毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第80話(idea 2025年11月号掲載)

今月のテーマ

 

地域運営の落とし穴 (64)

現場の意見から‘課題の正体’を考える

 地域協働体(RMO)による地域づくり計画の見直しや、部会会議などで、毎度のようにあがってくるのは「役のなり手不足」「生活の足(公共交通)の確保」「働く場がない」の3つの課題です。どんな場面でも聞く課題であり、何年も前から課題とされ続けています。

 

 何年も前から課題となっているのに、なぜ解決されないのでしょうか?インターネット検索で確認できるさまざまな事例を見たり、書籍を読んだりしながら「できる対策」を考える一方で、ワークショップという現場で地域の声を聞いてみると、‘検索先生’よりも‘住民先生’の方が、リアルな答えを出してくれることが多いです。そんな現場の意見から、「上位課題」を分析してみましょう。

 

①役のなり手不足

 ‘役のなり手不足’は、過去の本項でも度々取り扱っている話題です。人口減少や高齢化に伴って、集落人口と役の数のバランスが崩れている場合は、‘役の見直し’をしながら再構築する必要があるのですが、‘役の見直し’と‘役のなり手不足’とは切り離して考える必要があります。

 

 まだ人がいる状態で役を受けてくれないのは、そもそも「役をもったら大変だ」というネガティブなイメージがついているからです。実際、ワークショップで「役を受けてみたが、地域や人を知れて良いいままで、どれだけ大変なんだと恐怖感が先にあったけど」という回答がありました。長らく牽引してくれた先輩方がいるから引き継げたことと、年代的に事務作業などもパソコンが使えるので、負担感が違うのだと推測します。

 

 「大変さ」を分析してみると、「当て職による会議の出席回数が多いこと」と「集落から推薦で人を出さなければいけないこと」などに苦労しているようで、「役そのものの難易度(大変さ)」ではないように見受けられます。

 

②生活の足問題

 公共交通路線の縮小により、高齢者や車の運転免許を持たない人の通院や買い物に支障が出ていることから、生活の足の確保が課題とされています。今までの路線の代わりに「デマンド型タクシー」を導入するなど、全国的に「過疎地有償運送」や「コミュニティカーシェアリング」など地域側の取り組み事例も増えてきています。

 

 市内でも、この課題に向き合うべく、計画的なアプローチを考えるワークショップを開催することがあるのですが、そこで出てくる意見は、「まだ実感がわかない」というもので、「あれ?課題なんじゃないの?」と思うことが多いです。「実際に困っている人はいる」という事実もあるのですが、家族や近所の支え合いで、まだカバーできているようです。ワークショップに参加してくる人は車を運転できる人なので、「必要な人の意見が集まっていないこと」の方が課題でしょう。また、‘移動したい時、移動したい場所にすぐに行ける’ことの方がニーズが高いので、「決められたルートや時間では不便」という判断をされてしまう現実もあります。自分で運転できた時の感覚から切り替えられないのも課題です。

 

③働く場がない

 ある会議で「働く場がないから若い世代の定住につながらない」という発言がありましたが、その場にいた企業経営者の方が、「地域の人はそう見ているんですね。でも、求人を出しても人が来ないんです」と返す場面がありました。令和7年8月に岩手労働局が公表した有効求人倍率は1.19倍であり、決して高くはないですが、求職よりも求人の方が多くなっています。一関公共職業安定所管内では、求人2,459人に対して、求職2,108人(令和7年6月時点)となっており、「働く場はある」ということになりますね。

 

 しかし、ここに大きな落とし穴があると思っており、求人に対して「スキル」がないから応募できない’ために、つい「仕事がない」と口走ってしまうのではないでしょうか?現代の仕事は、マルチタスクやパソコンスキルなど高度化しているため、それなりに知識や専門性が問われてしまいます。昔のように「初心者大歓迎!」とは言いにくい状況です。求人数が増えたからと言って、安易に喜べるかというと、そうではないかもしれませんね。

 

 

 「上位課題」とされる3つについて分析してみましたが、いかがでしょうか?‘単に課題、されど課題’です。誰かが「課題だ」と言えばそれは課題になりますが、課題自体の背景や現状を探り、向き合っていく必要があります。

 

 

 

 

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