(idea 2021年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

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「不妊治療」の「選択肢」を広げて

~正しい理解とサポート環境の構築~ 【前編】

産婦人科野田 医師(医学博士) 野田隆弘さん  

産婦人科野田 医師(医学博士) 野田隆弘さん

 弘前大学医学部を卒業し、産婦人科医としての経験を積みながら、平成16年には東北大学にて博士号取得。東北大学病院のほか、宮城県のスズキ記念病院、仙台ARTクリニックなど、生殖医療専門病院での経験も豊富。平成30年、本格的にUターンし、産婦人科野田での治療一本に(以前から週に1~2回の出張診療を行っていた)。昭和43年一関市生まれ。

対談者  産婦人科野田 医師(医学博士) 野田隆弘さん  

                                                                          

聞き手 いちのせき市民活動センター  センター長 小野寺浩樹

 

  晩婚化とともに「晩産化」も進む現代。厚生労働省のデータによると、昭和50年の第1子平均出産年齢は25・7歳でしたが、平成28年には30・7歳。また、出生数は減少を続けているのに対し、45~49歳の出産数は増加しており、令和元年で見ると、昭和60年の6・5倍にも及んでいます。そんな晩産化時代の鍵とも言える「不妊治療」について、私たちはどれほどの「理解」を持ち合わせているでしょうか。

 

 小野寺 少子化の中で、子どもを産まないのではなく、子どもができずに悩んでいる人も多いと聞きます。実際、不妊治療で通院される人はどれくらいいますか?

 

野田 体感として患者さんの2~3割が不妊治療の患者さんですね。月に2~3回通院する人もいれば、3か月や半年に1回の人もいるので、一概には言えませんが。

 

小野寺 通院の頻度にそれだけの差があるのはなぜですか?

 

野田 基本的な情報を提供して、半年や1年間は自然に頑張るという患者さんもいれば、超音波検査などによるタイミング法や、人工授精※1などの場合は月に1~3回になったり、それぞれの事情に合わせて計画します。

 

※1 排卵日に合わせて、洗浄・濃縮した運動精子を直接子宮内に入れる方法 

 

 

小野寺 治療を始める年代やきっかけにはどういう傾向があるでしょうか?

 

野田 多いのは30歳の方ですね。30歳、35歳、40歳と、節目のようなタイミングでしょうか。20代のご夫婦に多いのは、1年間自然妊娠を目指した結果、妊娠に至らず、原因を知るために来院するというケースです。

 

小野寺 確かに今は、女性もある程度仕事のキャリアを積むとなると、子どもを産みたいと思うのが37~38歳くらいになってしまうようですね。

 

野田 子どもをつくることに対しての考え方が今と昔とでは全く違います。かつては自分のイエ・家系が大事で、家系の発展のために子どもを持ちましたが、戦時中になると、国を強くするために出産が奨励されました。

 

小野寺 「産めよ殖やせよ」政策ですね(苦笑)。

 

野田 そう。そして近年の日本政府はGDPをあげるためにと言っていますよね。でも、個人の立場とすれば、GDPなんて意識しているわけではなく、自分たちのためであり、「自分の人生を前に進めるため」に妊娠を望んでいます。ようやく「自分たちの人生・幸せのために子どもを持つ」ということが大きな声で言える時代になったんだとも言えます。

 

小野寺 確かに、時代によって妊娠・出産に対しての価値観が違うので、地域の中で話をする時に、今の先輩世代とは話が合わない部分があります。

 

野田 実は「不妊治療」の考え方も変化が生じてきていて。最近は「不妊治療≒体外受精」と言っても過言ではないくらい、体外受精がメインになってきてしまっています。不妊治療に関する学会に出席しても、体外受精をしている開業医が急増している実感があります。国としても不妊治療の保険適用を……と言うのは、実際のところ体外受精を指しているんです。

 

小野寺 体外受精がメインになってきている背景は何なんでしょうか?

 

野田 受精する確率や1回あたりの効率が高いことですかね。ただ、体外受精というのは、本来は受精卵が子宮に移動することができない卵管閉塞※2の患者さんのための治療法です。それが、最近は卵管閉塞以外の人でも、妊娠の確立が高いために、体外受精を行う人が増えている現状です。

 

※2 子宮の左右にある卵巣と子宮をつなぐ「卵管」が閉塞している状態

 

 

 

小野寺 不妊治療という言葉は一般的になってきていますが、具体的な理解はないのが正直なところです。実際、不妊症を「治す」という治療方法があるんですか?

 

 

野田 不妊治療で来院される患者さんの大多数が「自分には治療しなければいけない要因があって、治療したら妊娠できる」というストーリーを抱いて来ますが、実際にはその図式に当てはまる人はごくわずかです。ほとんどの人が、全く原因はないが妊娠しない、もしくは妊娠率はゼロではないけど、少し確率が低いというケースですね。

 

 

小野寺 それは意外です。治療が必要なケースというのは?

 

野田 メジャーな要因は大きく3つあって、無排卵症※3、卵管閉塞、高度乏精子症※4です。この3つの場合、治療しなければ絶対に妊娠できませんが、逆に治療すれば妊娠できます。治療法としては薬や手術、先ほど言った体外受精などがあります。

 

※3 様々な要因により排卵が起こらない状態(月経不順含む) 

※4 精子の数が一般的な数値よりも少ない状態(1ccあたり500万以下)

 

 

小野寺 確実に治療が必要な症状が少ないとなると、それ以外の人はどのような診察を?

 

 

野田 一般不妊治療として、基礎体温や超音波検査などで排卵日や排卵周期を明らかにしたり、人工授精などがあり、それはそれで脈々と学問の流れがあるわけです。僕としては、こうしたクラシカルな不妊治療に力を入れているという立場です。基礎体温をしっかり見て、タイミングを合わせてあげたり、要は妊娠に至るまで気持ちが折れずにやっていけるように、本人たちの努力をサポートするという部分です。

 

 

小野寺 「不妊治療」という言葉から、「悪い所を治して妊娠する」というイメージを抱きがちですが、実際には「妊娠できるようにサポートする」という方が近いんですね。

 

 

野田 世の中では「不妊治療=悪い所を治して妊娠」と思われていますが、実際に行われているのは「体外受精をして早く妊娠できるようにする」という構図です。確かに体外受精だと、どうしても体外受精が必要な人も、そうではない人も、ある程度の年齢までは半分強の人が妊娠する……。ただし、体外受精は地理的にも経済的にも負担※5が大きいんです。お金も時間もあって、体外受精をする環境にある人はごく一部です。

 

※5 体外受精を行う病院は、県内では盛岡のみのため、仙台の病院に通う人も。1年間にかかる費用は100万円程に         

   なるケースも(卵子の採取数や、凍結の有無、受精方法等によって異なる)。

 

 野球に例えると、メジャーリーガーを使ってホームランを狙うのか、打率低い人たちが頑張って毎回バントとかででも塁に出ようとするのか、という違いです。どちらにしても良い成績は出せるんだから、どちらを選択しても良いように、どちらでも選択できるような状態を作ってあげたいので、クラシカルな治療に力を入れながらも、体外受精を行う病院との連携もしています。  

 

 

 

 

                                      【次号へ続く】

 

 

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