アートと地域~田舎の可能性を考える~

対談者 加藤鉄平さん

聞き手 いちのせき市民活動センター 主任 佐々木 牧恵

アートを始めたきっかけ

【佐々木】今や県内だけでなく、東京など関東でも活動している鉄平君ですが、絵はいつ頃から描き始めたんですか?

 

岩渕典仁さん 車いすラグビー 元日本代表監督

加藤鉄平 さん

 

【佐々木】今や県内だけで【加藤】サラリーマン時代からですね。働いている時に脳腫瘍で倒れて、治療の後に仕事復帰させてもらいましたが、その頃も付箋1枚1枚に絵を描き部屋中に貼って眺めたり、板に絵の具を飛ばしてみたり。それまではずっと絵を描く趣味もなく、別に好きなわけでもありませんでした。

 

【佐々木】鉄平君は高校でバドミントン部でしたし、スポーツマンのイメージが強くて、絵を描くイメージは一切なかったしそんな雰囲気もなかったですよね。

 

【加藤】「絵を描く」と言いますが、絵の具は手段の一つというだけで、実は「絵を描いてる」と言われるのも「アーティスト」と呼ばれるのも僕は違和感を覚えるというか。僕は別にアーティストを目指そうと思っていたわけでもないんです。自分でもよくわからないんですが、絵の具を飛ばしたり針金を丸めて色をつけたり、そういうやりたいことは次々に浮かびました。過去のフラストレーションを解消するかのごとく(笑)

 

【佐々木】それはサラリーマン時代のモヤモヤでしょうか?

 

【加藤】多分それよりも前、学生の頃からずっと溜まっていたような気がするんです。アートを作っている時は自分との対話というか、自分自身のことをずっと考えていますし。ダンボールや木の板とかの平面に絵具を塗るんですが、平面が足りなくてティッシュに描いた時もありました。その延長にできたのがシーツの作品だったんですよね。そうしているうちに作品が溜まりすぎて、「何かアクションを起こそう」「自分の作るものが人々の役に立てるかも」と思いまして。それが千厩でやった初めての個展「空と血と」だったんですよね。

 

【佐々木】「空と血と」というタイトルはかなり衝撃的でした。ちなみに、5月末から「涙~それははじまりの雨だった~」という個展を予定していますが、なぜこのタイトルにしたんですか?

 

【加藤】それは、僕に活動のきっかけをくれたのが「悲しみ」だったからなんです。なので、原点に戻る個展になるのかな。「悲しみ」というのは、僕が病気になった時、身の回りで自分より重い症状の人達が必死に生きている姿を見て、「可哀そう」とか「辛そう」とかそんな思いがありまして。ある日、僕が放射線治療を受けるために病院の地下を歩いていたら、先に女性がいたんです。その方が、新生児みたいな小さい自分の子を治療室に入れている様子を見て、すごく辛くなりました。励ましたくて「きっと大丈夫ですよ」と声をかけても表情は暗いままで…。

 

【佐々木】それは辛い気持ちになりますね。

 

【加藤】自分が誰かの役に立てるものは何だろうと考えた時があって。例えば、隣に泣いている方がいて、「ここにきれいな花が咲いているのに」って気づかせてあげたい気持ちでアートを作っている感じですね。

 

 

 

キーワードは「もったいない」

【佐々木】私も地元に戻ってきた人間ですが、地元にいる人が「地元で充実した暮らしができてるよ」「楽しくやってるよ」ということを発信するのはすごく大事なことだと思っていて、鉄平君はその象徴なんですよね。自分が何かやっていなくても、地元に帰ってこない友達に「鉄平君が千厩でこんな活動してるよ」と話すのが楽しいですし、すごくありがたい存在だと思っています。

 

【加藤】田舎と都会の壁みたいなものはこれからどんどんなくなってくるんじゃないかと思ってますし、なくなってほしいと思っています。

 

【佐々木】鉄平君は‘田舎の何もなさ’を売りにしてくれていますよね。「やりたいことが何でもできるよ」というような。

 

【加藤】僕は千厩スタートで、今は銀座のグループ展や六本木の国立新美術館で開かれる公募展にも参加できるようにもなりました。平成28年に千厩でやった個展に岩手芸術祭の方が見に来てくれて、そこから現代美術家協会の方とも繋がりができ、その方の紹介で去年6月に国立新美術館の現展に応募し、さらに入選することができました。

 

【佐々木】それはすごいですね!

 

【加藤】場所に関係なく、「想像力」さえあれば手段はあるということですよね。僕は田舎に可能性を感じています。

 

岩渕典仁さん

5月の個展で展示する作品を特別に見せていただきました。

鮮やかな青色とキラキラとした光は宇宙を連想させます。

 

生産者さんの「こうしたい」を大切に

【佐々木】そういえば、前に鉄平君が「地域のトタン屋根や壁を塗り替えたい」と話していたのがすごく印象的でした。

 

【加藤】やったら絶対におもしろいと思いますよ!屋根や壁のほかにも田んぼにアートを取り入れたりとか、こっちではすぐ「やっていいよ」と言ってくれる方がいますし、そういう‘田舎のもったいない景色’はまだまだありますから。

 

【佐々木】そこに住み慣れているとそういう発想もなかなか出てこないですよね。多分、一度都会に出て戻ってきた人だからこその発想というのもあるのかな。そこに目を向けてくれるのはありがたいですね。

 

【加藤】何ていうか、狭くなっている視野を広げてあげたいというのもあります。新しい価値を創造するのではなく、もともとある価値を思い出させたいというか。千厩に来て「ここは良い場所だな」って思ったらそれも視野の広がりですし、子どもの頃に田舎の開けた場所に来たらワッと走りたくなるようなあの感覚とか。

 

岩渕典仁さん

棚に並べられた植木鉢の作品。

過去に作った作品は大小関係なくどれも大切に保管しています。

 

楽しみながら地域の魅力を伝える

【佐々木】千厩へのこだわりはあるんですか?「千厩を拠点にしたい」とか「千厩を元気にしたい」とか。

 

【加藤】自分はやっぱりここがホームだなと思いますし、今は千厩をベースに活動したいと思ってます。でも、「まちを元気にしたい」とか「地域活性化」は、あまり目的にはしていません。その方が自分にとっては良いと思います。自分が何のしがらみもなく「楽しい!楽しい!」とやっていたら、自然な流れでまちが輝き、人々の心も輝いていく、そんな感じになってほしいです。

 

【佐々木】確かに。「元気」は「目的」ではなく「結果」!

 

 

【加藤】僕は「この路地裏かっこいい」とか「シャッターに絵描き放題じゃん」とかそういう地域の‘もったいない’を見つけて自分が楽しみながら活動したいし、そんな田舎のおもしろさを皆さんにも気づいてもらいたいですね。そして何事にも感謝していきたいです。

 

 

┃個展「涙~それははじまりの雨だった~」

 期間:平成30年5月26日(土)~6月3日(日)

 時間:9時~17時

 場所:小野寺家宅地(一関市千厩町鳥羽335)

    ※目印の看板もあります。

 フェイスブック:https://www.facebook.com/teppei.katou.9

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休館日

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