毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。

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第34話(idea 2022年1月号掲載)

今月のテーマ

地域運営の落とし穴⑱

空き缶を拾うのは市民の権利である

  一関市では今年、一関市長選挙、一関市議会議員選挙がありました。市長選は新人1名のほか立候補者がなく、無投票となりましたが、市議会議員選挙は定数26名に対し27名の立候補者が名乗りを上げ、政策論争が展開されました。ただ、街頭演説の聴衆は少なく、いま一つ盛り上がりに欠けているように感じ、‘市民意識’について考えてみたくなったので、素人ながらに論じてみます。

 

 私の子ども時代(いまから30年ほど前)、選挙と言えば後援会活動が活発に行われ、お願いの電話や街頭演説、個人演説会へのお誘いが‘うるさい’と思うくらいあったことを記憶しています。大勢の住民が支持者を囲み、エールを送っていましたが、最近の選挙では、街宣車からの音声だけが響き、街頭演説に足を止める人はごく少数……。人口の多い時代とは異なり、街頭演説をしようにも街中を歩いている人がそもそも少ないという現実(苦笑)や、その昔、選挙活動に一生懸命だった人たちも高齢になっているなど、高齢化や人口減少の影響も少なくないなと感じるところです(今年に関しては、コロナ禍で大勢を集めての演説会などが難しいという背景も)。

 

 同時に、「選挙離れ」と言われるように、関心のない市民が増えたのかなと考えてもみますが、市民が「まちづくり」に興味関心がないかと言うと、まちや地域に関心を持つ人は増えてきた(一時に比べ)という実感はあります。しかしそうした市民一人ひとりの「意識」が、「行動」とイコールになっているかというと疑問符が。

 

 ところで、ひと昔前に比べれば、ゴミのポイ捨ては減ったように感じますが、まったく無くなったという訳ではなく、‘見えるところ’へのポイ捨てが減っただけで、中山間地域などの‘人目につきにくいところ’には、明らかに「家庭ごみ」と思われるゴミが捨てられていたりします。

 

 当市内では様々な組織・団体が地域づくりに関連したアンケート調査を行ってきましたが、「地域の良いところは?」という質問には「自然が豊かなところ」という回答が上位にランクインする傾向が。しかし、何をもって「自然が豊か」なのでしょう?単に「緑」が多いことを「自然が豊か」かと言えば、それは疑問です。

 

 以前に「ポイ捨てされた空き缶を拾うのは市民の権利です」と加藤哲夫さん(「せんだい・みやぎNPOセンター」設立者/故人)に教わったことを思い出します。

  今までは、行政が市民にモラル公徳心を説き、効果がないと法律で取り締まってきた。ところが公徳心を説けば説くほど逆に市民の「公徳心」は廃れるのである。「公徳心」とは、公の徳の心であるから、市民がそのまちのことを自分たちのことであると感じていなければ、決して生まれてはこない。そして、そのまちや地域に所属していると考え、そのまちや地域のことに責任があると感じられるためには、そのまちや地域を自分たちがつくっているという実感が必要である。つまり、まちづくりなどに対する参加の権利が保障されていると実感していることが所属意識愛着をつくり、そこにモラルや公徳心が、人と人の間に生まれる。ポイ捨てされた空き缶を拾うことは、市民による自発的なまちづくりに対する参加行動であり、その自発性を励ますのは市民の自発性でなければならない。加藤哲夫(2011)『市民のネットワーキング市民の仕事術1』より抜粋(一部省略・文言変更あり)

  行政が「公徳心」を説くと、住民は‘やらされ感’を持ってしまいます。だからと言って、行政サービスとして回収業者に依頼したりするのではなく、「地域におけるソリューション(課題解決のためのしくみや方法)の構築」という視点をもつべきだということです。

 

 「市民参画」とは、多様な住民意見を反映し、住民の視点を生かした政策を行うために、地域政策の計画立案、意思決定において、行政と住民との意見交換、合意形成を行うことです。市民の意見が反映されるようになるために、とても重要なのですが、現実は、行政側の謳い文句になっているように感じます。

 

筆者が所有する水田付近の悲しい現実

筆者(センター長小野寺)の所有する

水田付近の悲しい現実。


 「市民参画」を高めるために必要なのは、‘イベントや事業などを実施する「プレーヤー」の育成’ではありません。市民の「所属意識」「愛着」をつくり、住んでいるまちや地域に対して「課題意識」を持つようにすること。そして「みんなで意見や考えを共有できる場「話し合いの場」を創ることです。「話し合い」の中から市民の意識を高めていかないと、市政、議会、地域に対しての「市民参画」は、まだまだ遠いものなのではないでしょうか?

 

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