(idea 2014年12月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

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対談者

対談者 JAいわて平泉の組合長 鈴木 昭男さん

聞き手 いちのせき市民活動センター  センター長 小野寺浩樹

魅力ある地域農業の姿を描く

いわて平泉農業協同組合 代表理事組合長 鈴木 昭男 さん
いわて平泉農業協同組合 代表理事組合長 鈴木 昭男 さん

東西の特徴と農業の今を説く

【小野寺】今回はJAいわて平泉の組合長である鈴木さんに、「地域とは」、「地域との連携」、「農業振興」等についてお話をお聞きしていきたいと思います。

今年の3月にJAいわて南とJAいわい東が合併し、現在のJAいわて平泉が誕生しましたが、鈴木さんは、新しいJAとして今後どんなまちづくりをしていきたいと考えていますか?

 

【鈴木】JAの場合は、まちづくりというよりも「郷づくり」という考え方があります。JAいわて平泉が作成した農業振興計画には、「黄金の郷づくり」のための、3年間の事業計画がまとめられています。その計画に関係することで、東磐井と西磐井の農業の違いについてお話しすると、西の生産の主体は米ということに対して、中山間地域である東では果物・野菜・菌床栽培に加えて、畜産や園芸が主です。東と西は合併しましたが農業の基盤が違いますので、それぞれが行ってきた農業の形を継続させながら運営を行っていきたいと思います。

 あとは、今年は米の価格が下がりましたが、これは当分続くのではないかと思います。この危機に対してJAでは、個人でお金を出さなくても運営できるような後継者づくりのために、農業型の出資法人をつくりたいと思っています。一関・平泉の米の収入額は、去年と今年を比べて18億円も減りました。これは、両磐地域の酪農家の全所得と同じ金額なんです。

 今まで米作りを行ってきた農家も年をとれば米作りができなくなり、耕作しない農地が増えてしまいます。そうするとやはり、集落営農に切り替えるか、もっとしっかりした法人をつくらなければ運営できなくなると思います。それを今後、私達がさらに力を入れて手がけていきたいと思っています。

 それから後継者について、新しく農業を始めたいという若い方からの相談が年に5~6件あります。都会から農業を行いたいと来る方にはある程度の農地を貸したり、研修施設の設置を考えています。今のところは畜産・園芸農家の方に頼んで行っていますが、その一連のことがJAで行えるようにしたいと思っています。

いちのせき市民活動センター    小野寺 浩樹 
いちのせき市民活動センター    小野寺 浩樹 

【小野寺】「郷」というのは素敵な響きだと思います。「まち」とか「村」という言葉もありますが、郷は人の生活があるという印象がすごくあるんですよね。郷に人が住んでいて、人が住んでいる近くに田や畑があって一次産業のある営みを行っていく場かなと思っています。地域で様々な課題を抱えている中で、JAさんのバックアップがあることは強みだと思います。

 

【鈴木】JAが目指す「郷づくり」とは、自分が一つ、あるいは共同の農地を持って所得を分配するという考え方です。高齢化で農業から離れる方が多い今、若い方達には魅力ある農業を行ってもらいたい。魅力ある農業の中では、農家所得を上げるということ。それが私達の仕事であり、郷づくりの基本的な考え方になっていくと思います。

 

農業と商工業の連携を促進する

【小野寺】では、魅力ある農業のために、他にどんな取り組みを行いたいと考えていますか?

 

【鈴木】農業は一次産業だけでは守り続けられません。ですから六次産業化にしたり、輸出までも想定した経営を考えていかなければなりません。JAでは、地域で生産された農畜産物の付加価値を高めるための加工施設を置き、販売の責任をもつという所までを行いたいと思っています。よりよい加工施設を造るために、地場の企業さんに相談する等、農業と商業の連携を大切にしていきたいと思っています。

 今まで農業祭りを行ってきましたが、昨年からは千厩だけ「農商工祭り」として行いました。

 

【小野寺】それはいいですね!最近は農業分野の話になると、すぐに六次化という話が出ます。しかし六次化と言うのは簡単、行うのは難しいと思うんですよ。やはり一関で一個人の農業者が取り組んでいくには農商工の連携が必要だと思うんですよね。時代が進む中でいつしか縦割りになりましたが、これからはちょっと昔に戻りつつ、良い物をつくりましょうという時代に変わってきたんだろうと思います。

 

農畜産物の付加価値を高めるために

【鈴木】今までは、モノを作るのは農家さん、それを集めて流通するのはJAと役割を分担してきました。しかし最近は、JAだけではなく生産者の方も市場研修に参加していただいております。これからは生産した商品の付加価値を高めるために、どのようにして流通を太いものにしていくかというところが大切なんです。

 

【小野寺】JAさんだけが流通のルートをつくるのではなく、JAさんが「司令塔」となり色々な流通先を確保し、あとは、農業者の方々がそこに乗っていくという形をとってもいいわけですよね。そう考えていくと、JAさんの職員の皆様は一人ひとりが司令塔的な存在だし、コーディネート力が大切になると思います。農業者の方に対して、提案型の関わり方ができる職員さんが大事なんだなと思います。

 

【鈴木】実は、JAが今まで行ってきた「農業指導」は、技術指導と管理指導だけなんですよ。流通やバイヤーに関する指導はできていません。素直にそこを反省し、もう一度新しい農業指導の形をつくっていかなければならないと思っています。

 

【小野寺】僕からぜひ、JAさんにお願いしたいのが「夢を見させていただきたい」ということです。先日参加した視察研修先で、農業の成功事例を聞いた時の一関の方の感想に夢がなかったんですよ。50~60歳代の方が夢を持てないと、若い人達も夢を持てないと思います。若い方の「私これやってみたい!」に対して、経験者の方が「なに、そんなのやったって」と出る杭を打つのではなく、出る杭はもっともっと伸ばしてもらいたいんです。せひJAさんの「黄金の郷づくり」計画の中で、農業を基盤とした夢を持たせる取り組みをしていただきたいなと思います。本日は貴重なお話を聞かせて頂きどうもありがとうございました。

基本情報

【いわて平泉農業協同組合】

住所 〒021-0027 一関市竹山町7番1号

TEL 0191-23-3006 FAX 0191-21-0242

 

紙面で紹介しきれなかった部分は、「こぼれ話」としてブログに掲載しています。

URL: blog.canpan.info/ichinoseki/category_15/1

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