毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第88話(idea 2026年7月号掲載)

今月のテーマ

 

地域運営の落とし穴 (72)

丙午年生まれと少子化

‘超少子化’時代に生まれてくる子どもたちのために

 

 令和8年は午年です。しかも、丙午(ひのえうま)です。若い世代には「なにそれ?」という感じかと思いますが、年代が上の方であれば、「丙午だったら子どもは作るな」と言う人もいると思います。恥ずかしながら、私も「干支=十二支」でしか知らなかったのですが、‘丙午と少子化’について、興味深い話を聞いたので、まとめてみます。

 

 干支は、「十干」と「十二支」を組み合わせて年や日を表す暦法で、十干と十二支はひとつずつ順番に同時進行するルールがあります。この組み合わせが一巡するのに60年かかるため、丙午は60年に一度巡ってきます。

 

 「丙」は、太陽のように明るく活発な火を象徴し、「午」は、情熱的で生命力あふれる火の性質を持つとされており、この二つが重なる丙午は、60通りある干支の中でも特に‘火の力’が強い年と考えられてきました。丙午生まれの女性は‘気性が激しく災いを招く’という迷信があり、「丙午の年は気性の激しい子が生まれるから子を作るな」と変換されていったようです。実際、60年前の丙午では、出生数が大幅に減少しました。

 

 しかし、迷信であり、丙午年生まれの人が気性が激しいかと言うとそうではないし、少子化が進んでいる現在においては、‘丙午だから子どもを産まない’という選択をされると大変なことになります。

 

 

内閣府HP >「選択する未来」委員会 > 報告書『選択する未来-人口推計から見えてくる未来像-』より 日本の総人口・出生数・死亡数の長期的推移の画像

 

 少子化は、今に始まったことではありません。日本の総人口は、平成17年に死亡数が出生数を初めて上回ると、平成19年以降その状態(自然減)が続き、日本の人口は平成20年をピークに減少を始めます。平成23年以降は増加することなく継続的に減少を続けているため、本格的に減少に転じた平成23年が「人口減少元年」と言われるようになりました。

 

 これに対し、出生数は、第1次ベビーブーム期(昭和22~24年)と、その時期に生まれた女性による第2次ベビーブーム期(昭和46~49年)に200万人を超えたのを除き、戦後はずっと減少傾向にあり、平成元年以降は120万人前後で推移(微増減あり)したものの、平成23年以降は減少が続いています。つまり、少子化は人口減少よりも先に始まっていたのです。実際には、高度経済成長期を迎え、都市部に人が集中する時代から、「地方の人口減少」は始まっており、少子化と人口減少は同時に進んできたとも考えられます(本コラム第71話(2025年2月号)参照)。

 

 1950年代の日本は、1次産業が主体で、地域相互扶助システムが機能していました。家族、きょうだい数も多く、母以外の誰かによる子育ても一般的でした。1960年代になり高度経済成長期を迎え、若年労働者は都市に集中し、「仕事に出かける父」と「家庭で家事育児を担う母」の考え方が主流になり、いわゆる「3歳児神話(=3歳までは母の手で)」が登場するまでに。その影響か、1970年代では、母子心中が急増したというデータもあります。そして、豊かな時代と言われた1980年代、女性の社会進出などの背景や要因があり、平成元年(1989)の合計特殊出生率は、過去最低の1.57に低下します(=1.57ショック=丙午が原因で過去最低の合計特殊出生率だった昭和41年の1.58を下回ったことで、少子化について社会的に問題認識が高まった)。

 

 人口を維持するのに必要な水準(人口置換水準)が2.07前後と言われています。さらに人口学の世界では、1.3を下回った状態を「超低出生率」とし、「超少子化」とも呼ばれます。令和4年度の一関市の合計特殊出生率は1.15なので、超少子化状態であり、岩手県でも1.21、全国でも1.26なので、全体的に超少子化状態なのです。

 

 もう少子化を避けて通ることはできません。嘆いても子どもの数は増えません。しかし、それでも生まれてくる子どもがいます。学校統合や集団活動の限界など、子どもを育てる親たちは、地域が思っている以上に不安を抱えています。「自分たちの頃は、同級生が何人もいて、あんなことができた」などの話を聞かされても、今は違います。‘少ない子どもたちのために、子育て中の親のために、何をしなければいけないか’を考えなければいけません。

 

 

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