夏川神楽保存会

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令和元年11月に行われた「東山文化祭」で御神楽を披露した時の様子

令和元年11月に行われた「東山文化祭」で御神楽を披露した時の様子

基本情報

(idea 2023年6月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

 夏山神楽(ルーツは南部神楽系統の竹沢神楽)を伝承することを目的に活動(「保存会」の発足年は記録がなく不明)。令和元年田河津地区で行われた山神社奉納演芸会への奉納を機に会員が増え、現在は20代~60代の9名で神楽の継承に取り組む。

先人の暮らしが育んだ「唯一無二」を守る

「継承」の意識より「楽しみ」として

 山間の夏山自治会館に響く太鼓と摺鉦の音。踊り手は、扇と鈴を大きく振りかざし、軽快な動きで舞います。東山町田河津の北端に位置する夏山・横沢集落に伝わる「夏山神楽(南部神楽)」は、「夏山神楽保存会」によって継承され、隔週日曜日に夏山自治会館にて練習が行われています。同会の発足年は不明(記録がない)ですが、昭和30年代には保存会として活動していました。

 

 「基本的な『御神楽』という演目でも、習得するのに6か月くらいはかかります」と話すのは、代表の佐藤鉄也さん。自身も小学5年生の時から同会で神楽を踊り始め、基本となる「三つ足」の練習に始まり「御神楽」「岩戸開き」「三番叟」を習ったのだとか。社会人に入り、一度神楽から離れていた時期もありましたが、再び同会の先輩に声をかけられ、半世紀近く神楽の伝承に携わっています。

 

 鉄也さんだけでなく、同会会員の中には、「小・中学生のときは嫌々踊っていた神楽も、今ではやりがいや楽しみを見出しながら踊っています」と、大人になってからその魅力を体感しているという会員が少なくありません。

夏山神楽の歴史と特徴

 明治時代に西磐井の住民から南部神楽を教わり、自身の集落(田河津竹沢)に神楽を広めたとされるのが田河津竹沢出身の千葉栄三郎。その甥・千葉勇之進の弟子である高橋寅之助が、竹沢から横沢に分家し、千葉勇之進から伝授された「竹沢神楽」を紹介したことが、夏山神楽の発端です。

 

 夏山・横沢でも神楽を始めようという機運が起こり、大正10年、高橋寅之助を初代師匠として「夏山神楽」が生まれました。

 

 戦前、神楽を踊っていた人は花形スターのような存在で、神様への奉納という目的と同時に、住民

にとっても欠かせない娯楽のひとつでもありました。夏山神楽の特徴は、踊り手が四隅に散らばり、四角形を作るように舞うこと。「なぜ、このような回り方になったかは先人にしかわかりませんが、私の知る限り、この手法は夏山神楽と南沢神楽(一関市萩荘)だけではないでしょうか」と、会員の佐藤直人さんは語ります。

 

 また、奥州仕置によって長坂城(唐梅館)を追われた長坂千葉氏・広胤の遺書を元に、高橋寅之助の息子・高橋敏一(故人)が創作した「広胤」など、東山町の歴史を反映した演目が残されていることも夏山神楽の特徴と言えます。

会員不足の危機を乗り越え、令和につなぐ

 大正時代から継承されてきた「夏山神楽」ですが、その継承者が減少し、昭和47年頃から小・中学生に向けての伝承活動を始めました。ところが、進学・就職で地元を離れる若者が多く、平成20年頃には当時の師匠(高橋敏一)と鉄也さん、その兄弟子(故・小野寺福藏)という3人での活動を余儀なくされる事態に……。

 

 「師匠が太鼓を叩いていたのですが、師匠が亡くなってから7~8年は兄弟子の福藏さんと太鼓の叩き方を研究しながら2人のみで継承にあたりました。太鼓を叩けるまで2~3年はかかった」と鉄也さんは振り返ります。

 

 令和元年、そんな同会に「山神社奉納演芸会」での奉納の順番が巡ってきました。奉納演舞を行うため、鉄也さんが同集落内に声がけをし、自ら「神楽を踊りたい」と志願してくれた人も含め、7人の加入に成功します。

 

 約6か月の練習を経て、無事に10月の奉納(2演目)を終えると、令和4年には2人が同会に入会し、現在の9人体制に。新会員が加わって以降、「東山うれし市」「東山地域新年交賀会」など東山町内の主要行事の場で神楽を披露することも増えています。

 

 「『華やかで見応えがあった!』などと観客から声をかけられるのが、何より嬉しい」と微笑む直人さん。令和4年11月に開催された「芸能祭 民俗芸能による祈りと絆」では、同会もプログラムの一番手で南部神楽「御神楽(鶏舞)」を披露し「コロナ退散」の願いを込めながら、コロナ禍を経て数年ぶりに観客の前で演目を披露できる喜びを噛み締めました。

 

 鉄也さんは「常に踊りの技術を高めていく部分を考えると、神楽に完成系というのは無いと思っています。そういった意味では芸術の1つ」と語りつつ「人それぞれに神楽に関わる意義は違うと思いますが、途絶えさせれば、先人の想いを反映した唯一無二のものが無くなることは間違いないです」と、後世に繋ぐ決意と意欲を見せます。

あなたにとって神楽とは?

代表

夏川神楽保存会代表 佐藤哲也さん

さとう てつや

佐藤 鉄也さん

小学校時代を含めると活動歴は約50年で同会の中でも一番のベテラン。前師匠、兄弟子たちから教わったことを大切に、今日も軽快に太鼓を打ち鳴らします。

 

A.神も楽しむ 人も楽しむ

会員

夏川神楽保存会会員 高橋志帆さん

たかはし しほ

高橋 志帆さん 

令和4年に同会から声をかけられ入会。夏山神楽の継承に熱心だった曽祖父(前師匠)の志を継ぎ、神楽の練習に励んでいます。

 

 A.ひいじいちゃんの想いを引き継ぐもの


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練習風景

夏山神楽の練習風景

夏山自治会館で行われた練習の風景。ダイナミックな動きを要するため、筋肉痛を乗り越えた先の達成感は格別です。

次の代に残すべく

夏山神楽演技本

前師匠たちが現役の頃(平成13年)に発行された「夏山神楽演技本」。各演目の台本とともに道具の一覧、表彰歴などを掲載。

使い込まれた摺鉦

使い込まれた摺鉦

太鼓と同様に神楽を舞うリズムの要となる「摺鉦」。内面には叩いた跡がいくつも。ちなみに左下にある摺鉦は80年物。

山神社へ奉納

山神社奉納演芸会の様子

令和元年10月に行われた「山神社奉納演芸会」。田河津全体の祭典に夏山集落を代表して同会が出演し、舞を奉納しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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