毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第47話(idea 2023年2月号掲載)

今月のテーマ

地域運営の落とし穴㉛ 「コミュニティ支援」のスキルとは?

支援すべきはプロセス。向き合うべきは現場。

 

 「NPO法」こと「特定非営利活動促進法」では、不特定かつ多数のものの利益に寄与することを目的に20種類の分野が定められています。その19番目にあるのが「前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動」であり、1~18番目の活動を行う団体・活動に対してのサポート活動を意味します。これがいわゆる「中間支援(第45・46話参照)」を指しており、‘NPOを支援するNPO’という言い方もされる由縁です。当センターが誕生した時期は、まさに‘NPOを支援するNPO’が全国に広まっていました。

 

 特定の社会的課題の解決に向かって取り組む人たちに対する支援が強化されていた時代ですが、いまは、NPO支援よりも自治会や地域コミュニティを支援する仕組みが求められるようになっているように感じます。実際に「集落支援員」や「地域コミュニティ推進員」などを配置したり、「地域運営組織(当市で言う地域協働体)」を設立し、有給職員を配置するなど、これまでには見られない動きが各自治体で始まっているからです。

 

 しかし、人員配置をしたから上手くいくかというとそうではなく、業務のあり方を創り出し、機能させていかないと空回りしてしまいます。では、「コミュニティ支援」に必要とされるスキルとは何なのでしょうか?

 

 地域づくり活動の支援は、表現しにくい難しさがあり、コンサルティングのような導き方をしてしまったり、良かれと思って支援することが仇になったり、感情移入してしまうことで支援が支援でなくなることも……。そもそも、当の対象者が支援を求めていなければ成立しない話で、でも、支援者も「何か事業をしなければいけない」という観念から講座や事業を仕掛ける。その結果、事業を増やしてしまい、求められていない支援の繰り返しという負のスパイラルに……。「支援してます!」ということが大事なのではなく、支援を求められた時にスムーズに対応できるように常に備えておくという心構えが重要な気がします。

 

 また、「委託費や補助金、交付金を出して何か事業をやってもらう」という発想が定着していますが、事業を実施する「前」が地域づくりでは重要です。事業の前、手前のところをサポートすることです。我々は‘話し合い支援’という表現をしていますが、表向きには見えにくい支援です。「そもそも事業を続けた方がいいのか」「住民はどう考えているのか」など、事業を進める前に立ち止まり、振り返りをしながら、丁寧に進めていくことを大事にしています。住民の本音を引き出しながら合意形成を促していく、すなわち「事業(成果)までのプロセスを支援」していくということ。そうしないと、負担の上に負担の積み重ねをしてしまうからです。

 

 次に、アウトリーチです。当センターの拠点はオフィスであり、他の支援センターのような貸室などの機能は持ち合わせていません(第45話に掲載)。従来の中間支援組織、NPOや市民活動団体支援の場合、支援の対象者たちは問題意識の高い人たちなので自ら相談などで施設に来ますが、広域の一関市であり、NPOよりも地域コミュニティが中心のまちでは、自ら相談に来るという展開はなかなか見込めず……。だから、自ら出て行き、地域の方とコミュニケーションを取りながら、課題やニーズを把握するようにしました。幸い職員数もそろっているので旧町村単位をベースに地域担当制として、一人1~2地域を支援するようにしています。ただ、地域担当制にしたところで、出ていく目的がないと意味がないので、取材を入れながら毎月情報誌(本誌)を発行し、情報(誌)を届けながら、情報(近況や困りごと含め)を伺うというスタイルを構築することができました。情報を届けながら情報を伺うことで相互関係の構築となり、また、最近では、「自由研究(本誌P9~10)」という名の‘このまちの記録を残していくための調査’で新しい出会いがあり、コミュニケーションの輪は広がっています。  

 

 NPO支援では、組織の基盤強化や事業運営のスキルアップなどが中心となるのに対し、コミュニティ支援は、アウトリーチとプロセスを支援することが重要、という違いがあると、自分たちの経験を通して感じています。

 

 そして、何よりの落とし穴は「NPOとコミュニティは両輪」であるということ。コミュニティ支援が注目される今だからこそ、NPO支援の視点を忘れてはいけません。両者が協働することにより、支え支えられる地域(まち)になっていくことと信じて、今日も現場に行ってきます。

 

 

 令和2年から始まった一関工業高校と厳美地域の協働体(厳し美しの里協議会)の協働事業。NPO法人須川の自然を考える会もアドバイザーとして関わっており、当センターはマッチングに関わった後、見守り支援を続けています。

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