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(idea2019年5月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
樹齢約2700年と言われる屋久島の縄文杉。その太さは16mを超えるそうです。そこまでの巨樹には到底お目にかかれないとしても、生命力あふれる巨樹に対面してみたい!ということで、市内各地の巨樹を探訪してきました(3回シリーズを予定)。
※記載内容はあくまでもセンター独自調査の結果です。多少の誤差や調査漏れ、順位の変動等はお許しください。
当初「市内で一番太い木」を探し出すことを目指していた我々。各地域担当者が、自分の担当地域の情報を集め(聞き込みや文献調査等)、「これは1位の座を狙えるのでは!?」と思われる巨樹を訪問。巨樹たちの存在感に圧倒されながら、「目通り周」と呼ばれる高さ(地上から130㎝地点)を実測してきました。
そして迎えた順位決めの時。いざ調査結果を並べてみると、気になることが。かたや樹齢千年級の木があれば、樹齢400年程でランクインしている木も。また、種類にも偏りがあることが見えてきました。
もしかすると、木の種類を無視した単純な「太さ」だけで、順位をつけることは「ナンセンス」なのではないか……。
そこで改めて、樹木そのものの特性も加味しながら、単純な「太さ」では1位を狙えなくても、それぞれの種類の中では1位を狙えそうな木にも視野を広げ、総合的なランキングを作ってみたところ、驚きの結果が出てきたのです!
総合的なランキングは次ページに表としてまとめました。順位とともに注目していただきたいのが、「種類別にみた全国順位予想」の部分です。この部分は、環境省が出している「巨樹・巨木林データベース」というWEBサイトを元に予想した順位です(該当樹木の樹種名と目通り周を入力すると、その種類の中で該当樹木より太い木が全国に何本あるのかが分かる)。
例えば当市では総合1位となった真湯のカツラは、全国の同種の中で見ると100位レベル。同様に多数ランクインした杉に関しても、杉の巨樹は全国的にも多数あるため、市内で最も太い杉である興田神社の杉をもってしても、全国で見ると残念ながら順位付けが難しいレベルなのです。ところが、9位にランクインした田茂木(室根)のイトヒバは、全国の同種の中で見ると1位かもしれないということが判明!
そして今回「巨樹」を念頭にしてしまったため、マツなど、長寿になっても太さがあまりでない木が、完全に調査から抜け落ちてしまっていることに気づきました。もしかしたら隠れたすごい木があるかもしれない!?そこで読者のみなさんに情報を求めます!
市内では一番の巨樹となった真湯のカツラ。本来カツラは直径1m程度で、大きくなると幹割れを起こすのだとか。ところが、萌芽性(ほうがせい)が極めて高いため、幹の根元で控えている「萌芽幹」というものが、樹冠から到達する光を利用して急速に成長。やがて、空いた空間を占有し、修復!それをくり返す結果、株は巨大化し、多数の樹幹からなる個体を形成することがあり、そのようなカツラは「千本カツラ」と呼ばれ、真湯のカツラもまさにそのタイプのようです(6位の「神中のカツラ」は少し違う様相のため、追跡調査をし、シリーズ3回目でご紹介する予定)。ちなみに全国でトップクラスのカツラの木は目通り直径20mにも及ぶそうです。
イチョウは15位以内に3本ランクインしていますが、今後さらなる巨樹化&長寿を狙える可能性が!というのも、イチョウは世界的に見ると千年を超すことが珍しくない長寿で知られているそうですが、日本においては渡来して実はまだ千年あまり。なので今後長寿事例が増えていくでしょうし、今回ご紹介したイチョウたちもまだまだ伸びしろがある可能性が高いのです。わずか300~400年でここまで大きくなったイチョウたち。樹齢千年の頃にはどうなっていることか……タイムスリップして見てみたいものです。
■樹齢=太さではない
樹齢を重ねても太さがでない種類の木があったり、同じ樹齢でも生育環境によって成長度合いに差が生じる。
■本来は太さがでない木でも巨樹になることあり
カツラなど、特異な性質をもつ木がある(次ページ参照)
マツ科、ヤナギ科など、幹周2m以上で巨樹といえる種類の木は多数。今回はマツに焦点を絞り、地域の「長寿松」の情報をお寄せください!調査にうかがい、内容によってはシリーズの3回目でご紹介します。