(idea 2014年8月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

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対談者

株式会社アーク       会長 橋本志津さん

有限会社げいび観光センター 専務 菅原善哉さん

 

聞き手 いちのせき市民活動センター  センター長 小野寺浩樹 

観光を通して地域を見つめる

わが町自慢の地域資源

株式会社アーク 会長 橋本志津さん
株式会社アーク 会長 橋本志津さん

【小野寺】今回は、過去にideaの中で「企業の地域貢献取材」としてお話を伺った企業の中から、市内の「観光」にスポットをあて一関市ならではの「おもてなし」と地域資源をどのように発信しているか、各社・各地域の目線でざっくばらんにお話していただければと思います。

アークさんではもともとは埼玉県で養豚をされていたとのことですが、藤沢町での起業はどのような経緯だったのでしょうか?

 

【橋本】亡くなった主人が父と埼玉の深谷市で養豚業を始めたのですが、深谷市は都市近郊型の工業団地。軌道に乗り始めたころ、高度成長期まっただ中という事もあり拡大が難しくなったのです。主人が大規模養豚企業を目指すために適した場所を探していたころ、主人の恩師で、私たちの仲人でもあった方に岩手を紹介していただき、藤沢町の黄海地域というところを知りました。色々あって、黄海の上中山という集落の山を約20ヘクタール買うことができましたが、当時は今のように開かれた道路もなく、ほとんど地元の人でさえも入らない山でした。それが、株式会社アークのスタートです。「観光業」というよりも、私たちは本来「生産者」ですから、最初は豚肉の生産。それから徐々に加工、販売、サービスと段階的にやって来たわけです。

 

【小野寺】現在の観光地としてのアーク牧場はすごく広々としていますが、どういった経緯があったのでしょうか?

 

【橋本】国営農地開発という事で、行政側から「耕種農業をやってください」という場所で非常に厳しい縛りがあったわけです。それまでは、養豚と手作りハムの加工がメインでしたから、「畑作を中心に」ということで、私たちも戸惑いながら試行錯誤した時期でした。そこで、農業と言っても従来型の農業ではなく、「若者が夢のもてる未来型農業を展開してみよう」となったのです

【小野寺】なるほど。発想の転換ですね。

いちのせき市民活動センター センター長 小野寺浩樹
いちのせき市民活動センター センター長 小野寺浩樹

【橋本】当時、農業は「3K」と呼ばれ若者離れが進んでいましたからね。しかし私たちが日頃生きていくために必要な「食」は生産者がいて初めて成り立つものです。そこで私たちは、若者や子どもたちに農業に対する知識や大切さを伝えるために、実際体験できるよう環境を整えていきました。アーク牧場は平成4年にオープンし、翌年の平成5年には、体験学習の受け入れ宿泊施設としてペンションをオープンしました。当時は珍しさもあり、マスコミの取材もあってお客様も増えていき、地域の方々に徐々に理解していただいたのです。

 

【菅原】アークさんは、6次産業の先駆けですよね。

 

【小野寺】当初の養豚の生産から始めて40数年、藤沢という地域で体験型を取り入れて20数年という、培ってきた地域との関わりや経験というのは大きいのだなと感じました。

さて、げいび観光センターさんにお話を伺いたいのですが、一関市の観光において、東山の「猊鼻渓」はなくてはならないという声が多く、東山町の持っている資源は強いなと感じているところなんですが・・・

有限会社げいび観光センター 専務 菅原喜哉さん
有限会社げいび観光センター 専務 菅原喜哉さん

【菅原】そうですね。猊鼻渓の観光規模が大きくなってきたなと感じているのは、ここ30年くらい。当時は団体旅行が中心で、団体のお客様の受け入れに営業も力を入れていました。多い時には年間40万人の観光客を受け入れることができていました。やはり、時代の変化とともに、団体が少人数のグループ化や個人での旅行客が多くなり、今までの観光形態は徐々に変わってきているというのが現状です。観光だけではなく、農業・商業・工業等々含めた地域力を有効に使いお客様を「おもてなし」する時代にきているなと感じています。当社では過去の成功体験として「大きく団体客を取り入れた」という実績からの転換がその要因にもなっているのでは?と感じています。そういった中で、ここ4、5年前から、いろいろな取り組みをしてきてはいます。しかし、単独ではうまく成り立っていかないなという事で、一関市周辺の企業や観光施設等とうまくコラボレーションができるようなことを現在探している最中です。また、「もう一度地元の方に興味・関心を持ってもらいたい」というところがある反面、現在は海外に目を向けているところです。

 

【小野寺】海外ですか?

 

【菅原】はい。特に台湾のお客様ですかね。猊鼻渓に来てくださいというよりも、どちらかというと、日本に来てくださいという営業展開です。初めての方は日本の観光というと東京・大阪を中心にされるようですが、「2、3回目日本に来るときは岩手に来てください」「岩手まで来たら一関、猊鼻に来てください」という感じですね。台湾からは、年間に2万人くらいのお客様がいらっしゃいます。

 

【小野寺】海外に目を向けるという発想があったとは驚きました。

 

商品・資源の価値を知り、それを広げていく

【小野寺】アークさんの経営理念の一つに、「食はいのち」という言葉ありますが・・。

 

【橋本】そうなんです。農業は唯一命を生み出す産業ですからね。健康産業、生命産業とも言われますね。ですから、観光という事にこだわりはないんですね。お客様に来ていただく、私たちの商品を認めていただき、この地までわざわざ買いに来て下さるという方のためにそういった方々をさらに増やしていこうという気持ちです。ですから「食はいのち」というコンセプトをしっかりと理解して頂きたいと・・・。うちの商品は決して安くはないものですからね。うちの経営理念をしっかりと知っていただき、共感してくださる方々にこそ来ていただきたいなと思っています。

 

【小野寺】そうですね。今は昔と違って、「安いから飛び付く」って時代ではないですよね。そこにある価値に人は多く群がっていくかなって、実際アークさんの持っている商品価値や、げいびさんの持っている資源価値など、その価値に気付いてきてくれるっていうことですよね。時代は変化して、自己実現ができることを求める人が多くなってきていると思うんです。職業の選択としても言えると思うんですよね。

左から菅原さん、橋本さん、小野寺
左から菅原さん、橋本さん、小野寺

【小野寺】今までお話を伺ってきましたが、広い一関市の中で、地元も見つつよそも見るという視点がすごいなと思いました。企業としては自分たちのマーケットがどれだけあるかということが企業成長にとってすごく大事なことだと思うんですが、地域の中でも「自分の地域の中にこういう企業があって、このような活動をしているんだよ」なんていう事も、しっかり知っておく必要があると思うんですよね。そして、地元の人たちが地域にある企業のこと、または活動をもっと広げていかなきゃと思います。「企業さんが我が地域にこれだけの人を連れてきているんだよ」という点がお互い共存の土台になるのではないでしょうか。これからそういった面で企業さんと地域の橋渡しの部分になれればいいなと感じています。本日はお忙しい中どうもありがとうございました。

橋本菅原ありがとうございました。

基本情報

【株式会社アーク】

住所:〒029-3311 一関市藤沢町黄海字衣井沢山9-15

電話:0191-63-5100 FAX:0191-63-5101

 

【有限会社げいび観光センター】

住所:〒029-0302 一関市東山町長坂字町467

電話:0191-47-2341 FAX:0191-47-3288

紙面で紹介しきれなかった部分は、「こぼれ話」としてブログに掲載しています。気になる方はチェック!

URL:blog.canpan.info/ichinoseki/category_15/1

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