(idea 2021年3月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

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コロナ禍も田舎も「追い風」に~‘シビックプライド’の創造を~

【後編】

有限会社東西不動産ホーム代表 水谷みさえさん
大林製菓株式会社代表取締役 大林学さん

有限会社東西不動産ホーム代表 水谷みさえさん

大林製菓株式会社 代表取締役 大林学さん

【特別企画】一関市広報『I-Style』2021年1月1日号の特集として行われた対談の中から、誌面には掲載されなかった話や、文字数の関係で大きく割愛された内容を再編集にてお届けします。当センター長も含め5名での対談のうち、本号では水谷みさえさん(写真左)、大林学さん(写真右)のお話を取り上げます(芦謙二さん、梁川真一さんのお話は前号に掲載)。

対談者  有限会社東西不動産ホーム  代表  水谷みさえさん

     大林製菓株式会社  代表取締役  大林学さん

                                                                          

聞き手 いちのせき市民活動センター  センター長 小野寺浩樹

 少子高齢化やそれに伴う働き方改革、AI化、非対面型消費などに取り組み続けてきた企業等にとっては、コロナ禍が逆風ではなく、追い風になっているという現状もあり、前号では実際にポジティブな業務改善に成功したという話題も。コロナ禍以前から時代の先を見据えた事業展開を図ってきた4名から、今こそ私たちが持ち合わせるべき「視点」を探っていく2回シリーズの後編です。

小野寺 (前号で)ないものねだりではなく、あるものを活かしていくべきという話が出ていますが、「もち文化」に携わる大林製菓としてはいかがですか。

 

大林 確かに一関には「絶対的なもの」がないですよね。餅に関しても「文化」としてのアウトプットが下手だと思っていて。力を入れて落とし込んでいくところが間違っているというか。商品っていうのは文化に興味を持ってもらうための「材料」であって、材料がないと興味は持ってもらえない。歴史や文化、土地のことはその後なのに、そういう順番がボロボロだな、と。

 

小野寺 ツギハギの情報発信になっている感じはありますよね。「これもあります、これもあります」と、あるものをただ並べて切り貼りしている状態なので、実は奥の深さがないのかなって感じさせてしまうというか。

 

水谷 例えばヨモギ餅だとすると、広大な土地にたくさんのヨモギがありますよ、それを使ってヨモギ餅を作ってますよ、というような、土地と連携したイメージは大切ですよね。昔は、土地があって、その土地に身を慣らしてモノを作っていったはずですが、今はそういう工程を忘れつつあるような気がして…。

 

小野寺 土地を見るというのは地域づくりの原点ですよね。それが大前提であって、そこをひっくり返してしまうと意味がなくて。実際、一関の「もち文化」って意外にも貧乏な暮らしから始まっていて。おもてなしで餅を出そうにもくず米しかなく、美味しい餅は作れない。そこで少しでも美味しく食べてもらうために「たれ」など、食べ方を工夫するようになったという文化であって、餅そのものの美味しさじゃないわけですよ。だから決して豊かなまちとは言えなかったはずなのに、今はかっこつけすぎている気がするんですよね(笑)

 

水谷 不動産の仕事をしている中で「これは俺の土地だ」と主張する人が多いなと感じていて。土地は「国土」であって、民間にも預けられているというだけで、日本のものなんですよ。だから、この土地を有効に使っていかに一関が拓けていくかを考えなければいけないのに、自分の土地だということばかり主張する。つまり、守っているつもりのものが、守りきれていないっていうことが大いにあるんじゃないかと……。

 

小野寺 損得勘定が先になってしまったり、自分の価値観だけで考えてしまっているというのは確かにありますね。地域で話していても「おらほの地域は」と、自分の地域が基準で……。

 

大林 本来は外に向けなければいけないベクトルが、内に向いていることは多いと感じますね。

 

水谷 商業をやるにしても、工業をやるにしても、そういう根本的なこと(日本の土地を預かって、国や市のために拓いていく)をみんなが総合的に理解しないと、一関を盛り立てていくのは難しいですよね。

 

小野寺 「我々の年代の人たちは何を守るべきなのか」ということを次の年代にしっかり伝え、我々はそれを咀嚼し、さらに次の年代に定着させていくということが必要ですね。先代たちが築きあげてきたものが通じなくなっている部分もあるはずで、今はその転換期でもある。雇用環境に関しても然り、企業でも転換が迫られているのでは?

 

水谷 当社の場合、不動産屋ですが、従業員に合わせて新たな部を増やしていっているので、今は多業種を抱えています。雇用した人が、当初想定していた事業に合わなかったとき、できないことに毎日ストレスを抱えるより、その人ができる仕事を創ってあげる。そのうちに会社の中にいくつもの部署ができてしまいました(笑)

 

大林 仕事に対して人をつくるのではなく、人に対して仕事を創る、と。理想的ですね。うちはまだ前者ではありますが、その業務によってはフリーのデザイナーさんなど、外部の人をスポット的に組み込んでいくようにはしています。結局うちもアウトプットが下手なので(笑)

 

水谷 その人のために仕事を創るときには、絶対やらなければいけないことの数字を出して理解してもらうことが大切で。そうするとやるべきことを自分で考えて仕事をするようになる。それから、間違いを起こす人をあえて前に出して、できる人を下げる組織にしていて。できないからと下げ続けていると、いつまでも間違いを起こすので、自分が謝る立場に立って行かせる。できない従業員のことをトップが謝りにいくという社会の逆にしています。

 

小野寺 経験させて成長を促す、と。人に対して仕事を与えるという考え方も重要なヒントで、その延長でテレワーク(※1)やダブルワーク(※2)という選択肢があるということですよね。大林さんの言っていた企業連携や技術連携という考え方もこれからの時代には必要ですよね。

 

※1 勤労形態の一種で、情報通信技術を活用し、時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働く「働き方」。在宅勤務やリモートワークもそのうち。

 

※2 2種類以上の仕事を掛け持ちすること。副業と異なり、複数の仕事を本業のように行うため「複業」や「パラレルワーク」とも呼ばれる。

 

水谷 コロナ禍の今、不動産屋には「雨風がしのげて電気と水道とガスがあるだけの家で良い」というお客さんが増えています。10年前の震災の時もそうでした。人って何かを失うと、最低限のものがあれば生きていけるから、仕事とかお金は二の次になる。雨風をしのげる場所は一関にはいっぱいあって、見方によっては中古住宅が郷土の宝なんですよ。

 

小野寺 「一関の資源」として文化とか歴史にだけこだわる時代ではなくなっているということですよね。

 

大林 我々の若い頃のように、東京などの都会に行く理由も見当たらなくなっているし……。

 

小野寺 何を残して何を一関だと言うか、一関市民は何を誇りにするのかという「シビックプライド」の創造が、今すごく必要になっているんだと思います。 

 

水谷 一関の土地をどうやって使うのが有効か、一関の市民全員が考えなければいけない。

 

 

小野寺 一関と言えばこれっていう完結系のストーリーづくりは地元の人たちじゃないとできないから、ヨソの風が吹きすぎないように、一関の地域づくりは鎖国で良いのかもしれません。

 

(2回シリーズの後編 ★前編はこちら

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