(idea 2023年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

二言三言 143/115129

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「非日常の光景」が身近にある一関へ

~市民パイロットの挑戦【前編】~

熱気球 市民パイロット 小岩俊彦さん

小岩 俊彦【前編】

 「一関・平泉 黄金の國バルーンクラブ」会員(平成28年~市民ボランティアとして同会の活動に参加)であり、熱気球パイロット(熱気球操縦士技能証2031号)として「黄金の國一関・平泉号」の係留体験時の操縦も行う。普段は一関工業高等専門学校の技術室に所属し、学生の実験実習支援や研究支援などを担当。昭和47年、一関市弥栄生まれ(在住)。

対談者 熱気球パイロット 小岩 俊彦さん【前編】  

             千田 修一さん【後編】

 

聞き手 いちのせき市民活動センター  センター長 小野寺浩樹

 東北地方初の本格的な熱気球大会として平成24年に第1回が開催された「一関・平泉バルーンフェスティバル」。平成27年からは「熱気球ホンダグランプリ(※1)」にも組み込まれ、当市の秋の風物詩となりました。全国各地の熱気球パイロットが集結する大会ですが、実は当市にも2人、市民パイロットが誕生しています。熱気球による空への挑戦を続ける2人が思い描く光景(目標)とは?

(2回シリーズの前編)

 

※1 日本各地で開催される熱気球大会から「Honda」が4戦をシリーズ化したもの。グランプリ・ポイントの累積数でチャンピオンを決定する。今年は「一関・平泉バルーンフェスティバル」が第2戦の地として10月13日~15日に開催予定。

 

小野寺 小岩さんが当市における市民パイロット第1号ということですが、そもそも熱気球のパイロットというのは、どのような資格ですか?

 

小岩 日本には熱気球パイロットの国家資格がないので、一般社団法人日本気球連盟公認の「熱気球操縦士技能証」が日本におけるパイロットライセンスと言えるものです。この技能証を平成30年に取得しました。

 

小野寺 国家資格じゃないんですね!取得するための要件などはあるんですか?

 

小岩 満18歳以上などの要件に加え、所定の講習会を受講し、インストラクターが同乗する訓練飛行を10回・10時間以上受けるなどのほか、筆記試験や実技試験に合格する必要があります。所属するチームやクラブにインストラクター資格をもったパイロットがいれば、トレーニングを受けることができたのですが、当会にはいなかったので、有償トレーニングを受けて、そのまま試験に臨みました。

 

小野寺 仕事をしながらの受講は大変だったのでは?

 

小岩 トレーニングは渡良瀬遊水地※2で行われたのですが、学生が冬休みに入る※3クリスマス辺りから有給休暇をとってチャレンジしました。天候に左右されてしまうため、有給休暇の残りが不安でしたが(笑)1月7日まで一人で渡良瀬に住み込みでトレーニングを受け、なんとか終了することができました。

 

※2 栃木県栃木市にある日本最大の遊水地で、スカイスポーツが盛ん。

※3 プロフィール参照

 

小野寺 実技試験の内容はどのようなものなんですか?

 

小岩 筆記試験は航空法や天候、機体の構造、安全、フライト方法などに関する内容で、勉強すれば何とかなりますが、実技試験は当日のフライトプランを天気予報の情報(天気図や風向き)を基に立てる必要があったので、朝3時半くらいから起きて、離着陸地をどこにするか、一人悩んでいました。フライト中も一定の高さを維持する必要があったり、指示されたところに着陸しなければいけなかったので、自分にとっては難しかったです。

 

小野寺 「ここで止まって」と言われても、車のようにブレーキを踏むわけじゃないので難しいですよね。

 

小岩 熱気球の着陸にはブレーキの代わりにバーナーを焚くのですが、熱気球の大きさによってもレスポンスが違うので、焚きすぎてまた上昇してしまうことが度々あったり、熟練したバーナー操作技術が必要だと実感しています。職人技です(笑)

 

小野寺 操縦も大変ですけど、機体の立ち上げや回収作業なども、結構な重労働ですよね。

 

小岩 そう、スポーツみたいです。球皮だけで100㎏近くあり、そこにガスボンベ4本とバスケットなどを足すと、全部で300㎏近くになる。それらを田んぼなどの足場の悪い着陸地から回収するのは、かなりの力仕事で、体力勝負です。そしてクルー※4がいないと成り立たないチームスポーツでもあります。

 

※4 気球を飛行させるためのスタッフ。作業のみならず、飛行中のパイロットへ無線による情報提供や誘導なども行う。

 

小野寺 僕もチェイスカー※5に乗せてもらって、サポートをしたことがあるんですが、機体の回収やガスの充てんなど、結構疲れました(笑)でも、GPSを見ながら機体より先回りして地上からの情報を伝えたり、地上のパイロットと作戦を練ったり、すごく面白くて。

 

※5 フライト気球を回収するために、気球を追跡する車。レースの際には単なる回収のみならず、クルーが乗り込み、パイロットとのやり取りも行う。 

 

小岩 僕もオフィシャルバルーンのチェイスカーに初めて乗せてもらったとき、初対面のボランティアの人たちがクルーになっていて、最初は抵抗がありましたけど、みんなで助け合う独特の世界感がありますよね。

 

小野寺 同感です(笑)それから、一流パイロットのフライトに乗せてもらった時には「丸いバルーンの影が、山の角度によってはハートに見えるよ」など、上空からの風景の見方とか、地上の人たちとのコミュニケーションの取り方とかを教えてもらって、そういう経験をすると、完全に引き込まれますよね。

 

小岩 「エアマンシップ」として、ちゃんとマニュアルがあるんです。地上にいる人には挨拶しなさい、近寄ってきたらコミュニケーション取りなさいよ、とか。実際、渡良瀬などの気球が盛んな地域では、地元の人たちが普通に手伝ってくれるんですよね。地域に根付いていて。

 

小野寺 一関市民にもバルーンフェスはだいぶ定着してきた感じがありますが、「熱気球を見たらパイロットに手を振ってあげてください」とか、市民にもっと発信すべきなんですよね。

 

小岩 そうですね。「熱気球が飛んでる!手を振ったら振り返してくれた!」なんて、お互いコミュニケーションできるようになれば最高ですね。あとは着陸する場所も田んぼなどを使わせていただかなければならない※6ので、地元のみなさんにもご理解いただき、一緒に熱気球を盛り上げていけたらと思います。

 

※6 バルーンの離着陸時に田畑を利用することがあるため、耕作物に配慮し、熱気球のフライトは晩秋~春先に行われることが多い(熱気球は外気との温度差で浮くため、寒い時期の方がフライトに向いているという面も)。

 

小野寺 当初は「なーに、熱気球なんて」という人が多かったですが、ここ数年は空を見上げる市民の光景が見れるようになって、やっぱり回数を重ねることは大事だな、と。一度離陸の瞬間を生で見ると感動して見方が変わりますし、小岩さんたち市民パイロットの存在を、市民は応援して欲しいですね。

 

小岩 熱気球が空を飛ぶ光景は非日常的な世界。実は自分の機体を購入したので、秋からは一関の上空を飛びたいと思っています。ぜひ楽しんで欲しいです。

 

小野寺 それはすごい!いずれはレースも目指すんですか?

 

小岩 まずはフライトを楽しむことかな(笑)家族の協力があって実現したことですし、まずは

家族やクラブの方、職場の方などと一緒に一関の上空を飛んで、熱気球ファンをどんどん増やしていきたいと思います。

 

小野寺 関わり方が分からないだけで、好きな人、クルーになってみたい人は絶対いるはず。熱気球に向かって手を振る市民が増えて、空と地上とで良い光景を創り出したいですね。

 

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