木の健康を守り、成長を助ける ~あらゆる木の性質を知る専門家~

樹木医 一関市 赤荻 佐藤好 岩手県立緑化センター 奥州市文化財保護審議会委員

樹木医 佐藤好さん

 岩手県職員として勤務していた頃から松くい虫対策や木の保護活動に携わり、その経験を活かして樹木医の資格を取得。現在は一関市赤荻の「佐藤樹木医事務所」を拠点に、県南や沿岸地域を中心に活動しています。

 

 樹木医(登録番号352号)/松保護士(登録番号21号)

・岩手県立緑化センター顧問 

・奥州市文化財保護審議会委員(植物)等

対談者 樹木医 佐藤好さん 

聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺浩樹

「センターの自由研究」の巨樹特集に合わせて、木のお医者さんである

樹木医の佐藤好さんに、普段の活動や地域の樹木に関するお話を伺いました。

 

小野寺 樹木医さんとは、そもそもどんなことをされている方なのか教えてください。

 

佐藤 木の病気を治したり、弱った木を元気にしたり、木を虫から守ったりですね。病害虫防除にも繋がってくると思います。その場所の土壌が悪かったり天候の影響を受けたりと、木も人間も同じで成長する段階で弊害が出てきますので。樹木医は病気になった原因を究明し、治療します。

 

小野寺 木の病気に対して治療方法があるんですか?

 

佐藤 たくさんありますよ。木には、葉・枝・幹・根があり、その部分に何らかの弊害や障害が出てくると、花が咲かなくなったり、葉が枯れてきたり、葉の色が変わったりなど、表面に表れてきます。

 

小野寺 見るだけで病気がわかるものなんですか?

 

佐藤 わかります。木には色々な病気がありますが、中でも菌の病気は厄介ですね。菌の性質により

様々ですが、例えば「ナラタケ菌」とは、ナラタケというキノコの菌で、木を食べ、枯らし、腐食させてしまいます。菌が付くと、根本からキノコの強い香りがするのが特徴ですね。

 

小野寺 根本が白くなっている木を見かけることがありますが、あれも菌の影響なのでしょうね。地域ではよく「松くい虫」の被害を聞きますが、なぜここまで広まってしまったのでしょう?

 

佐藤 松くい虫は、明治時代に外国から入ってきた虫なんです。明治から昭和初期までは、炭焼き職人が山に行き炭を焼きながら山を綺麗にしていましたが、時代の変化と共に炭の需要が減り、山へ行く人がいなくなり、山は荒れていきました。そのような状況の中、輸入した外材の中にたまたま松くい虫が入っていて、南から北へ生息域を広げながら増えていきました。

 松くい虫とは松を枯らす原因となる線虫を運ぶ「マダラカミキリ」という昆虫を指します。マダラカミキリ1体に500~1000もの線虫が付着していて、かじった葉の部分から線虫が木の中に入り、2週間ほどで羽化して増える。線虫は樹液を吸い乾燥させ、早ければ1か月で木を枯らせます。

 

小野寺 なるほど。対処方法としてはお薬での治療ですか?

 

佐藤 それが、線虫は木の奥に入り込んでしまうのでどうにもできないんですよ。木に入る前に薬で予防することはできますが、薬が切れるとダメです。

 線虫は若い木だとヤニが多くて入りにくく卵も産み付けにくいので、ヤニが少なくなった古くて太い木によく入るんです。地域にも立派な松が沢山ありましたが、全部やられてしまいましたね。

 

小野寺 地域の木を守っていくために、やはり樹木医さんの存在は大きいですね。樹木医さんは今市内に何人いらっしゃいますか?

 

佐藤 市内では私だけですが、県内で数えると10人強おります。私は花巻より南から、沿岸の方まで活動していますよ。

 

小野寺 どうしたら樹木医になれるのでしょうか?

 

佐藤 (一財)日本緑化センターで行っている試験に合格すればなれます。昔は農林水産大臣の認定資格でしたが、今は民間資格で、試験は3次まであります。 

 

小野寺 国家資格かと思っていましたが今は違うんですね。樹木医さんは樹種を限定することなく、全ての木を診るのでしょうか?

 

佐藤 全て網羅します。私は元々県の林業振興課で、松くい虫の対応や木の保護にも携わっていました。森林総合研究所に入って研修を受けたり、保護研究室に入って虫について学んだりしていたので、ある程度はわかっていたのかな。

 

小野寺 樹木医さんになるには経験も知識も必要で、なかなかハードルが高いんですね。

 

佐藤 色々な木の特徴を覚えなければなりませんからね。針葉樹、広葉樹…種類は色々ありますが、常緑樹は比較的丈夫なんです。落葉樹は葉が落ちる「休眠期間」に何かあると弱ってしまうこともあります。木の近くに側溝を作ったり、砂利を敷いたり等、意外と人的要因が多いんですよ。木の根は枝と同じぐらいの範囲に広がるので、根本にも同じくらいの面積を確保しないと成長していきません。木の間隔が狭く枝が交錯すると、どちらか片方または両方の枝が上から枯れてくることもあります。

 

小野寺 そうですね。木の中の競争ですよね。

 

佐藤 そして枯れてきた部分を切ったり、邪魔な枝を切り落としたりすると、そこからどんどん腐れが入ってきます。

 

小野寺 地域の街路樹も、枝が途中で切られているのを見かけたりしますよね。

 

佐藤 そうですね。木には高木・中木・低木がありますが、街路樹に高木は向かないんですよね。たちまち大きくなってしまいますから。街路樹に植える木は、ヤマボウシやハナミズキなど、高さ2~3mくらいの中木・小木がお勧めです。これらはそんなに高く伸びないので、お手入れしやすく、扱いやすいです。

 

小野寺 おもしろいですね。木に対する見方が変わります。

 

佐藤 木は奥が深いですよ。土の硬軟・乾湿、気温の寒暖など、その環境に強い木・弱い木があります。土壌により植生が異なるので、土壌や植生を見ればその場所に適した木がわかります。

木によって性質は違いますから。そういうことがわかるとおもしろいですよ。

佐藤樹木医事務所  

住所 一関市赤荻字下谷地22-5

電話 0191-33-1855 

 

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