(idea 2021年5月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

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「不妊治療」の「選択肢」を広げて

~正しい理解とサポート環境の構築~ 【後編】

産婦人科野田 外観

産婦人科野田 医師(医学博士) 野田隆弘さん

 弘前大学医学部を卒業し、産婦人科医としての経験を積みながら、平成16年には東北大学にて博士号取得。東北大学病院のほか、宮城県のスズキ記念病院、仙台ARTクリニックなど、生殖医療専門病院での経験も豊富。平成30年、本格的にUターンし、産婦人科野田での治療一本に(以前から週に1~2回の出張診療を行っていた)。昭和43年一関市生まれ。

対談者  産婦人科野田 医師(医学博士) 野田隆弘さん  

                                                                          

聞き手 いちのせき市民活動センター  センター長 小野寺浩樹

 

 晩産化時代の鍵とも言える「不妊治療」。言葉としては身近になっていても、その具体的な中身や、治療へのハードルについてなど、「正しい理解」が追いついていない現状があります。当事者のみならず、周囲の理解も重要となる「不妊治療」について、特にもクラシカルな一般不妊治療に力を入れる「産婦人科野田」の野田医師にお話しを伺った2回シリーズの後編です。

 

小野寺 不妊治療をしているという人から「治療日が急に決まるので仕事の調整が大変」という話を聞きますが、これはどういう状況なのでしょうか。

 

野田 例えば体外受精の場合、本来は月に1つずつ排卵される卵子を、薬などを使って10個くらい育て、その卵子を取り出し、培養液の中で受精させ、培養した受精卵を子宮膣内へ移植するという流れになるんですが、卵子を取り出す36時間前に注射で薬を打つ必要があります。卵子の発育状況を見てそのタイミングを決めるのですが、3日~4日単位でどうしても変動があるので、急に「3日後に来て」という風に言われたりします。

 

小野寺 勤務の人だと職場の理解を得るのが大変ですよね。

 

野田 そう、実は意外と重要なのが仕事の状況。自営なのか勤務なのか、夜勤があるか、出張があるか……そういう状況を聞いて、プランを立ててあげて。妊娠の原則は、排卵日の前2日間を含めた計6日間の中で精子が入ってくれば受精するというシンプルなものです。自然妊娠も、体外受精も、人工授精も、全てそこに合わせるわけです。ただ、排卵日は自分でも厳密には分からないので、そこの情報を提供したり。

 

小野寺 確かに、その仕組みは動かない事実で、知っているつもりですが、改めて教えてもらえると安心感が違います。そうした情報提供やプラン提供だけの診察という人も多いですか?

 

 

野田 かなりいますよ。体外受精1人の後ろに、タイミング法や人工授精をしている人が10人くらいいる感覚です。妊娠の確率は40代までは基本的に右肩上がりなんです。1年間頑張り続ければ、確率は上がり続けるはずなんです。ただそのためには強いメンタルが必要なので、右肩上がりの曲線に乗れるようにサポートすることが大切です。

 

小野寺 どちらかと言うと精神面での安心感を与えるような診療ですね。

 

野田 20代の1回あたりの自然妊娠率は25~30%。例えば100組のカップルがいたとして、毎月タイミングを合わせていくと、1年間で95組が妊娠するという理屈です。でも実際には妊娠できない月が続くと凹むわけです。そこに歳を重ねると確率が減りますし、途中で嫌なことがあったりするとゼロになってしまったり……。

 

小野寺 子どもは授かりものと言いますが、この確率を見ていると本当にそうですね。授かる権利はあるけど、何かしらの要因があって授かれない。その確率を少しでも上げるためにクリニックがあって。「妊娠しない=子どもをつくらない」と思われがちだけど、そうではない。近年は「プレ・マタハラ」※1とも言われますが、妊娠を望む人とのコミュニケーションのあり方というか、「言える環境」づくりは大事ですよね。

 

※1「プレ・マタニティハラスメント」の略で、妊娠前の「妊活」時に受けるハラスメントを意味する。

 

野田 妊娠の仕組みや不妊治療の中身は、シンプルなんだけど、伝えにくいし伝わりにくい。本当は「不妊治療」という言葉から一歩進んで「タイミング法をやっている」「人工授精をしている」「年に何回か体外受精をしに仙台に通ってる」という具体的な話も普段の会話でできるようになれば、周囲もサポートしやすくなるんですが。社会全体のリテラシー※2の問題です。

 

※2 原義では読み書きの能力だが、ある分野に関する正しい知識や理解能力のことを指して使われる。

 

小野寺 確かに、職場の中で眼科に通院するのと同じ感覚で「行ってらっしゃい」と言ってあげたいですよね。生理休暇のように、不妊治療休暇のような規定も必要なのかもしれません。

 

野田 不妊治療に対する補助は、岩手県、一関市ともに手厚い方です。一関市は一般不妊治療(タイミング指導、人工授精、超音波検査等)の助成を、岩手県は特定不妊治療(体外受精、顕微授精)の助成をしていますが、宮城県は一般不妊治療の補助がない地域が多いです。環境としては優位ではあるかと。

 

小野寺 そうすると、世間の不妊治療へのイメージが改善されるともう少し取り組みやすくなりますよね。「仕事の調整が大変だ」とか「一関ではできない」と思っている人も多い気がしますし。ここのように土日も診療していると、夫婦での来院もしやすいと思いますが、旦那さんなど、男性の不妊治療への意識はどうでしょうか?

 

野田 治療に来る旦那さんのスタンスは様々ですよ。夫婦で来る人もいれば、産婦人科そのものに抵抗があって車の中で待っている人や、最初から女性だけで来る人も多いです。奥さんよりも前のめりでメモをとるような男性もいれば、「全部指示に従います」というタイプの人も。プレッシャーをかけてご夫婦の仲が悪くなることや、奥さんが医者と旦那さんの板挟みになるのは何としても避けたいので、旦那さんがどんなスタンスであっても認めてあげることが大事ですね。

 

小野寺 どうしても不妊治療というと女性に原因があると思われがちですが、男性に原因があることもあるわけですし、女性だけが責任を感じるような状況は作りたくないですよね。実際、不妊治療の結果、子どもを授かれないまま治療を終える人も?

 

野田 たくさんいますよ。子どものいない人生を選ぶというか。40歳を過ぎると、体外受精をしても卵子がとれなくなったり、受精しなくなるんです。そこで決心したり、最初から「42歳までにしよう」と期間を決めている人もいれば「辛くなってきたからやめる」という人も。

 

小野寺 そういう現状も含め、社会的な認知度を高めていかなければいけないですね。年代によっては理解が進まない分野なので、家庭内でも、地域内でも、もっと気軽に不妊治療の話題が出せる社会になるように……。

 

野田 間違ったことを言っても良いから、社会全体のリテラシーが上がっていけば良いのかなと。不妊治療の業界として100%のものが提供できていない現状があるので、足りない所を埋め合うような仕組みが必要なんだと思います。

 

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