理想のふるさとを求めて

~話し合いの仕組みと機動力をもった地域に~

三浦幹夫 一関市協働推進会議会長

一関市協働推進会議 会長 三浦幹夫さん(上の写真)

平成20年より一関市が取り組み始めた「協働のまちづくり」において、その具体的な取り組みを検討する「協働推進アクションプラン」検討委員会の準備委員会から住民代表として委員長を務め、平成24年から設置された「一関市協働推進会議」においても現在まで会長を務める。室根12区自治会会長、室根まちづくり協議会会長としても活躍中。

対談者 一関市協働推進会議 会長 三浦幹夫さん   

    

聞き手 いちのせき市民活動センター 主任支援員 佐々木牧恵

「森は海の恋人植樹祭」で全国的に名が知られる室根12区自治会。その自治会長を15年以上務め、単位自治会レベルの地域づくり活動に尽力する傍ら、新一関市としての「まちづくり」においても、「一関市としての協働」を定義する段階から関わり続けてきた三浦さん。初動時期から現在までを知る貴重な立場から、協働のまちづくりが進むべき「これから」を語っていただきました。

佐々木 協働推進アクションプラン検討委員会の準備段階から関わっていたと聞きましたが、どのような経緯で関わることになったのでしょうか。

 

三浦 当時、12区自治会では「地域づくり委員会」を組織し自治会活動の見直しを始めていたんです。その一環で高崎経済大学の櫻井先生に講演をいただきましたが、その後に櫻井先生が市の協働のまちづくりにおけるアドバイザーに就任しまして。各地域から住民代表を推薦する過程で何かしら白羽の矢が立ったのではないでしょうか(笑)

 

佐々木 その当時すでに「協働」という言葉は知っていたのでしょうか。

 

三浦 この漢字での協働は知らず、なるほどなと。ただ、はたと思ったのは、自分たちが今までそれぞれの考えで地域のためにやってきていたことが協働の一番の原点だろうなと。当時、薄衣や松川の大水害がありましたが、その時の姿はまさに協働であり、見本としてそこにあった。12区自治会はそうした災害はないですが「行政などを頼りにしないでやっていこう」という地域づくりの方針を持っていたので、スッと入ってきました。 

 

佐々木 他のメンバーの方たちはどうだったのでしょう?半分が行政職員で半分が住民だと聞きましたが。

 

三浦 それはもう、訳の分からない状態ですよ。怒号が飛び交った時もありました。なので委員長になるにあたり「役所を攻撃しても意味がないので、市民としてまちをどうやってつくっていくか、その1点に絞って議論しましょう」ということを委員のみなさんにお願いしました。

 

佐々木 協働のまちづくりは市としての施策。地域住民の思いとの温度差はありましたか。

 

三浦 まるっきり格差がありましたね。でも、協働のまちづくりがまっさらな状態だったからかえって良かったのかもしれません。今まで私どもは行政主導が当たり前だったのだから、「自分たちの思いでやっていこう」なんて発想がなかった。なので行政と対等に話し合うというのは私にとっても画期的で、最初は「行政に対してこんなこと言っていいの?」とみんな不安でしたよ。

 

佐々木 今ですら「事務局案ないの?」と言われてしまいがちなのに、ゼロから、しかも「考え方」を築き上げていくというのは、行政としても相当な覚悟がいりますよね。他の市町村と比べてもかなり珍しいように思います。

 

三浦 その頃は19時から22時まで週に1回ペースで検討していたものですから、奥さんからも「あんた毎晩何してんのよ」と言われたり(笑)冬の寒い中帰る時は「俺一体何やってるんだろう」と打ちひしがれた時もありましたよ。みんな不安だったと思う。でも、だからこそ自分の自治会に「今こんなことしてるよ」と中間報告しながら、そこに対しての声を吸い上げ、キャッチボールをしながらやってきた。いかに地域住民と会話をし続けるか、それが協働の中では大事なことだと思うし、それを身をもって体感したわけです。

 

佐々木 三浦さんたちのおかげで協働の土台ができ、アクションプランそのものは進んでいるように見えますが、実際のところどうでしょう?

 

三浦 まだまだですね。協働という柱でまちづくりを進めると決めたのが第1段階、第2段階として協働体が設立され、第3段階としては「地域協働体がどうあるべきか」ということを自らの力で考えたり、発信したり、行動したり、そういうことが必要だと思う。そして「ヒト・カネ・モノ」を地域としてどう生み出していくか。いつまでも交付金頼みではなく、あと10年後には本当の意味で自立した地域協働体でありたいなと。

 

佐々木 自治会長と協働体会長と2つの立場がある三浦さんだからこそ考えるそれぞれの役割とは何でしょうか。 

 

三浦 いつも私が言うのは「室根全体が良くなるかどうかは、それぞれの自治会長の動きそのものだよ」ということ。一番の基礎母体は自治会であって、自治会活動が一生懸命であれば地域の人は満足する。ただ、今の自治会活動は単なる親睦活動に留まっていて、少子高齢化問題、地域の在り方など、本当に自ら変えていくという自治会長はなかなかいない。今は市役所がどうこうじゃなく、住んでいる人たちがどういう風に考えてどう動いていくか。それをまとめるのが自治会長であり、さらにそれをまとめ、サポートするのが協働体だと思っています。

 

佐々木 三浦さんがアクションプラン検討委員時代に「協働」からの「金の駒」を期待するとしたコメントを某誌面で拝見しました。ずばり、金の駒は生まれ始めましたか。

 

三浦 まだ金まではいかないかな、銅だな(笑)話し合いをする仕組みが普通になってきたのは良いことだけどね。

 

佐々木 どういう金の駒を期待していますか。

 

三浦 主体的に各自治会が活発に動いてくることかな。なんぼ市長が立派な人だって、官に任せてたら何にもならない。自治会、そして自治会長ほど自分の理想とするふるさとを作れる土台はないよ。

 

佐々木 最終的には「自治会」と三浦さんに言ってもらえるのは心強いですね。

 

三浦 やればやるほど、金の駒に近づいていっているという期待感は持っている。生きている中でも夢や希望がないと面白くない。地域に関しても同じで、残念ながら亡くなる人やケガをする人もいる中で、相対的に向上していければ良いんです。

 

佐々木 そう考えると金の駒は出て来そうで出てこないくらいが良いのかもしれませんね(笑)

 

三浦 金の次はプラチナか(笑)地域や企業の担い手不足も協働体が担っていければ良いですね。

 

※本誌8ページ下段枠内に詳細記述あり。

 

 

 

 

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