毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第75話(idea 2025年6月号掲載)

今月のテーマ

 

地域運営の落とし穴 (59)

地域の役割や各種団体の目的の再確認を!

役割をどう見直すか

 

 地域運営では、「負担軽減」というキーワードが様々な地域から出ています。高齢化、更にはプレーヤー人口の減少から、地域で何をするにも関わる人が減少し、一部の人の負担が増え続け、役員の改選期では‘なり手’が見つからず空白になることもあるなど、見直しによる負担軽減の声が多くあげられています。ですが過去の本頁(2022年8月号掲載「見直しのし過ぎはご用心」)で扱ったように、負担軽減のための見直しは重要であるものの、その必要性については改めて考えてみることをおすすめします。なぜならそれぞれの役割は明確な目的を持って設置されており、決して無駄ではない場合が多いからです。

 

 見直しの手順としては、まず現状の役割や目的を再確認することが重要です。各団体や地域の活動において、 ‘従来の役割が今も必要であるか、あるいはその役割に変化が求められているかを評価することが大切です。役割が明確でない場合、関わる人々のモチベーションが低下し、心理的な負担が増大することになります。例えば地域のイベントや活動計画において特定の役割を持つ担当者を置く場合、その役割が本当に必要不可欠なものかどうかを検討する必要があります。時には、役割の簡素化や統合がより効率的な運営を可能にすることもあります。同様に、役員の任期や役割に対する報酬等の見直しも負担軽減の一環として考慮すべきです。

 

 また、役の見直しには関わる人々の意見やニーズを積極的に取り入れることも重要です。地域の声を反映させることで、より適切な役割分担が可能となり、全体の負担を軽減することができます。注意していただきたいのは、役の見直しは負担軽減のために有効な手段ではありますが、その実施には慎重な検討と計画が必要だということです。現状の評価と改善点を明確にし、地域の活力を維持しつつ、持続可能な運営を目指すことが求められるのです。

 

 しかしながら、上部組織がある場合は、地域だけでの改善が難しい場合があります。「上部組織が変えないから悪い」ということではなく、まず上部組織は地域ニーズを把握し、どのように改善することが望ましいのかを考えることが重要です。その障壁として「集落推薦」という仕組みが問題になることが多く見られますが、それは人口減少が大きな要因のひとつです。「集落単位ではなく広域の地域単位での推薦なら可能」という意見もあり、持続可能な地域づくりを進めていく為には、地域と上部組織とが話し合いながら双方にとって良い方向性を導き出すことが必要なのです。

 

 

個人主義時代でも必要な 「助け合い」

 

 先日、ある地域で役のなり手不足による「地域運営の在り方」というテーマのワークショップを行いました。そこで、役のなり手不足の改善策を話し合う前に、‘いま地域にある役割は集落オリジナルか、あるいは行政や各団体と関係のある役割か’を分析したのですが、「その役割ってなんですか?」「どこと関係のある役割ですか?」という質問が出て、実際に関わっている人ですらその説明に戸惑う場面がありました。輪番制でなんとか体裁を保っている、というのが現状です。

 

 しかしながら人口減少により‘なり手’となる人がそもそもいないという状況に直面している集落もあるので、「現状維持でいきましょう」とは言いにくい状況になっています。集落の縮小による課題は、これまでの地域運営の体制(集落再編を含む)を見直さなければいけないのですが、役割については必要性(何を目的に、どのような働きをするのか)を理解してもらえないと引き受けてはくれません。知らないことを引き受けるというのは抵抗があるものなので、まずは知ること、そして現役員は「引き受けると大変だ」というネガティブな発言は控えるようにしないといけませんね。

 

 個人主義化した現代なので、困ったときだけ助けてほしいという人もいるでしょう。ですが、それは都合の良い話です。自分が助けなければいけない場面もあるのですから、‘みんなが暮らす地域’という意識を持ち、支えあえる関係を作りましょう

 

 

博識杜のフクロウ博士 75話 地域運営の在り方ワークショップ

令和6年3月に開催された永井地域コミュニティ活性化協議会

「なが~い未来会議」の地域運営の在り方ワークショップ

 


 

 

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