毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第49話(idea 2023年4月号掲載)

今月のテーマ

地域運営の落とし穴㉝ 農村RMOと農業施策

農村の持つ「多面的な機能」を再認識し、制度の趣旨を読み解く

 

 突如現れた「農村RMO」ですが、「地域協働体(RMO)」と何が違うのかというと、主語が「農村」か「地域」かの違い程度で、期待する仕組みや手法はほぼ同じと考えて良いと思っています。しかし、新たな情報が出てくると、これまでの制度を振り返り、「似たものはないか」「違いはどこにあるか」も考えなければいけません。特にも、これまで農業施策に関わってきた方にとっては、混乱しかないと思い、今ある制度を並べながら考えてみましょう。

 

 大前提として、農業はを支え、農村にある水田は雨水を貯水して洪水や土砂崩れを防ぐだけでなく、多様な生き物を育みます。さらに農村の美しい風景は心を和ませてくれるなど、農業・農村には多面的な機能があります。その多面的な機能の維持・発揮が必要とされる中で、高齢化や人口減少により、地域の共同活動で支えられてきた農村の多面的機能の維持に支障が出始めました。そこで作られたのが「日本型直接支払制度」です。日本型直接支払制度は、中山間地域等直接支払 ②多面的機能支払 環境保全型直接支払の3種類で構成され、それぞれに特徴があります。

  

中山間地域等直接支払

農業生産条件の不利を補正することにより、将来に向けて農業生産活動を維持する活動を支援する。継続的に農用地を維持・管理していくための取決め(協定)を集落等で締結し、それにしたがって農業生産活動等を行う場合に、面積に応じて一定額を交付。

 

【対象】

傾斜がある等、農業生産条件の不利な中山間地域等

【取り組み内容】

・耕作放棄の発生防止

・水路・農道等の管理(泥上げ、草刈り等)など

 

多面的機能支払

農業や農村が持つ多面的機能の維持や、地域の共同活動を支援するための制度で、以下の2種類に分けられる。

 

◆農地維持支払い交付金

・地域資源の基礎的な保全活動およびそ のための推進活動。水路や農道等の管理(農道の路面維持、施設の点検等)等。

 

◆資源向上支払い交付金

・地域資源(農地、水路、農道等)の質的 向上を図る共同活動。水路、農道、ため池の軽微な保修、植栽による景観形成、ビオトープづくり、施設の長寿命化のための活動等 

 

※H19に始まった「農地・水・環境保全向上対策」を組替えたもの。

  

環境保全型直接支払

農業が本来有する自然循環機能を維持・増進し、地球温暖化防止生物多様性保全に積極的かつ効果の高い営農活動(減農薬など)に対して支援を行うために交付する。

 

【対象】

農業者の組織する団体、一定の条件を満たす農業者等

 

【取り組み内容】

・地球温暖化防止に効果の高い営農活動(緑肥の作付け、堆肥の施用など)

・生物多様性保全に効果の高い営農活動(有機農業等)

※農林水産省ホームページ掲載の各種資料より(参照)

 

 日本型直接支払制度に取り組んでいくためには、それぞれ活動組織を設立することが定められており、中山間地域直接支払と環境保全型直接支払は、農業者のみで構成される活動組織である一方、多面的機能支払は、「農業者のみで構成される活動組織」または「農業者及びその他の者(地域住民、団体)で構成される活動組織」のほか、「旧市区町村区域等の広域エリアにおいて複数の集落または活動組織及びその他関係者の合意により、農用地、水路、農道等の地域資源の保全管理等を実施する体制を整備することを目的として設立される広域活動組織」があります。

 

 この広域活動組織は、農村RMOがイメージする‘旧小学校区程度のエリア’と同様と考えることができ、広域活動組織で多面的に取り組んでいる場合には、すでに農村RMOの原型となるものができているようなものです。……となると、広域活動組織と農村RMOの違いは何なのでしょうか?

 

 極端な話、これと言った大きな違いはなく、「多面的機能支払の取り組みに‘生活支援’を追加したもの」と考えて良いでしょう。農地と多面的機能の維持だけでなく、高齢化により高齢者への生活支援が急務となっていることから、農業者も非農業者も「生活の場である地域コミュニティの維持を頑張りましょう」という、‘人口減少時代への備え’としての施策なので、新しいことではなく、これまであった施策のアレンジと考えます。

 

次号では「農村RMO」と「地域協働体」の関係性を解説していきます。

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