(idea 2021年11月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

二言三言 143/115129

※お願い※

記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。

無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。 

 

生活における「便利」の価値基準

~東京生活60年以上の夫婦に学ぶ一関【前編】~

地方で第2の人生を送るため、花泉日形に移住してきた近藤紀子さん正信さん
地方で第2の人生を送るため、花泉日形に移住してきた近藤紀子さん正信さん

花泉町日形在住 近藤紀子さん・正信さん

 地方で第2の人生を送るため、東京都中目黒で生活していた平成20年に花泉町日形の桑畑跡地を購入。60歳の定年を迎えるまでは東京と一関を行き来しながら開拓を進め、平成28年に完全移住。住居はログハウスのキットを購入し、基礎以外はセルフビルドに挑戦。集落活動にも参加しながら、夫婦水入らずで日形での暮らしを楽しんでいる。

花泉町日形在住 近藤紀子さん・正信さん   

    

聞き手 いちのせき市民活動センター  主任支援員  佐々木牧恵

 都市部から過疎地域等の農山漁村へ移住する「田園回帰」の潮流が高まっているとされる昨今。その受け皿として、全国の85%を超える市町村で移住相談窓口を設置(平成30年時点)しています。当市においても各種取り組みを行っており、令和2年度に市の移住定住施策により移住した人は77世帯206人。当市に移住を決めた人の「決め手」となったものは一体何なのでしょうか。   

佐々木 緑に囲まれたログハウス……ステキな空間ですねぇ。

 

正信 1町歩あるんですが未開拓の土地もたくさんあります。家もまだ完成していないし(笑)

 

紀子 1町歩買ったらおまけに200坪ついてきたの!笑っちゃったわ~。最初は200坪くらいの別荘地を探してたのに、最終的にはこんな広い所に出会えて。良い買い物をしましたよ。

 

佐々木 昔から定年後の移住を考えていたんですか?

 

正信 いつかやりたいね、という話はしていたけど、本格的に考え始めたのはリーマンショックで仕事が下向きになってからですね。IT関係の仕事をしていたんですが、仕事量がガーンと減ったから、やってても面白くないな、と。

 

紀子 2人ともまだ働いている時に買ったから、最初は東京と行き来しながら整備したの。草刈機とチェーンソーを買って。一生懸命整備して帰っても、次に来るときにはまた伸びてるんだけど(笑)

 

佐々木 家も基礎以外はセルフビルドということですが、住めるようになるまではどうしていたんですか?

 

正信 先輩移住者が近くにいてね。小屋を貸してくれました。

 

紀子 夫の方が先に仕事を引退して移住したんだけど、家ができるまでは小屋暮らし。私は仕事のほかに介護もあったから、しばらくは東京から通いました。

 

佐々木 そもそもなぜ一関に決めたんですか?何かご縁が?

 

紀子 実は母が一関の樹木葬墓地※1を買っていてね。それで何度か一関に来る機会があったの。その時に「意外と便利だな」って思ったのよね。

 

※1 一関市萩荘字栃倉73-193にある日本初の樹木葬墓地「知勝院」

 

佐々木 便利!?東京の人から見て一関は便利なんですか!?

 

正信 特にこの日形は交通機関が近い。つまりは都心に近いということです。新幹線に乗るのに一関駅東口まで車で20分。

 

紀子 新幹線に乗ってしまえば乗り換えなしで行けるでしょ。本当に東京に行くのが楽よ。

 

佐々木 正直ピンとこないのですが……(笑)

 

正信 僕たちは中目黒駅まで徒歩3分の場所に住んでましたが、新幹線に乗るために JR山手線で東京駅に行こうとすると電車で30分かかる。ここは高速道路の乗り場も近い。首都高はすぐに渋滞するから全く時間の予測が立てられない。一関に車で向かった時、東京を出るのに2時間かかったこともありましたよ。

 

佐々木 我が家は自宅から一関ICまで5分もかからずに行けますが、それって贅沢なことだったんですね!

 

紀子 日形から一関に行く時、ガソリン代を計算しては「電車より安いね」って2人で喜んでるの。 東葉高速鉄道なんて15分乗れば500円以上かかる。車は1L150円くらいで15㎞は走るでしょ。おまけに2人乗れるし。

 

佐々木 地方在住者の感覚だと、車で30分を超す通勤距離は「遠い」「大変」にカウントされますが、都会のサラリーマンからすれば「羨ましい」ことなんでしょうか。

 

正信 都会なら通勤で1時間は当たり前で、かつ電車などプライベートのない空間。ましてやこのコロナ禍ですから、車で30分で済むなら幸せなことですよ。

 

佐々木 地域の課題として「働く場がない」という声をよく耳にしますが、通勤距離の価値観の問題もあるんでしょうね。ちなみに日形での生活で不便を感じることはないですか?

 

正信 全然ないというか、逆にこっちの方が便利ですよ。車で15分圏内の花泉にはホームセンターが2つにスーパーが3つ、コンビニも5つある。これだけあれば何も問題はない。

 

紀子 私たちが住んでいた中目黒には、ホームセンターなんて1つもないし、スーパーは小さい。こっちのホームセンターで売られているようなモノを買おうと思ったら電車に乗って東急ハンズまで行かなきゃいけない。車で行けば駐車場所を探してグルグル回るはめになるし、路上駐車なんてしたらすぐに捕まって罰金ですからね。

 

佐々木 都会に行けば何でも揃うというイメージでしたが……。

 

紀子 確かに地方より手に入りやすいモノもありますが、都会が便利というのは思い込み。仕事をするには便利な面もあるけど、何かが違う。渋谷駅まではすぐに行けても、そこから店まではまた延々と歩かなきゃいけない。だから生活や暮らしの便利さを考えると、こっちの方がよっぽど便利。

 

佐々木 生活の要素がまるで違うのに「便利」という価値基準をひとまとめにして比較するのはナンセンスだったんですね。

 

正信 ただ、インターネット環境があっての話。移住を決めた時、ここにはインターネットの回線が来ていなかった。だから集落の1軒1軒を回って説得して、集団で要望することで光ケーブルを通してもらいました。

 

佐々木 長年住み続けている側では気づかないことかもしれないですね。気づいていても動けなかったり……。

 

正信 こちらに来て感じたのが、行政への依存が強いということ。誰かがやってくれるのを待っているというか。

 

紀子 自助・共助・公助と言われますが、こっちだと自助や共助より先に、公助を求める……。

 

正信 都会の人間は公を頼るという感覚があまりないし、補助金という存在も身近ではないよ。

 

佐々木 確かに、特に農山村の暮らしには各種補助金があふれていて、補助金疲れすら見受けられる状態……。考え方を見直す必要はありそうですね。

                                     

(2回シリーズの前編 ★後編はこちら)

※近藤夫妻の開拓の記録を綴ったブログ

 「のーてんき夫婦のログハウス狂想曲」で検索!

 

 

訪問者数(累計)

アクセスカウンター

開館時間

  • 9時~18時

休館日

  • 祝祭日
  • 年末年始
  • (12月29日から翌年1月3日まで)

いちのせき市民活動センター

  • 〒021-0881 
  • 岩手県一関市大町4-29 

    なのはなプラザ4F

  • TEL 0191-26-6400
  • FAX 0191-26-6415
  • Email 
  • center-i@tempo.ocn.ne.jp

せんまやサテライト

  • 〒029-0803
  • 岩手県一関市千厩町千厩字町149
  • TEL 0191-48-3735
  • FAX 0191-48-3736

twitter&facebook

駐車場のご案内

なのはなプラザ4Fのいちのせき市民活動センターをご利用されるお客様は、以下の有料駐車場に車を停めた場合、最大3時間まで料金が無料になります。当センターご利用の際に、駐車場無料券を発行しますので、詳しくは窓口までお問合せください。

 

  1. 一ノ関駅西口北
  2. 一ノ関駅西口南
  3. 地主町駐車場
  4. タイムズ一関大町なの花パーキング
  5. マルシメ駐車場
  6. すがけい駐車場
  7. 大町ニコニコパーキング