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(idea2020年1月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

仕事の流儀№3 「たたら製鉄」

 本誌2020年3月号で取り上げた「舞草鍛冶」。日本刀の源流とも言われる「舞草刀」を作っていたとされる伝説の鍛冶集団です。良質な刀を作るためには良質な鉄が不可欠!……ということで、当時はどのようにして鉄を作っていたのか、名前としては一度は聞いたことがある「たたら製鉄」の仕組みについて、改めて勉強してみます。                  

 

 

※記載内容はあくまでも当センター独自調査の結果です。

■日本古来の製鉄方法

 「たたら製鉄」とは、粘土で築いた炉に、原料の砂鉄と、還元のための木炭を入れ、「鞴(ふいご)」を送風動力に使用して鉄を製造する技術で、極めて純度の高い鉄を製造することができる日本古来の製鉄技術です。

 

 6世紀以降には全国的に行われていたようですが、粘土で作られた炉は、できあがった鉄を取り出すためにそのつど取り壊されていたため(操業で炉の壁が侵食されて薄くなり、耐えられなくなる)、当時の製法など、全容は解明されていないのだとか。

 

 たたら製鉄が技術的に完成したとされるのは江戸中期で、それまでの製鉄作業が屋外で行われていた(野だたら)のに対し、「高殿(たかどの)」と呼ばれる建物の中で恒常的に行うようになりました。高殿の中には、湿気防止や保温のための地下構造(「床釣(とこつり)」)が造られ、その上に大型製鉄炉や「天秤鞴」を整備。連続操業が可能な大規模なたたらとなり、製鉄量が大きく増えました。

 

 1回の操業は3~4昼夜にも及びますが、砂鉄を鉄に還元するには、砂鉄が溶ける温度(約1400度)を保たなければならず、燃焼を促すために鞴で送風し続けます。この鞴のうち、「踏鞴」が「たたら」と呼ばれていたことが「たたら製鉄」の由来とされています。

 

 なお、鞴にも様々な種類があり、皮鞴、踏鞴、吹差鞴(箱吹子)などのほか、小さな炉を山の谷あいなど風通しの良いところに作り、自然通風を利用したというケースもあったのだとか。ちなみに舞草鍛冶も、この自然通風を利用していたという説がありますが、正確なことはわかっていません。

 

たたら製鉄のしくみ

■実証!たたら製鉄 ~ホッパの会ver.~

 前述の通り、たたら製鉄の技術は時代とともに大掛かりで複雑な構造に進化しましたが、根本的な仕組みは上記の通りです。

 

 この仕組み及びふるさとの歴史文化を伝承しようと、20年以上にわたり地元の小学生と一緒にたたら製鉄による鉄づくりを行っているのが大東町の「ホッパの会」です。

 

 同会による鉄づくり学習(一部)を密着取材させていただきました!

「ホッパの会」のたたら炉

 

 

 

 平安時代の某たたら製鉄の遺跡を参考にしたという「ホッパの会」のたたら炉。高さ1m20cm、炉内の直径は30cm、砂鉄・木炭30kgずつを投入可能なサイズです。同会では屋内と屋外に2つのたたら炉を造り、操業します。

1.砂鉄を採る 

 

 岩石や山の土の土砂から採取する「山砂鉄」と、河川に流れ込んだ土砂から分離して川床などに堆積した「川砂鉄」がありますが、たたら製鉄では「山砂鉄」を効率良く採取する方法が様々確立されました(「鉄穴(かんな)ながし」など)。

「砂鉄川」にて川砂鉄を採取する子どもたち

 

 

 

 

 

「砂鉄川」にて川砂鉄を採取する子どもたち。

100kg以上の砂鉄が採れました!

 

 

 

 

 

100kg以上の砂鉄が採れました!

「鉄穴ながし」を彷彿させる採取方法

 

 

 

 

「鉄穴ながし(※)」を彷彿させる採取方法も!

 

※山の上に設けた貯水池などの水を水路に走らせ、切り崩した土砂を流すことで比重の重い砂鉄を採取する方法。

2.炉を造る

 

 石英混じりの赤土に水と藁を混ぜ合わせ、踏みつけたり叩いたりして粘土質を強めます。できた粘土状の赤土は、円形の型枠に入れ、押し固めていきます。形を整えたら、焚き付け口、送風口、覗き穴を付け、さらに周囲を固めます。

地元で採取した赤土に水と藁を混ぜる

 

 

 

 

 

地元で採取した赤土に水と藁を混ぜる。

叩く!踏む!

 

 

 

 

 

叩く!踏む!

隙間ができないよう、木づちなどでプッシュ

 

 

 

 

 

隙間ができないよう、木づちなどでプッシュ。

型枠は一週間後に外し、成型しながら自然乾燥

 

 

 

 

 

型枠は一週間後に外し、成型しながら自然乾燥。

3.操業

 

 1時間の空焚き後、操業開始。砂鉄1kg、木炭1kgを10分間隔で投入するため、それぞれを計量する作業も。砂鉄と同量の木炭が必要になるため、木炭が豊富に産出できる山は不可欠。規模の大きな炉では1回の操業が3~4昼夜にも!

木炭を切り、5cmほどの大きさに砕く

 

 

 

 

 

木炭を切り、5cmほどの大きさに砕く。

砂鉄、木炭それぞれを1kgずつに計量

 

 

 

 

 

砂鉄、木炭それぞれを1kgずつに計量。

10分間隔で木炭と砂鉄を交互に溶解炉内に投入

 

 

 

 

 

10分間隔で木炭と砂鉄を交互に溶解炉内に投入。

約5時間、1400~1500℃の炉に投入し続けます

 

 

 

 

 

約5時間、1400~1500℃の炉に投入し続けます。

4.炉の解体

 

 全ての投入が終わり、小1時間放置した後、たたら炉を解体(操業で炉の壁は浸食されて薄くなるため、1操業で役目を終える)。中からケラの含まれる鉄塊を探し、水の中へ!ノロを取り除き、ケラを取り出します。

炎の残る炉を解体

 

 

 

 

 

炎の残る炉を解体。

解体した炉の中から鉄塊を探し出す

 

 

 

 

 

解体した炉の中から鉄塊を探し出す。

水に投入し、急激に冷却します

 

 

 

 

 

水に投入し、急激に冷却します。

30kgの砂鉄からできた12kgの鉄塊!ここからズクやケラを選別します

 

 

 

 

30kgの砂鉄からできた12kgの鉄塊!

ここからズクやケラを選別します。

 

 

ちなみに……

このケラを使って鋳造実習を行い、卒業記念品の文鎮を製作するそうです(^^)/

<参考文献(Webサイト)>

砂鉄川たたら製鉄学習館.「砂鉄川とたたら製鉄」. http://tatara.news.coocan.jp/seitetupage20.html(参照 2020-12-18)

日立金属株式会社.「たたらの話」. https://www.hitachi-metals.co.jp/tatara/index.htm(参照 2020-12-18) 

鉄の道文化圏推進協議会.「『たたら』とは」. https://tetsunomichi.gr.jp/history-and-tradition/tatara-outline/part-3/(参照 2020-12-18)

 

↓実際の誌面ではこのように掲載されております

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