(idea 2017年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

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若き起業家に聞く!~一関で起業してみて~

      (にっぽんそらいと)            (のりみつ)

対談者 日本空糸株式会社 代表 伊藤徳光さん

聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺浩樹

ロープを使い、人が行けない場所に行く

【小野寺】1年前に日本空糸(株)(以下「空糸」)を立ち上げた伊藤さんですが、そもそもどんなことをしている企業なのか改めて教えてください。

日本空糸(株) 代表 伊藤徳光さん  

 

【伊藤】「人が行けない所に行く」を生業にしていますが、実際にはどういう需要があるのかというと、インフラ関係の防災に関わる仕事が多いです。例えば皆さんが普段使っている橋。橋というのは全てが全て点検を前提に造っていないんですね、ビックリなことに。ですが、平成26年度に国交省から「橋梁点検要領」の改訂版が出て、その内容は5年に1度全ての橋の定期点検をし、しかも「近接目視」といって近くまで行き触って確認しなければならないというものだったんです。「さて、どうやって近くまで行こう?全部足場をつくってられないよ」と。そんな中、ロープアクセスというのが出てきたんです。ロープで素早く安全に目的地に行き問題がないか確認する、いわゆる調査部隊ですね。

 あとは「岩壁調査」も行っています。山あいに道路を通す時は山を上下に切りますが、その時にどうしても岩壁が出てきます。その岩壁の落石を防ぐために落石防護柵を付けたりしますが、劣化や大雨でだんだんと状況が変わった時に、今後の対策をどうするか考えるための基礎調査をしたりもします。

 

【小野寺】いわゆる調査業者的な部分で、今までになかった視点をもっていますね。ニーズは広くあると思いますが、範囲としてはどのあたりまで?

 

【伊藤】北は北海道、南は名古屋まで行きました。

 

【小野寺】広く行ってるね。一関からの需要は?

 

【伊藤】肝心の一関からの需要はまだないです(笑)営業に行っても「えっ!一関にそんな会社あるの?」と言われますね。一関に2千橋あるそうですが…。

 

【小野寺】そうなんだ。じゃあ、これからだね。

 

【伊藤】これからですね! 

 

 

キーマンとの出会いが転換点に

【小野寺】なぜ起業しようと思ったのか、きっかけや理由を教えてください。

 

【伊藤】起業を考え始めたのは、小学生の頃だったと思います。なんだか就職のイメージが湧かなかったんですよね。“企業に勤めるだけが仕事”という風潮がよくわからなくて。うちの実家が自営で馬喰をしてて、のびのびと仕事をしているのを見て育ったというのもあるかもしれませんが…。

 小学生の時に料理にはまり将来は自分のお店をもとう!と思ったんですが、中学生になり「料理ではないのかな」と考えが変わり、具体的なイメージが浮かばないまま3年間過ごしました。進路を考えた時に自然環境に関わる仕事をしたいと思って先生に相談したら、「化学を学べば環境関係の仕事に就けるよ」と言われたので高専に進学したんです。

高専で化学を学びましたがまだ具体的なビジネスモデルが浮かばず、でも、ただ企業説明会に行くのは嫌だなと思ったので、自分で就きたい企業を探して新潟に行きました。自然環境に関わる仕事ということで、そこで産業廃棄物を処理する仕事に就いたんですけど、そろそろ山の中に戻りたいと思い始めて。

 

【小野寺】そうだよね。その頃に伊藤君が一関で何をしたいか一緒に話し合ったよね。

 

【伊藤】そうでしたね。その後、僕は京都の「株式会社きぃすとん(以下「きぃすとん」)」というロープアクセスの専門会社に勤めました。社長に「企業経営について教わりたい。なんならこの仕事も教えてくれ」って頼んだら「ええで」と。「よかったら一関で起業したらええやん」と言われたんです。

 

 

【小野寺】きぃすとんには起業前提で入ったんだね。

 

【伊藤】そうですね。僕にとっては、きぃすとんの社長に出会ったことが大きな転換点でしたね。

 

【小野寺】やっぱりキーマンとの出会いだよね。自分の想いだけでは躊躇するところが多いと思うんだけど。伊藤君の起業の背景としては、もともとやりたいことが最初から具体的に浮かんでいたわけじゃなくて、ばふっとしたイメージから始まり、周りの人の言葉や経験を積み上げていくうちに形になっていった感じだね。

 

【伊藤】やっていて思うのは、人に恵まれたなということが一番ですね。小野寺さんもそうですし、ちょっと聞きにいける相手がいること。起業するまでに右往左往したけど、右往左往したことによって色々な人と出会えたし、自分一人では無理だったなと思います。

 

【小野寺】起業している人って、意外とそういう人脈に恵まれている人が多いんじゃないかなって思っててさ。きっと、色々なところで色々な人に助言をもらったり、刺激を受けたりするから起業できるんだろうなって思うよ。

 

 

「地域に働く場がない」と言うけれど…

【小野寺】起業してみておもしろい?

 

【伊藤】おもしろいですよ!おもしろいおもしろい! 

 

【小野寺】起業することにためらいはなかったの?

 

【伊藤】ためらいはめっちゃありましたよ!でも僕が社長に言われたのは「色々積み上げていって、何かできるようになって自信がついた頃にはもう遅い」って。「伊藤さんは考えすぎるし、情報を集めて集めて自分のモノにしてから動くやろ?でもそれじゃあ遅い。まずは形から入れ」って。「どうにもならない時は自分の持っているモノで勝負するしかないんだから、“何ならやれるか”を考えながらやれ」と言われました。

 

【小野寺】そういう一言はありがたい助言だよね。起業するにあたり、やはりみんな「本当に大丈夫なのか?」とか、親からすれば「起業なんてやめとけ」とか「お前じゃ無理」「経営なんてできっこない」とか言うけど、そうじゃないよね。周りで起業している人もいるわけだし。今就職先となっているさまざまな企業は、それを立ち上げた起業家がいるから採用できるわけでさ。誰かが一歩踏み出して起業していかないと、雇用の場なんて生まれないよね。

 地域では「仕事がない」「働く場がない」と言うけど、じゃあどうしたらいいかとなると「工業団地を誘致すればいい」なんて話が出るんだよね。でも、それだと結局はモノづくり産業ばかりになるし、今の若い子が求めている仕事って意外とサービス業が多かったりするんだよね。企業誘致より、もっとやりたいことを仕事にしていく後押しをすることも必要なんじゃないかな。

 

事業所内にはロープアクセスの訓練塔があります

 

【小野寺】地域には、起業したいけどそれをためらっている人たちがいると思うんだよね。そんな人たちに伊藤君から何かメッセージをもらえないかな?

 

【伊藤】そうですね、自分の中に「これをやりたい」というものがあるなら、事務手続き的なことは言い訳にせずに、まずやってみたらいいと思います。例え失敗して借金を抱えたとしても、死にはしないし。

 

【小野寺】やりたいことは、基本的にやった方がいいよということで。

 

【伊藤】やりたいことがないっていう人は、やれることを増やせばやりたいことが増えるので、食わず嫌いせずにまずは色々やってみれば、やりたいことがついてくるかなと思います。

 

  基本情報

【日本空糸 株式会社】

〒021-0902 一関市萩荘字谷起島北方194−13

TEL 0191-48-4046  FAX 0191-48-4047

 

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