだけでなく、その方針を進めるために、一緒に協力して取り組んでいきましょうというものです。先行して設置している学校では、登下校見守り隊さんとの交流、地域ぐるみの挨拶運動の展開、伝統芸能や畑作等体験活動の講師紹介など、委員のみなさまからご意見をいただきながら進めているようです。

 

小野寺 地域住民に講師やボランティアなどを募る役目も、委員が担うのですか?

 

学校教育課 委員さんが担う場合もありますし、別の事業を活用して、ボランティア本部のような機能を持ち合わせた地域もあります。例えば室根地域は室根村時代から「学校支援地域本部」というものを設置しており、「地域コーディネーター※3」という役割の方が、学校の求める人材と地域住民とをマッチングさせています。これらは社会教育部局の事業なので、教育委員会の管轄ではありませんが、協議会と連携している事例は他にも複数ありますし、地域コーディネーターが協議会の委員等に入るケースもあります。

 

※3 「学校支援活動事業」として、当市ではいきがいづくり課が所管。教育活動支援、環境整備支援、学校安全支援の大きく3分野にて、学校の求めと地域の力(人材)をマッチングする。令和5年度は12校(一関小学校、滝沢小学校、南小学校、大原小学校、大東小学校、興田小学校、猿沢小学校、大東中学校、東山小学校、東山中学校、室根小学校、室根中学校)に設置。

 

小野寺 なるほど。ちなみに、教育振興運動との関係はどうなっていきそうですか。

 

学校教育課 教育振興運動の本来の目的は、学校、家庭、住民等が総ぐるみで地域の教育課題の解決を図っていくことであり、現在はまちづくり推進部が担当しています。家庭環境を5者(子ども、親、教師、地域、行政)の連携で向上させていくものであり、保健衛生的な取組が主だった時代もあります。岩手県としては、コミュニティ・スクール(=協議会の設置)と並行して今後も進めていきましょうという取り組みです。

 

小野寺 確かに今、一見普通に見えても、実は生活困窮世帯で、家庭環境がひどいという子が少なからずいます。教育振興運動も、平等教育の原点に立ち返ることが必要かもしれませんね。

 

学校教育課 コミュニティ・スクールも、一見すると地域住民と学校との組織であり、子どもが見えにくいかもしれません。でも、中心にあるべきは子どもであり、子どもの自立を促したり、子どもがこの土地で過ごすことの意味を、その土地の大人みんなで考えていきたいと考えます。目指す子どもの姿を実現するための教育方針を学校が打ち出し、協議会で地域からの承認を得て、地域全体でそこに向かって進めていく。それがコミュニティ・スクールです。

 

小野寺 学校統合によって郷土芸能や地域の歴史継承など、取り組みが難しくなったという声も聞きますが、そういう内容こそ、協議会の議論の中心になるべき部分なのかもしれませんね。

 

学校教育課 地域の文化的行事に学校として協力するのは難しいことも多いですが、地域の人が学校に来て「こんな行事があるよ」と、子どもたちに説明する時間をとるなど、道筋は様々あるかと……。協議会でそんな提案もあると良いですね。

 

【後編(地域部活動)につづく】

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