真保裕一 著『ローカル線で行こう』 講談社

岩手県を舞台とした作品の紹介を4回続けましたが、いよいよネタ切れかと…。

そんな思いを引きずり、一人旅に読む本を探しに図書館へ。

タイトルが「ローカル線で行こう」とはいいタイミングと手にしました。

表紙のデザインを見ると、表と裏とで1つの線路がつながり夢を掻き立てます。


鉄道に興味を持っている私には、多少「鉄」が入っています。俗にいう「鉄っちゃん」ですが「鉄オタ」ではありません。いわゆる「乗り鉄」と呼ばれる方で、列車に乗ることや駅の周りを探索するのが好きで、特にローカル線には好んで乗ります。

一人旅には、時刻表、文庫本、カメラと音楽は必需品。最近はこれらを1台の端末器でこなせる時代になりましたが…。

一人旅に合う音楽となると、「思えば遠く来たもんだ(海援隊)」がお気に入りですが、古すぎるか。ならば、ぐっと曲想を変えて「旅のどこかで(夏川りみ)」では。旅番組のエンディングテーマ曲だから合わないはずはありません。


さて、「鉄っちゃん」は多種あるようです。

「撮り鉄」…列車の撮影を趣味とする。職業にしている人もいますね。

「録り鉄」…走行音または発車メロディなどを録音、または走行中の列車を録画する。

「葬式鉄」…廃止直前の路線・列車や廃車間近の車両を趣味の対象とする。

「食い鉄」…駅弁、駅そばを食べる。

「飲み鉄」…酒を飲みながら車窓を楽しむ。最近、六角精児がやっていますね。

「鉄夫」に「鉄子」、「鉄キチ」など。


話しがそれてしまいましたが、本の帯には、

~廃線間際の赤字ローカル線。故郷の未来を託されたのは、たったひとりの新幹線アテンダント。立ちはだかるのはやる気を失った社員、一筋縄ではいかない経営幹部、そして次々起こる不穏な事件~


舞台は東北のとある県の「もりはら鉄道」。東北本線一ノ関駅から上りで2つ目の駅「輿石(こしいし)駅」に接続する第3セクターの鉄道会社で、宮城県が筆頭株主を務めているという設定です。どうやら宮城県の北部が物語の舞台らしいです。


県下最大のお荷物といわれる赤字ローカル線、もりはら鉄道は廃線の瀬戸際に立たされています。再生を図るため、新社長として白羽の矢が立ったのは、なんと新幹線のカリスマ・アテンダント。篠宮亜佐美、31歳独身。


「もりはら鉄道の経営は、素人以下です」「お金がないなら、知恵を出すのよ!」

県庁から出向している副社長鵜沢哲夫以下、もり鉄社員は戸惑うばかりです。

しかし、亜佐美は社長に就任するや様々なアイデアを連発します。イベント列車を次々走らせ、自ら列車内の売り子も買って出るなど、鉄道と沿線の町はにわかに活気づいていくのでした。

一方、時を同じくして、列車妨害、駅舎のぼや騒ぎ、台風による崖崩れと、数々の事件がもり鉄を襲います。

赤字鉄道の再生は? 寂れた沿線の町おこしは? そして、不穏な事件の真相は? もり鉄に明日はあるのか?


ところで、文中には一ノ関駅の名前が頻繁に出てきます。一関市山目町二丁目に住む 坂東実さんも登場します。一関駅でなく一ノ関駅、山目町しかも二丁目と、正確な記述をしているところに敬服します。


この物語を読んでおやっと思ったのは、東北本線輿石(こしいし)駅。

架空の駅ですが、もしかして石越(いしこし)駅を意識したのかと勘繰ります。かつては、石越駅から「栗原電鉄」後に「くりはら田園鉄道」通称「くりでん」が細倉までつながっていました。平成18年3月に沿線住民に惜しまれながら廃線となってしまいましたが、地方鉄道には珍しい電車(後に気動車に転換)が走っていました。


この物語の後半には核廃棄物処理場に絡む騒動が出てきますが、それは終着駅に近い炭鉱跡が舞台です。またもや、もしかしてこれは細倉鉱山(炭鉱ではありませんが)かと。そういえば細倉鉱山が廃鉱した後に似たような話があったような…。

この本は赤字ローカル線の再建の物語です。

本に出ている話のようにそううまくはならないと思いながらも、ローカル線を存続させるために会社はもちろん沿線の人々が鉄道をこよなく愛する場面にほろりとさせられます。読みながら、三陸鉄道、秋田内陸縦貫鉄道や山形鉄道フラワー長井線に思いをはせました。旧国鉄(日本国有鉄道)が走らせた鉄道ですが、儲からない地方鉄道は国が切り捨ててしまい、現在は県や沿線自治体が第3セクター方式で運営しています。鉄道を存続させるために会社では利益を上げるための様々な努力をしています。


この本、藤沢図書館以外の市立全図書館に配架されています。


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