(idea 2022年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

二言三言 143/115129

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「先祖が遺した物」を正しく「処分」する

~骨董屋は‘物’をつなぐ‘仲人’【後編】~

「好観堂骨董店」の店内の様子

店内の様子

木村 正明さん

 一関市山目字十二神に店舗を構える「好観堂骨董店」店主。昭和59年から毎月第4日曜日に仙台市青葉区の東照宮境内で「仙台古民具骨董青空市」を主催するほか、毎月17日は「業界専用骨董オークション交換会」として古物商許可を持っている人向けの市場を主催。趣味はスノーボード、テニス、空手など体を動かすこと。昭和28年、気仙沼市生まれ。

対談者 (有)好観堂骨董店 店主 木村正明さん   

   

聞き手 いちのせき市民活動センター  センター長 小野寺浩樹 

 敷居の高いイメージを抱きがちな「骨董屋」。両親や祖父母など、先祖から引き継いだ物品の処分に頭を悩ませても、リサイクルショップや出張買取業者など、処分先の選択肢が増えたこともあり、「骨董屋」に依頼するという選択をする人は多くはないでしょう。「終活」における「生前整理」に着手する人が増えている今、「骨董屋」が担う役割を伺いました(2回シリーズの後編)。

 小野寺 漆塗りのお椀など、会席膳の多くは骨董的価値はない(=骨董屋も買わない)という話※1でしたが、今後、会席膳等はどう扱うことが適当でしょうか?

 

※1 前編(情報誌『idea』2022年3月号)参照

 

木村 普段の食事で使えば良いんです。需要がないから値段がつかないだけで、物自体は良い物なんです。当時は高価な物だったため「大事に使った」でしょうが、値段がつかない今となっては、普通の食器と同様に使い、壊れた時に捨てれば良い。プラスチックのお椀とは全く口当たりが違いますから、ぜひ使っていただきたいです。

 

小野寺 お蔵入りにせず、使うべき、と。何年後かに価値が出る期待はないですか?(笑)

 

木村 ないですね(笑)なぜかと言うと「使い捨ての時代」だから。「割れても良い」という理由で、せともの屋ではなく100円均一店で食器を買う人が増え、せともの屋も潰れてしまった。需要が出ることはまずないでしょう。ただ、100年後くらいに、他の人たちがみんな処分した後に「これ、昭和1桁のものだよ」となれば、珍しがられるかもしれない。

 

小野寺 粘ったもん勝ち(笑)ただ、そうなるかどうかは分からないので、普段使い用にした方が良いということですね。

 

木村 昭和の食器は正直あまり面白みがなく、古さしか感じませんが、明治以前の食器は分厚かったり、絵柄の図案に独創性があったり魅力が多いので、必ずどの時代でも興味がある人はいます。それに、震災や空襲で焼失してしまったものはもう二度と戻ってきませんから、金額うんぬんではなく「残っている」ということ自体が貴重です。

 

小野寺 千厩で毎年開催される「せんまやひなまつり」にも江戸時代の雛人形が展示されますが、やはり価値がある?

 

木村 「価値」と言う表現はちょっと違うかな。200年も前のものが、今の時代に残っているということはすごいけど、たぶん「高価な物だから残していた」のではなく「たまたま残っていた」。昔は雛人形なども服のおさがり同様「自分の時に飾ってもらった雛人形を、自分の娘にも」と、代々使ってきたはず。それがどこかの時代で「自分の娘には新品が良い」となり、祖父母が孫のために新品のお雛様を贈る文化になってしまった。過去の人が使ったものを嫌がる、人間の感覚が変わってしまったんですよね。

 

小野寺 代々使う文化のままなら、もっと多くの家に残っていたわけですね。雛人形まで使い捨て状態……。でも人形を作る側は心を込めて作るわけで……。

 

木村 もちろん。昔の職人さんたちは特に、金額どうこうじゃなく、自分の技術を見せたかったわけです。そのために精魂込めて仕事をしたのですが、今の人たちは「1日〇円」という労働単価。だからプラスチックに目鼻を描いたような物でも5万や10万と高いんですよ。日本人のもつ「高い物は良い物」というイメージも影響していて、「孫には良い物を」と10千円の雛人形より10万円の雛人形を選んでしまう。逆に、木に漆をかけて、着物も全部刺繍したような本当に良いもの(古いもの)が、今の需要では千円台になってしまっていて……。

 

小野寺 そうすると、今の時代の五月人形や雛人形は将来も骨董品としての値段はつかない?

 

木村 全くつきませんね!

 

小野寺 「作品」か「商品」か、ということですかね。

 

木村 要は需要の問題ですから。希少価値のあるもの、1点ものは欲しい人がつきやすい。ちなみに、今は正絹の着物ですら値段がつかないことが多いです。東京には正絹の古着物の100円均一店まであるほどです。

 

小野寺 正絹の着物が100円!?

 

木村 以前、茶道をしていた亡き母の着物を処分して欲しいと50着程預かり、私の主催する骨董市で出品したことがありますが、状態が良い物であっても、古い物に袖を通す人が少なくなり、着物としてではなく、リメイクしたり、小物作りの材料として購入する人の方が多かったように感じます。

 

小野寺 着物の「着物」としての需要がなくなると、値段設定は確かに難しいですね……。

 

木村 私たち骨董屋の品物も「値段はあってないようなもの」と言われがちですが、私たちはプロなのでちゃんと値段がつけられます。業界のその時その時の卸値段に準じているので。古物商のライセンスを持った人しか入れない市場があり、私も月に2回主催※2しますが、そこで値段が決まってきます。

 

※2 古物商間の古物の売買又は交換のための市場を経営するには、「古物商」の許可はもちろん、「古物市場主許可」が必要。

 

小野寺 骨董業界そのものは今も盛り上がっているのですか?

 

木村 正直、日本人は骨董品を買わなくなり、今は中国の富裕層の間で骨董品ブームです。ただ、それもテレビなどの影響が大きく、誰かが「鉄瓶が良い」と言えば鉄瓶ブームが起こる、という感じですよね。鉄瓶ブームは去ったので、鉄瓶も需要が少なくなりました。

 

小野寺 かつて骨董品に熱心だった人が収集した物は今はどうなっているんでしょうか?

 

木村 それこそ終活の年代に入った人も多いので「市場で売って欲しい」と頼まれることも増えてきました。買った当時より安い値段にしかならない時は切ないですが、そうやって世に出てきてさえくれれば、後世に残ってくれますからね。

 

小野寺 後世に残すべきものかどうかのアドバイスをしてくれる人の存在が必要ですね。

 

木村 分からないことは分かる人に聞くことが一番です。骨董屋に出すべき物、リサイクル店に出すべき物、捨てて良い物、そして金額うんぬんではなく「家で大切にすべき物」のアドバイスはいつでもしたいと思いますので、お気軽にご相談ください。

 

小野寺 残念な「終活」をしないように、ですね。

 

〈2回シリーズの後編 前編はこちらから〉

(有)好観堂骨董店

 住所 一関市山目字十二神123-2 

 電話 0191-23-1888

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