(idea 2026年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

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自主・自立・協働・共助による社会貢献~シルバー人材センターの役割とは【前編】~

写真 左:佐藤拓平さん(理事長) 右:宮田敏夫さん(事務局長) 

佐藤 拓平(さとう たくへい)

一般企業を定年退職後、旧千厩町のシルバー人材センター立ち上げに関わる。令和6年より理事長。千厩町小梨出身、在住。

 

宮田 敏夫(みやた としお)

元一関北消防署長。令和6年より事務局長。

 

公益社団法人一関市シルバー人材センターHP

https://webc.sjc.ne.jp/ichinoseki/index

 


 

 

対談者 公益社団法人一関市シルバー人材センター

       理事長  佐藤 拓平さん / 事務局長 宮田敏夫さん

 

聞き手 いちのせき市民活動センター  センター長 小野寺浩樹

 

 


 

 昭和50年前後より「高齢者事業団」として東京都から全国に広がり、昭和61年改正の「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」により法制化された「シルバー人材センター」。岩手県内には31の組織がありますが、約40年の間に生じた社会変化により、その在り方や位置づけに変化が求められています。組織の実情と、今後について、一関市シルバー人材センターに伺いました(2回シリーズの前編)。

 

小野寺 定年年齢の延長で地域活動においては役のなり手不足が深刻です。シルバー人材センターさんでももしかして……と思い、実情を伺いに来ました。

 

宮田 まさにその通りで、今は60代で会員になる人はほぼありません。会員数も最盛期は700人くらいいたようですが、今後はおそらく400人を切るだろうという状況です。

 

小野寺 やはりそうですか。そもそもシルバー人材センターというのは、団塊の世代を見越しての施策ですよね?

 

宮田 はい。東京都の「高齢者事業団」構想をきっかけに、急速に進展する高齢化社会に対応し、高齢者の福祉増進を図ることを目的に進められた施策で、昭和55年に国庫補助が決定、昭和61年には法制化されたため、全国に広がりました。

 

佐藤 旧一関市は昭和56年に、私の地元・旧千厩町では平成14年に立ち上げましたが、会員数は30人程でのスタートでした。千厩の立ち上げメンバーだった私が積極的に声をかけて、4年で80人くらいまで増やしました。※1

※1 シルバー人材センターは原則1自治体に1つの設置となっており、一関市の合併を受け、千厩・大東・東山にあった同センターを統合(平成18年)。現在も事務所は残っており、4つの事務所に会員がそれぞれ所属している(令和7年度現在)。

今でも畑作業をしている高齢者などを見かけると、一緒に活動しないかと声をかけるようにしています(笑)

 

宮田 佐藤理事長が実践しているように、本来は会員が主体となって、自主的・自発的に組織の運営や仕事の開拓など、会員自らの創意と工夫で実施するという性格の組織なんです。「自主・自立」「共同・共助」の理念が大前提ですね。

 

小野寺 「高齢者に仕事をマッチングする組織」のようなイメージがありますが、本来は組織運営も会員たちが担うものなんですね。

 

宮田 理想はそうなんです。実際、佐藤理事長のように、60歳で退職して、新たな挑戦として活動を始めた人たちは15年以上の活動の中で自主的に頑張ってくれる傾向がありましたが、70歳まで働いてきた人たちが、75歳くらいまでの数年で新たな挑戦というのはなかなか難しいようです。そのため、仕事を選ぶ条件が色々と厳しかったり……。

 

小野寺 そうすると400人くらいの会員の中で、実際は活動できていない人もいますか?

 

宮田 安定して活動できている人は半分くらいです。何しろ会員の平均年齢が76歳なんです。そうするとできる仕事も限られてくる。国では当初、団塊世代のホワイトカラーの人たちがいっぱい出てきて、事務系の仕事を開拓・開発してくれる人も入ってくるだろうと思っていたんでしょうけど、この地域ではそういう人はなかなかいないですね。

 

小野寺 これ、国が自分たちの施策をひっくり返してますよね。シルバー人材センターを法制化しておきながら、当時の60歳定年を65歳に、そして70歳までの就業機会の確保も措置を講ずるように努力しろとしている。 

 

宮田 おっしゃる通りで、民主党政権時代にシルバー人材センターへの国庫補助が事業仕分けにかかり、下げられたんです。その時に経営がガタついたセンターも多々あり、ちょっと持ち直してきたなと思ったら、今度は会員さんが激減して……。国庫補助は会員の数で決まるので、補助が減ったところに、物価高騰や人件費問題ですよね……。

 

小野寺 ちなみに会員数が増えている地域ってあるんですか。

 

宮田 東北では仙台が増えてるくらいです。大阪など大きな都市では、何か施策に関する動きがあったりすると、いきなり4~500人が増減する時があります。大きな動きがあったのが警察当局から「警備業法」への抵触が指摘された時です。シルバー人材センターが宿直業務や会館・駐車場等の管理業務を受託することは全国的に多いんですが、業務内容に「車両を誘導する業務」「事故や盗難防止のための施設内の巡回、緊急時の対応」など、警備業務と解される恐れがある業務があるようで。その指摘が入った時に、発注者がシルバー人材センターから警備業者に仕事の依頼先を変えることになったわけですが、警備業者の方でも人手不足。それで結局、発注者が直接雇用する展開になり、引き抜かれた会員さんも多かったようです。同様に、勤務体制がシルバー人材センターの方針と合わなくなると、直接雇用に持って行かれるケースも近年は少なくないです。

 

小野寺 会員さんは仕事が続いても、シルバー人材センターにとっては収入減ですよね。

 

宮田 その通りです。どうしても我々の原則は「臨・短・軽」※2と定められており、高齢者の安全や民業圧迫にならないようにという配慮なので、そこは適正就業を遵守させないといけない。※2 臨時的かつ短期的なものまたはその他の軽易な仕事。臨時的かつ短期的なもの=就業日数:概ね月10日、その他の軽易な仕事=就業時間:週20時間以内。

会員さんたちも理解はしてるんでしょうけど、直接頼まれれば断れないんでしょうね。

 

小野寺 誰の、何のための法制度なんだろうと思ってしまいますが、時代なんでしょうね……。

 

宮田 国では80歳を過ぎてもできるような仕事を探しましょう、と、内職を勧めるような方向転換をしてきています。請負で内職の仕事をもらって、ここの事務所でみんなでワイワイとやれれば理想的ですが、80歳になってくると、目も見えなくなってきますし……。家に閉じこもっていないで、みんなでお茶っこ飲みしながら、作業するような仕組みができれば、本来の目的に近いんでしょうけど。

 

佐藤 私は84歳ですが、今でも草刈の現場作業に出ていますし、まだまだ仕事をしたいと思っています(笑)

 

宮田 国は高齢者の割合が4割を超えているから、もっと活用しなさいと言いますが、人口が減った中での4割ですし、佐藤理事長のような元気な高齢者はそんなに増えてはいないと思います。

 

小野寺 百歳人口も増えていますし、90代ではさすがに動けませんよね。高齢者全体の割合ではなく、動ける高齢者が何割かという問題ですよね。

 

後編に続く