(idea 2018年11月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

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豊かな川環境を守り、将来に残すために

対談者 砂鉄川漁業協同組合 組合長 松岡俊太郎さん

聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺浩樹

生態系の保全と川環境を守る

【小野寺】はじめに砂鉄川漁業協同組合さんの組織と活動内容について教えてください。

 

砂鉄川漁業協同組合 砂鉄川漁協 松岡俊太郎 代表

砂鉄川漁業協同組合 組合長 松岡俊太郎さん

 

【松岡】まず組織についてですが、砂鉄川漁業協同組合は、門崎・松川・長坂・摺沢・興田・猿沢・大原と7つの支部があり、県本部は岩手県水産会館にあります。砂鉄川の漁業区域は川崎町の門崎から大東町の大原・興田くらいまでなんですが、私たちはそこで鮎・ヤマメ・イワナ・鰻・モクズガニといった魚を放流したり、自然増殖させたりと、川の生態系や環境を守る活動をしています。

 

【小野寺】漁協さんで放流をされているんですね。

 

【松岡】ええ。あとは川の管理ですね。土木業者が河川工事をする時は、私達の了解が必要なんです。工事で川が濁ったりすると、魚の増殖に影響が出てしまうので。だから川を濁らせたり、勝手なことはしないでくださいとお願いしています。ほかには、会議で釣りやガラ掛け(大きい針が多数ついた仕掛けで、川底をなぞり鮎を直接引っかけて釣る漁法)の解禁日を決めたり、新規組合員の入会審査などを行ったりしていますね。

 

【小野寺】市内にはほかにも漁協さんはありますか?

 

【松岡】磐井川上流漁業協同組合は厳美の長者滝橋から上流でイワナやウグイを放流しています。室根漁業協同組合もありましたが、3~4年ほど前に解散しました。磐井川に漁協はなく、市や釣り愛好家の有志が魚を放流しています。

 

【小野寺】室根漁協さんはなぜ解散したんですか?

 

【松岡】組合員がいなくなってしまったんです。

 

【小野寺】組合員離れの原因は何でしょう?

 

【松岡】若い人たちが組合に入らないことと、年をとった人達はいつまでもできないでしょう。なので将来、子ども達にも組合員になってもらおうと、去年は興田小学校で学習会をやったりもしました。

 

【小野寺】組合員になるには何か条件はありますか?

 

【松岡】誰でもすぐに組合員になれるわけではなく、ある程度、年間の入漁権()を買っていて実績があり、「この人なら間違いない」という推薦もほしいですね。

 実は、魚の放流数は組合員の数に関与しているんですよ。組合員の出資金や年会費などを元手に放流する魚を買っているので、組合員が減れば放流数も減ってしまうんです。川に魚が減り、釣れなければパタっと釣り人は来なくなりますから。なので、ある程度放流しなければお客さんは増えません。

 

放流

放流の様子。漁協組合員さんによる魚の放流や環境整備により

砂鉄川の美しい風景が保たれています。

 

【小野寺】なるほど。ではそこが今の砂鉄川漁協さんの課題なのでしょうか?

 

【松岡】そうですね。少しでも組合員増に繋げるために、砂鉄川漁協では、磐井川の上流(厳美の長者滝橋より上流)に住んでいる方以外の市民なら、どなたでも組合員申請ができるようにしています。

 

【小野寺】先ほど話されていた「年券」とは年間を通して魚を捕ることができる券のことですよね。コンビニでもよくチラシを見かけます。

 

【松岡】はい。漁協があると入漁権が発生しますからね。これらを買わないと、モクズガニ等も含めて、川で魚を釣ったり捕ったりする行為は禁止です。雑魚も全て対象に入っています。ですが、実際は入漁権を買わずに行う人もいるので、改めて皆さんに知ってもらいたいですね。入漁権の取扱所はホームページに載せていますし、もしご不明な点などあればお問い合わせいただければありがたいです。

 

入漁権の料金

≪鮎 釣 り≫ 年券7,000円・日釣り1,500円(一般)

  ・身体障がい者と75歳以上は一般料金の半額

  ・小学生と中学生は無料

≪渓流釣り≫ 年券5,000円・日釣り1,000円(一般)

 

外来魚や鳥が日本の魚を減らす

【小野寺】今年は魚の状況はどうですか?

 

【松岡】今年は良いですよ。その年によって、当たり・ハズレがありますからね。

 

【小野寺】その当たり・ハズレは、何によって左右されるんでしょうか?

 

【松岡】台風や大雨が降れば魚は流されますし、逆にカンカン照りだと、コケが付いた石の泥が乾き、コケがあまり食べられず大きくなれなかったりということもあります。季節ごとに稚魚を放流しますが、大きくなれずに釣れなかった年もありました。

 

【小野寺】餌になるコケを食べられるようにするなど、そういう環境整備も重要なんですね。釣りといえば、最近は、鮎やヤマメといった魚のほか、バス釣りをする方もよく見かけますよね。

 

【松岡】ブラックバスやブルーギルといった外来魚は、県内でも一関市が特に多いんですよ。ブラックバスは、鮎などの日本の魚を食べてしまいますし、ため池や堤に離すと川にも流れてきてしまうんですよね。バス釣りをする方は、キャッチ&リリースではなく、釣ったら捨てるか持ち帰るかにしてもらいたいです。

 

 

岩手県 市町村別外来魚生息状況(平成29年12月31日現在)

 

三浦魚店

図を見ると、岩手県の外来魚の生息状況は一関市が特に多いことがわかります。

 

 

【小野寺】市内にはため池や堤が多いですからね。砂鉄川にもいるんですか?

 

【松岡】います。外来魚は私達の敵なんです。カワウやシラサギもそうですね。カワウは1回水に潜れば10匹も魚を飲み込みますから。

 

 

【小野寺】そういった魚や鳥の問題もあるんですね。

講習会から釣りを始めてみる

【松岡】私達の1番の課題は、やはり高齢化と組合員が減ってきているということですね。若い人達を組合員に入れるために、放流事業や、釣り道具を見せたり釣り方を紹介したりといった子ども向けの学習会を行っていますが、そういった活動を増やしていき、将来は組合員になってもらえればと思います。

 

【小野寺】解禁日になってから、鮎釣りの人たちが川に入り魚釣りをしている様子は良い景観だし、砂鉄川の一つの風物詩だと思っています。僕も釣りをやってみたいなと思っても、きっかけがなかったり、誰に教われば良いかもわからなかったりで、なかなかできないんですが…。

 

【松岡】年に1回、長坂の伊藤稔さんを講師に鮎釣りやイワナやヤマメの渓流釣り講習会を行ったりしていますよ。「こんな仕掛けを作ってください」「こんな場所でやってください」とかね。

 

伊藤稔 釣り講習会

講習会で講師を務める釣り名人の伊藤稔さん 

 

【小野寺】そういった講習会の開催が、釣りデビューのきっかけになれば良いですよね。子ども達向けだけでなく、僕たち40代くらいの世代でも川釣りに興味を持ってデビューしていく年代だと思うので、そういう青年層向けにも、漁協さん主催の釣り教室や1日体験などを開催してほしいですね。

組合員さんは全体的に減ってきているようですが、興味がある人は少しずつ入漁権を買ってもらいながら実績を積み、組合員になってもらえればと思います。

 

 

┃砂鉄川漁業協同組合

 電 話:0191-74-2418

 HP:http://www.kiddy.co.jp/ayunip/iwate/satetu_new.html

 

 ※写真は岩手県内水面漁業協同組合連合会、図は岩手県内水面漁場管理委員会より引用しました。

 

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