※修正とお詫びのご連絡※

2025年idea6月号の誌面上(冊子として印刷されたもの)で掲載した「自由研究」ページに誤りがありました。読者の方々にご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした。

訂正してお詫び申し上げます。HPでは、修正後の内容で記載しております。

 

誤りがあった箇所は以下の通りです。

 

左頁 勝手に厳選!おすすめ「橋」~3選~ 北上大橋 概要説明

 

明治9年、大船渡線開通や軍事的配慮などで沿岸と内陸を結ぶ道路が必要となり、北上大橋の架橋計画が動き出しましたが、台風の影響で完成間近に落橋(明治10年)。明治13年、当時では珍しいタイドアーチ形の橋が完成。

 

昭和9年、大船渡線開通や軍事的配慮などで沿岸と内陸を結ぶ道路が必要となり、北上大橋の架橋計画が動き出しましたが、台風の影響で完成間近に落橋(昭和10年)。昭和13年、当時では珍しいタイドアーチ形の橋が完成。


※お願い※

記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。

無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。

 

くらし調査ファイル No.30「橋②」

(idea2025年6月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

 


私たちの生活に「橋」は欠かせず、橋とその周りは、市ができて賑わい、人々の出会いや別れの舞台にもなり、橋にまつわる民話や小説、詩歌、あるいは映画など、橋を題材にした作品が多くあります。前号では、僧侶によって橋の構造が発展し、産業革命を機に変化していく橋の材料等にスポットをあてました。今月号では、当市域の特徴ある橋を紹介します。

 

※記載内容はあくまでもセンター独自調査の結果です。

 

前号「橋①」はコチラ


目次

建設から管理の時代へ

 

 前号では、橋の歴史や文化、仕組み(構造)などについて紹介しましたが、日本の多くの橋は高度経済成長期に架けられ、中には50年以上経つ橋もあります。平安時代には橋を管理する「橋守」の職業があり、江戸時代には「橋番屋」という小屋を橋の側に建て、橋の点検や修理を日頃から行っていました。橋守の制度は昭和35年頃まで続き、そのおかげで橋は長持ちし、架け直しも少なく済んでいました。

 

 今日において、橋守という職業はなくなりましたが、橋を点検して維持・補修していくため、国土交通省が都道府県に定期点検の実施を要請したり、橋梁点検車※1や高所点検用軽量ポールカメラ※2など、様々な設備やシステムが整えられています。

 

※1 足場が組みにくい場所に架かっている橋を点検するときに使用する。橋の上からアームを下ろし、橋の下面の点検・補修作業ができる。

※2 ポールの先にカメラが取りつけてあり、高い場所に架かっている橋や狭い場所の点検ができる。

 

 

当市域の「橋」

 

 田んぼの用水路や住宅の門口に架かる橋、大江堰送水管橋(一関市萩荘)、堤内排水路横断水管橋(一関市中里)といった「水道橋(水管橋)」、東北新幹線が走る第一北上川橋梁の「鉄道橋」などがありますが、最も多く架設されているのは、人や車が通る「道路橋」です。

 

 日本には約72万の「道路橋」があり、当市域における「道路橋」の数は1582橋※3あります。その発展は、明治23年(1890年)に奥州線(現・東北本線)開通、大正14年(1925年)に大船渡線開通により、舟運が衰退し陸路に変わったのがきっかけだと言われています。それまでは、対岸へ渡る方法が舟や木造の橋、舟橋だったのが、欧米技術の導入、材料の変化(鉄やコンクリートなど)により、架設する場所・目的によって多種多様な形となりました。

 

 さて、当市域で一番長い道路橋は「柵の瀬橋(一関市中里~舞川)」の693m、鉄道橋では「第一北上川橋梁(一ノ関駅~水沢江刺駅)」の3872mです。特にも「第一北上川橋梁」は、日本一長い鉄道橋として当市が誇るべき建造物です。

 

 当市域には特徴ある橋が多くあります。その中からスタッフが勝手に厳選した橋たちを下記にて紹介します!

 

 ※3 道路法(昭和27年法律第180号)第2条第1項に規定する道路における橋長2m以上の橋を指す。岩手県では、一般国道や県道、主要地方道、一関市では主に市道、東北地方整備局では国道4号に架設されている橋を管理している。

 

 

第一北上川橋梁(一ノ関駅~水沢江刺駅)

第一北上川橋梁(一ノ関駅~水沢江刺駅)

 


 

勝手にランキング♪

当市域で長い道路橋は!?

 

当市域内の長い道路橋ランキング

※国、県の管轄も含む。

 


 

勝手に厳選!おすすめ「~3選~

 

 上記で述べたように、橋は多種多様な形があり、当市域にも特徴ある橋が多くあります。その中からスタッフが勝手に厳選した橋(3選)にスポットをあて、さらに印象的な擬宝珠、欄干、親柱を紹介します。

 

※前号では橋の種類や仕組み等を紹介しているので、併せてご覧ください。

 

北上大橋

 

場所▶ 一関市弥栄~川崎町  橋長▶ 482m

北上大橋

 

 薄衣村(現・一関市川崎町)は「東磐の横浜」と称されるほど物資交易の港として、文化や人の交流する港(渡船場)として栄えていました。昭和9年、大船渡線開通や軍事的配慮などで沿岸と内陸を結ぶ道路が必要となり、北上大橋の架橋計画が動き出しましたが、台風の影響で完成間近に落橋(昭和10年)。昭和13年、当時では珍しいタイドアーチ形の橋が完成。平成15年、交通量の変化や老朽化に伴い、新北上大橋が旧北上大橋下流側に建設されました。新北上大橋は、バランスド・タイドアーチ橋として日本一の支間長208mを誇り、全国的に見ても珍しい形式です。さらに新北上大橋は、緊急輸送道路に指定され、東日本大震災では被災者の救急搬送や救援物資の輸送等に大きな役割を果たした重要な道路の一つになっています。

 

 

千歳橋

場所▶ 一関市孤禅寺~舞川  橋長▶ 434m

千歳橋

 

 赤色が印象的な千歳橋は、昭和53年に完成しました。元々は13隻の舟をつないだ「舟橋」でした(明治37年頃)。しかし、北上川の狭窄部に位置するが故に洪水に見舞われやすく、流失と改築が繰り返されたため、昭和22年に木造板橋に架け替えられたものの、カスリン台風(昭和22年)やアイオン台風(昭和23年)、キティ台風(昭和24年)が通過する度に橋が流失。相次ぐ被害を受け、昭和26年に潜水式の木造板橋(通称・もぐり橋)が完成しますが、増水の度に潜水する橋だったため、通行止めになる期間が多く発生。そのため、嵩上げ改良工事を経て、昭和33年に潜水式鉄筋コンクリート橋に架け替えられました。さらなる利便性と安全性が求められ、現在の銅トラス橋ができ、一関市孤禅寺と舞川を結ぶ主要地方道一関大東線の幹線道路となっています。

 

 

長者滝橋

場所▶ 一関市厳美町  橋長▶ 61m

長者滝橋

 

 奥州藤原氏の時代、金を商い巨万の富を得た「大すみの長者」が、盗賊に備え、この地の滝に宝物を隠したという伝説から生まれた「長者滝」の上に架設されたことから「長者滝橋」と呼ばれています。昭和14年に架設されましたが、当時は日中戦争の最中で鉄材の使用が制限されていたため、引っ張りに強い竹が鉄筋の代わりに使用されました。この橋を「竹筋橋(ちっきんきょう)」と呼び、こうした工法による建造物が今も残されているのは全国的にも珍しく、貴重な近代化遺産として、国の登録有形文化財に指定されました(平成11年)。平成20年の岩手・宮城内陸地震の際も十分な耐久力を示し、地元住民の要路としての役割はもちろん、史跡名勝天然記念物の厳美渓の渓谷を上流から楽しむことができるため、観光スポットにもなっています。

 

 


上記で述べたように、橋は多種多様な形があり、当市域にも特徴ある橋が多くあります。その中からスタッフが勝手に厳選した橋(3選)にスポットをあて、さらに印象的な擬宝珠、欄干、親柱を紹介します。

 

前号では橋の種類や仕組み等を紹介しているので、併せてご覧ください。

 

 

擬宝珠

擬宝珠_山古沢橋_室根町矢越

山古沢橋 (室根町矢越)

 

 

擬宝珠_迎橋_東山町長坂

迎橋 (東山町長坂)

 

 


親柱

親柱_花藤橋_花泉町日形~藤沢町黄海

花藤橋 (花泉町日形~藤沢町黄海)

 

 

親柱_西前橋_東山町松川

西前橋 (東山町松川)

 

 

親柱_旧北上大橋_川崎町

旧北上大橋 (川崎町)

 

 

親柱_迎橋_東山町長坂

迎橋 (東山町長坂)

 

 


欄干

欄干_花藤橋_花泉町日形~藤沢町黄海

花藤橋 (花泉町日形~藤沢町黄海)

 

欄干_西前橋_東山町松川

西前橋 (東山町松川)

 


欄干_小林橋_室根町折壁

小林橋 (室根町折壁)

 

 

一関市が管理する橋の中で

一番長いのは「花藤橋」!



<参考文献> ※順不同

 

一関の文化財 平成29年度版(一関市教育委員会/2018)

シリーズ・ニッポン再発見⑤ 日本の橋(五十畑 弘/2016)

調べる学習百科 あんな形 こんな役割 橋の大解剖(五十畑 弘/2015)

図解入門 よくわかる 最新「橋」の科学と技術(五十畑 弘/2019)

岩手の橋のアセットマネジメント~橋を長持ちさせるために~(岩手県県土整備局/2012)

写真記録集 一関の年輪Ⅱ 二十世紀の一関(一関の年輪刊行委員会/2000)

岩手県 県土整備部 道路環境課(2021)『岩手県道路橋長寿命化修繕計画』

岩手県 県土整備部 道路環境課(2025)『岩手県道路橋定期点検要領』

一関市役所・道路建設課(2023)『令和5年度橋梁点検結果』

国土交通省(2024)『道路施策の展開』

国土交通省道路局(2019)『道路の維持管理について』

国土交通省東北地方整備局一関出張所(2020)『i・report No.458, 465』

 

東北地方整備局(2002)『橋調書』

国土交通省 中部地方整備局(2022)『日本の橋梁の現状~建設から管理の時代への移行~』

山本 義雄(2019)『竹筋橋(ちっきんきょう)』

 

中日本建設コンサルタント株式会社(2017)『アーチ橋のお話し』

伸縮装置Navi .支間長とは【最大支間長や径間長との違いをイラスト図で紹介】

.https://jointnavi.net/glossary/shikantyo/(2025/05/20)

一般社団法人 日本橋梁建設協会 . 虹橋No.70 歴史を継承するクラシカルデザイン 北上大橋

.https://www.jasbc.or.jp/technique/nijihashi70/nijihashi70-14.php(2025/05/20)

文化遺産オンライン.長者滝橋

.https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/192399

一関市役所.とっておき いちのせき

.https://www.city.ichinoseki.iwate.jp/index.cfm/18,13144,87,230,html

昭和館 . 戦後復興までの道のり-配給制度と人々の暮らし-

.https://www.showakan.go.jp/kikakuten/%E6%88%A6%E5%BE%8C%E5%BE%A9%E8%88%88%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E9%81%93%E3%81%AE%E3%82%8A-%E9%85%8D%E7%B5%A6%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%A8%E4%BA%BA%E3%80%85%E3%81%AE%E6%9A%AE%E3%82%89%E3%81%97/#:~:text=%E6%98%AD%E5%92%8C14%E5%B9%B4(1939)10,%E5%93%81%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%80%82

 

草野作工株式会社. 旧舞鶴橋~平安の時代史伝えるアーチ橋

.https://www.kusanosk.co.jp/trivia/huukei/bridge-huukei/12999

国土交通省 中部地方整備局 中部道路メンテナンスセンター .橋梁メンテナンス用語集

.https://www.cbr.mlit.go.jp/chubumc/document/glossary/

室根総合開発株式会社.モニュメント 記念碑

.https://www.muronet.co.jp/stone/monument.html

水土里ネットてるい.土地改良区施設紹介【水管橋・サイフォン編】

.http://www.terui1170.com/category9/entry22.html

 

 

その他、調査にご協力いただいたみなさま、ありがとうございました! 


 

↓ 実際の誌面ではこのように掲載されております。

2025idea5月号 自由研究 キャプチャ画像

 

 

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