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idea2018年3月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

センターの自由研究 ”かま神様”

 一関市千厩町小梨字不動地内にある県指定有形文化財の古民家「村上家住宅」の“かま神様”は土製で作られており、土壁で柱に接着されています。

 皆さんは、“かま神様”というものをご存知でしょうか?新しい家だとなかなか目にすることは少なくなったかもしれませんが、比較的古い家だと、今でも台所の柱や壁などの高い位置に“かま神様”が“ドーン”と飾られているところもあるようです。

 大東町渋民地区からの情報で「大東地域のかま神様は笑顔。普通だと思っていたが珍しいのか?」という情報がありました。この「“かま神様”=怒っている顔」の印象があったので、スタッフもビックリ!!そこで、笑顔のかま神様は大東地域に限られているのか、調査してみることにしました。

 

 東北地方の宮城県から岩手県南部の地域、いわば伊達藩領の一帯では、日常生活の拠点ともいえる火を取り扱う場所、家族を養う命にかかわる食物を煮炊きする“竈(釡)”がある場所を、最も大事な場所としてきました。  

 その大事な場所に“かま神様”と呼ばれる面を飾ることで、火難、盗難、悪疫除け、魔除けなどのほか、福を呼び、家の繁栄を招くと言い伝えられており、家の火所で祀る神として信仰されてきました。

 一般的な祀り方としては竈(釡)の近くに神棚を設けてお札を納め、お正月をはさんでしめ縄を張り、御幣束を飾る・お供え物をするといった形。あらゆる神様が出雲に集まるという神無月にも「“かま神様”だけは残って家を護り続ける」と言われ、地域や家々にもよりますが「しめ縄やお神酒、お供え餅などは1年中上げたまま」というところもあるようです。

 

誰が作っているんですか!?

 ”かま神様”は家を新築するときに関わった大工や左官などの職人さんが、木材(けやき、杉、松など建築に使用する木材)や粘土(建築に使用する壁土)などの材料を使って彫ったり焼物にして製作していたとの伝えが多いようですが、その家の先祖の人(当時の家主など)が作るということもあったようです。

面の大きさはどれくらい?

 小さいもので縦横約20cmですが、大きいものでは縦横約60cmとかなり大きく迫力があります。

 

 様々な文献を調べると、一番古いものでは、藤沢町の土製で作られたかま神様(口伝えで享保年間(1716~36))らしいのですが、現在もあるのかどうかは残念ながら調査できませんでした。ちなみに、藤沢町のかま神様は土製が多く、目や口を貝殻などで粧飾していたようです。沿岸に近いからなのでしょうか?

 

 カマガミサマ、カマベットウ、カマベットウサマ、カマカミ、カマドカミ、カマダイコクなどありました。今回はもっとも多く呼ばれている名“カマカミ”に“様”を付けて、そのお面について表記しております。

 

 聞き込み調査において一関市内全体としては、“かま神様”は「怒った(憤慨している)ような顔」という答えが多数を締めていました。それに対し、大東地域では「笑った顔(笑顔)」という回答が圧倒的に多くその感覚に違いがあることがわかりました。ちなみに室根地域では「最初は笑っていなかったが、月日が経つにつれて笑ってきた」というびっくり仰天の話も聞けましたが、各地域の参考文献を読み進めると、な!!なんと!!意外な調査結果がでたのです・・・実は“かま神様”意外と表情豊かでした!

 

・邪悪なものを一喝するような怒りに満ちた顔(認識が一番多かった怒ったような顔)荒神様、鬼面相

・内に秘めたる怒りの顔(無表情も含める)

・家主に似せた人間味のある顔(ひょっとこのような顔も含める)

・恵比寿様のように幸せそうな微笑んだ顔

 

・大黒様のようにニッコリ笑顔の顔

2018年 猿沢 年祝い 厄年 権現舞

 今回の調査では、“かま神様”の各資料を見比べてみても、笑顔の“かま神様”は大東地域が圧倒的に数として多く、その他の地域では怒ったような顔(口元が『ムッ』としている)をしている“かま神様”が資料の多くを飾っていました。一説によると、「笑っているのは明治以降」という話もあり、その理由の一つとして「怒っているよりは笑っている顔がいいということで途中からつくられた」という話も聞けましたが、たしかに怒った顔の神様が台所にいるよりも笑った神様のほうがなんだか子どもたちも怖がらず、いいような気がするなと感じたところです。

参考文献

・大東町文化財調査報告書 第12集 大東町のかま神 大東町教育委員会

・花泉町文化財調査報告書 第7集 花泉町のカマ神 花泉町教育委員会

・室根村文化財調査報告書 第9集 室根のかま神 室根村教育委員会

・藤沢町文化財調査報告 9集 藤沢のかま神さまとおしらさま 藤沢町教育委員会

・郷土史研究資料第10 かま神信仰とその背景 -東磐井地方を中心に- 畠山喜一

・千厩町文化財調査報告 第3集 千厩町のかま神様オシラサマ 千厩町教育委員会

・昭和59年度文化財資料集(民族編)川崎村の神々 川崎村教育委員会

・かまど神と「はだかかべ」 新長明美

・東北かま神図説 細川 魚紋子

・東磐井郡誌 岩手県教育会東磐井郡部会

・平成14年度 研究紀要 第32集 岩手県南史談会

 


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