(idea 2025年6月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
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小野寺伸幸さん(写真左)と同会ドライバー(写真右)。リース車両「猿沢アッシーくん」のドアに貼付された
ステッカーは、団体の運営経費を支援しているスポンサーのロゴ(令和7年4月時点)。
令和6年10月に発足した「猿沢カーシェア会」を立ち上げるきっかけを作り、現在は同会会長を務める。「ふれあい交流館 なに~か・あ~る(令和4年6月オープン)」の運営組織である「ふれあい委員会」の代表を令和6年3月まで務めあげ、猿沢一区自治会の会長も担う(令和7年4月より)。大東町猿沢地域在住。
対談者 猿沢カーシェア会 会長 小野寺伸幸さん
聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺浩樹
「コミュニティ・カーシェアリング」は、東日本大震災で約6万台の車が被災した宮城県石巻市で生まれ、(一社)日本カーシェアリング協会※1(以下、協会)が広めている取り組みで、支え合う地域づくりを目的とし、協会のサポートを受けながら地域で運営するサークル活動のことです。今回は、市内で最も早く導入した「猿沢カーシェア会」の会長・小野寺伸幸さんにお話を伺いました(2回シリーズの前編)。
※1 一般社団法人日本カーシェアリング協会は、車をシェアして支え合う仕組みを地域につくる「コミュニティ・カーシェアリング」のほか、災害時に車で困らない地域を作る「モビリティ・レジリエンス」、寄付車を貸し出すことで人と地域を元気にする「ソーシャル・カーサポート」など、寄付で集めた車を活用した社会貢献活動を行う非営利組織。
小野寺 市内で注目を集めている「猿沢カーシェア会」の「コミュニティ・カーシェアリング」ですが、具体的にどのような活動なのでしょうか?
伸幸 まず、「猿沢カーシェア会」は運営団体の名称で、リース車両の愛称が「猿沢アッシーくん」となります。当会は、高齢者や交通弱者、地域や社会との繋がりが希薄化している人を支援するため、共同車両を使った外出支援を行う団体です。あくまで、既存の公共交通等の運行時間外などの隙間を埋めるような形で利用していただくもので、道路運送法に抵触しないように、住民がボランティアで協力し合い、燃料代や車両維持費の経費実費を利用者がルールに基づいて分担しています。つまり完全に「非営利」の運営です。
小野寺 通常のカーシェアリングサービスや、運転手に介護福祉関連の資格が必要な介護タクシー、福祉タクシー※2等とは違う目的での運用なんですね。導入までに至ったきっかけは?
※2 「福祉タクシー」の正式な呼称は「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)」で、一般タクシー事業者が福祉自動車を使用して行う運送や、障がい者等の運送に業務の範囲を限定した許可を受けたタクシー事業者が行う運送のこと。
伸幸 大東町内の自治会長向けに、大東町自治会連絡協議会(以下、協議会)が主催の「支え合う仕組みを地域に作るコミュニティ・カーシェアリング」という研修会が令和5年11月に開催されて、自分は自治会長ではなく会計だったのですが、代理で参加したんです。その研修会の講師が、協会代表理事の吉澤さんだったのですが、話を聞いていくうちに「うちでもできるんじゃない?」と思ったのがきっかけで。研修会が終わってからすぐに資料を貰って、猿沢地区振興会※3に「これをうちでもやりたいんだけど」と相談しに行ったんです。
※3 猿沢地区振興会は大東町猿沢地域の地域協働体で、猿沢カーシェア会が発足する前は部会事業としてコミュニティ・カーシェアリングに取り組み、現在は猿沢カーシェア会の事務局支援を行っている(車両の鍵の受け渡しなど)。
小野寺 思い立ってからすぐ行動に移されたんですね。
伸幸 「これは簡単で面白い仕組みだから、他の地域でもすぐ導入しちゃうだろう」と思っていたんです。だから、「猿沢を第1号にするぞ!」と意気込んで進めていました(笑)そしたら、今のところ市内で後に続く地域がないから、「あれ?みんなやらないの?」と予想が外れていたところでした。
小野寺 その行動力はなかなか真似できないですよ!猿沢地区振興会に相談したあとは、どのような動きに?
伸幸 私は事前に知らなかったのですが、協議会の研修会の内容を提案したのは、猿沢地域の人だったそうなんです。「地域の人たちがコミュニティ・カーシェアリングに興味を持っているならば」と、早速翌年の令和6年2月、猿沢地区振興会と一関市猿沢市民センターが共催で講演会を開催、吉澤さんに再度お越しいだたき仕組みの説明をしてもらいました。これには40人程度の地域住民が参加してくれて、「カーシェアリング」が横文字で言いづらいから、「『車貸せや(くるまかしぇあ)』でいいんだ!」なんて、冗談を言い合ったりしました。
小野寺 なるほど(笑)猿沢地区振興会が地域づくり計画※4を作成する際も、高齢者の移動手段が無いことについての課題が挙がっていたので、住民も興味関心があり、上手くかみ合ったのかもしれませんね。
※4 地域づくり計画は、地域協働体が策定する地域の将来像(ビジョン)、課題やその解決の方向性などをまとめた計画のこと。
伸幸 そうだと思います。そして、講演会後すぐに運営スタッフの募集をかけたところ、10名が手を挙げてくれました。
小野寺 10名も集まったんですね。全員ドライバーですか?
伸幸 いえ、そのうちの7人がドライバーで、残りの3人はその他運営に係る作業を担当するスタッフになります。
小野寺 「他人を乗せるのは怖い」という認識があるのが一般的だと思うので、その人数が集まるのはすごいことです。
伸幸 はい。「地域のために何かしたい」と考えてくれる人が集まってくれて、非常にやり易かったですね。そして、導入のための準備をする会として「コミュニティカーシェアリング部会(猿沢地区振興会)」が同年4月に発足し、テスト運行が始まるまで、下準備に時間を費やしました。
小野寺 下準備の間は、協会からサポートを受けながら進めたんですか?
伸幸 本来であれば協会のサポートを受けながら進めるものだと思います。基本的な流れとしては、協会の「『コミュニティ・カーシェアリング』導入サポートプログラム」に自治体から申し込み、委託を受けた協会が「課題を抱える地域」に導入支援を行います。この流れの場合、自治体が導入支援費を負担することになるので、「協会代表理事の吉澤さんがアドバイザーとして登録されている『外部専門家(地域力創造アドバイザー)制度』を利用すればいいかな」と私は考えていたのですが……最終的にその制度は利用しない流れになりました。
小野寺 「外部専門家(地域力創造アドバイザー)制度」は、「市町村が、地域活性化の取組に関する知見やノウハウを有する外部専門家を招へいし、指導・助言を受けながら取組を行う場合の必要経費について、総務省が支援する」という制度ですよね。その制度を利用しなかったというのは……?
伸幸 私たちのやる気がありすぎて、協会の導入サポートプログラムを利用する前から、猿沢地域の力だけで、勉強会から視察、テスト運行の体制まで整えてしまったんです。
小野寺 素晴らしい。立ち上げからずっと住民が主体的に動いていて、地域への情熱を感じ取れます。
伸幸 住民に理解してもらうため事前説明をして歩いたり、部会事業として「上浜田アッシーくん(陸前高田市)」「のぞみ野カーシェア会(宮城県石巻市)」と「松の実フレンド(宮城県登米市)」の視察で学んだり、予約専用の携帯電話や事務局の準備、運営経費のスポンサー候補企業も事前に見つけていました。その後「法律などは専門家に指導して貰った方が良い」ということで、「ご近所支え合い活動助成金(いきいき岩手支援財団)」を活用して、協会へ「テスト運行サポート」を依頼することになります。
【後編に続く】
開館時間
9時~18時
休館日
祝祭日
年末年始
(12月29日から翌年1月3日まで)
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