(idea 2026年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

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高い抑止力で「安全なまち」を目指す~交通指導隊が守る、安心の要~

写真 及川豊さん(中央)と、市役所担当課(左右)の画像

及川豊さん(中央)と、市役所担当課(左右)。

 

及川 豊(おいかわ のぼる)

交通指導員として30年にわたり地域の安全を見守り続けるベテラン。現在は「室根地域隊長」を務めるとともに、市内の隊員を束ねる「一関市交通指導隊 隊長」として指揮を執る。室根町在住。

 


 

 

対談者 一関市交通指導隊 隊長 及川豊さん 

 

聞き手 いちのせき市民活動センター  センター長 小野寺浩樹

 

 


 

市長の委嘱を受けた一関市交通指導員で構成される、「一関市交通指導隊(以下、交通指導隊)」は、旧町村単位の8つの「地域指導隊」から成り、登下校時の見守りや交通安全教室の指導、市内大型行事での歩行者の安全確保など、警察とも連携しながら活動しています。地域の安全な暮らしを支える「交通指導隊」の役割や抑止力の重要性、隊長としての想いについてお話を伺いました。

 

小野寺 交通指導隊の皆さんが街頭で指導されている姿をよく拝見しますが、具体的にはどのような活動をされているのでしょうか? 市内の地区安全協会である「岩手県東磐井地区交通安全協会」「一関地区交通安全協会」(以下、まとめて「地区安協」と記載)との違いも気になるところです。

※ 過去の本頁(2025年12月号2026年1月号)参照。

 

及川 私たちは普段、本業の仕事を持ちながら、登下校時の子どもたちの見守りや、小中学校での交通安全教室、また、室根地域で言えば道の駅、農協前などでの街頭啓発活動を行っています。地区安協は地域に根ざした啓発活動や事務サポートが主な業務で、各分会の活動はボランティアですが、交通指導隊は市から委嘱を受けている立ち位置です。学校からの要請に基づいた指導など、より行政に近い、実働部隊としての役割を担っています。

 

市役所 「一関市交通指導員設置要綱」に基づき、現在は市全体で86名が活動しています。かつては100名を超えていましたが、現在は「人口千人に1名」という目安に対し、なり手不足もあって減少傾向にあるのが現状です。

 

小野寺 現在86名とのことですが、実際に「交通指導隊をやってみたい」と思った場合、どのようなステップがあるのでしょうか。試験などがあるのですか?

 

市役所 基本的には、各地域からの推薦や、地域隊長(後述)からの推薦などを受けて、市長が委嘱する形をとっています。

 

及川 やはり「指導する立場」ですから、普段の生活から地域のお手本となるような方でないと務まりません。警察官と協力して活動する以上、法を守る意識が人一倍強いことが大前提です。また、交通指導隊はチームワークが命です。そのため、地域の隊長が直接会って、「この人なら一緒に地域の安全を預けられる」と確信した方にお願いするようにしています。

 

小野寺 地域と行政、そして警察との架け橋になれるかどうかが重要視されているのですね。交通指導隊は「制服を着ている」ことも特徴の一つですよね。

 

及川 制服を身にまとうことで、ドライバーに対しても強い意識付けになります。例えばイベント開催時、駐車場の入り口に私たちが立っているだけで、交通ルールを遵守しようという心理的なブレーキがかかる。これが大きな抑止力になるんです。

 

小野寺 制服は単なる作業着ではなく、市から交通指導の権限を託されている証でもあるわけですね。

 

及川 はい。だからこそ、隊員には普段の行いなどの「適正」が求められます。指導に説得力が生まれませんからね。

 

小野寺 一関市は広大ですが、組織体制はどのようになっているのですか?

 

及川 合併前の旧町村単位で「地域指導隊」という組織が8つあり、それぞれに「地域隊長」が1名いて、地域隊長の中から代表を選んで「隊長」となります(下図参照)。活動は地域密着が基本で、室根なら「室根神社特別大祭」とか、川崎なら「かわさき夏まつり花火大会」といった大きなイベントの際には、地域指導隊の枠を超えて応援に駆けつけます。

 

市役所 イベントでは警備会社の方も入りますが、交通指導隊の皆さんも重要な地点での歩行者の安全の確保を担っていただいています。

 

小野寺 先ほど「なり手不足」が課題だと伺いましたが、そのほかに課題はありますか。

 

及川 隊員の高齢化ですね。各自治体によって異なりますが、一関市では、隊員の定年を75歳(2年任期により最大77歳)としています。私自身、30年務めていますが、中には発足当時から45年務めているベテランもいます。高齢化が進む中で「定年を延ばすべきか」という議論もありましたが、私は反対しました。いつまでも若返りが進まないのは組織として良くない。規律を正す立場として、常に新しい力を取り入れ、見栄えもシャキッとしていたいんです。「年寄りの集まりグループ」だなんて思われるといけないから(笑)

 

小野寺 なるほど(笑) 隊員には、女性の方もいらっしゃるんですか?

 

及川 全体の約3割が女性ですね。幼稚園での交通安全教室などは、女性隊員の方が子どもたちに安心感を与え、印象が柔らかくなるので非常に助かっています。

 

小野寺 たしかに、それは重要な役割ですね。それでは最後に、もし交通指導隊がいなくなってしまったら、地域の安全はどうなると思いますか?

 

及川 先頭を切って指導する存在がいなくなれば、地域の「監視の目」が弱まってしまうでしょうね。……実は私、当番の日以外も、ボランティアで個人的に子どもたちの見守り活動をしています。地域にこうした役を持つ人がいると、例えば地域の集まりでも「あの人の前で飲酒運転はできないな」といった抑止力に繋がると思います。役を持つ本人も、その家族も、自然と背筋が伸びる。それが地域の安全の底上げになるのだと信じています。

 

小野寺 その通りだと思います。隊員のみなさんをはじめ、及川さんのような熱い精神を持った方々に、地域の安全は守られ、支えられているのですね。

 

一関市交通指導隊 関連機関組織図

一関市交通指導隊 関連機関組織図。岩手県一関警察署/千厩警察署から市役所、市交通指導以下8つの地域指導隊からなる組織図の画像。

【問合】 

一関市役所 生活環境課 市民生活係

0191‐21‐8344