毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第42話(idea 2022年9月号掲載)

今月のテーマ

地域運営の落とし穴㉖ 地域運営における各種団体の底力を侮るな

地域における「各種団体」の役割

 まちづくりや地域づくり活動の世界では、「各種団体」と表現される団体があります。これは、専門性をもった団体であり、いまでこそ「NPO」と表記されたりしますが、NPOは広義的な表現であり、もう少し絞り込んで考えておく必要があります。

 

 自治会はじめ、地区体協(〇〇地区体育協会)や消防団、福祉推進協(〇〇地区福祉推進協議会)などは、地域を舞台に活動するいわゆる「各種団体」です。専門的なテーマを持ち、これまで地域を支えてきました。今でも、です。しかし、地域活動に関わる住民が減り、役の担い手不足が課題となる中、その存在自体が負担視されるように……。人々が地域の中で、安心して健やかに暮らすために、しっかり支えてくれているはずなのに、です。

 

 確かに会員の高齢化や減少により、活動の停滞は否めませんが、かつて人が多かった時代の話を聞かせていただくと、精力的な取り組みや数々の伝説があり、それらを経験した人たちがまだ関わっているということは、それだけで地域における各種団体の底力はあるのです。

 

 専門的なテーマがなくても、青年部や婦人部(女性部)も、我々から見ればものすごく重要な役割を担っていたと思っています。地元就職が主だった時代は、就職と同時に地域の青年部に入り、親睦を深めつつ‘地域での暮らし’を考え、事業をしたり、時には婚活のようなことも。人々が支え支えられていたのですが、今は、「人」ではなく「情報」に支えられているように感じます。何をするにもインターネット検索をし、そこに出てくる情報があたかも正しいと判断してしまう。まちづくりに関する事例もそうですが、「情報」が基準になってしまい、「関わる人の考えや発想」がないがしろにされ、結果的に考える力が低下しているように感じています。

 

 かつては、年代ごとに地域に関わる仕組みが自然に構築され、相互交流相互学習を繰り返し、住民の娯楽や憩い、自治振興の基礎を築いていました。かたや現代は、技術の進展により集団から個の時代になり、地域と関わる流れが自然に訪れることは皆無に等しい状況となっています。だから、「地域づくり」という文脈の中で‘人の関わり’を創り出し、‘支え支えられて生活することの大切さ’を伝えていかなければいけません

なくすのではなく、イマの役割に合わせていく

 本誌でも度々取り上げていますが、地域住民が地域の役を受けないのは、単に役をやりたくないという理由だけではないようです。「その役が何をするのかが分からない」「関わったとして否定される」ことが人を遠ざけてしまっているのです。多世代が同居し、家庭内で情報の共有がなされていた時代は、地域の役やその内容なども家族会話の中で自然にインプットされていましたが、今は核家族が当たり前の時代となり、回覧板などで案内が回ってきても、‘そもそもの情報’がない状態なので、役を引き受けるためのハードルが高いのです。

 

 それに対して「役を担ってくれない」とこぼしても、ボタンの掛け違いです。これまでの当たり前が通用しない時代と捉え、地域内に存在する各種団体の目的や役割の重要性をしっかり伝えることから仕切り直しが必要です。やってしまいがちなのは、嫌われないようにと‘楽しいよ’と発信すること。受け手が求めているのは‘楽しさ’ではなく、その役割の‘必要性’に共感するための情報です。

 

 地域における各種団体にとって重要なのは、「地域住民の関わり」「継続性」です。見直しの時代であるいま、「役のなり手がいない」「負担が大きい」という安易な理由で無くすのではなく、目的を振り返り、「どのように現代流にしていくか」を考えることが大事です。安心安全な日々が続くと、‘いざという時の備え’につながる意識が低下します。何もなければいいのですが、何かあった時には地域における各種団体の存在が重要になります。しかし、何かあった時というのは非日常的なことなので、優先順位は低く考えられてしまいます。それゆえに各種団体の不要論につながってしまう……。

 

 人口減少時代を迎えるにあたり、役の担い手が減少し、慌てて後継者を探したり、育成の動きが進められています。明日、明後日に人口減少になるのではなく、20年程度の時間をかけて少しずつ減っていくわけですから、慌て過ぎず、今のタイミングでしっかりと仕切り直しをしてからでも遅くはありません。地域を支えてきた各種団体には底力があるのですから、その力を発揮できるよう、目的と活動内容を現代に合わせていきましょう。

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