(idea 2020年5月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

二言三言 143/115129

‘美術品’と‘祈りの対象’の狭間で

~人とのつながりをカタチに~

京佛師 佐久間渓雲さん

京佛師 佐久間渓雲さん

 昭和31年生まれ。大東町出身(在住)。中学校卒業後、高村光雲先生に師事をした京都の仏師・吉岡宗雲尊師に7年間弟子入りする。23歳で鶴岡(山形)で別の仏師に師事した後、24歳で帰郷、父親であり兄弟子の佐久間白雲が構えた工房・黙笑庵にて父の後を継承する。弟(石川昇明)も仏師として工房を構える。バスケットボールが趣味で、その実力は60歳以上の部で全国大会に出場するほど。

対談者 京佛師 佐久間渓雲さん

    

聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺浩樹

彫刻家の中でも仏像を専門に制作する「佛師(仏師)」。仏像に木を多用するのは仏教における日本の特徴だったようですが、近年は海外製かつ工場で大量生産される安価な木彫りの仏像も流通するようになっています。修行をしても職人として生計を立てていくことが難しい世界において、当地域には仏師として活躍を続けている兄弟が。知られざる仏師の世界についてお伺いしました。

小野寺 15歳で丁稚奉公に入ったとのことですが道具の使い方から教えてもらえるんですか?

 

佐久間 最初の頃は一日道具研ぎですよ。何するわけでもなく、ただ道具を研いで。そのうちに台座などに彫られる「地紋彫り」をいらない木を使って練習して、実際の台座を彫り、それが仏を彫る基本になるのです。それも教えてもらうんじゃなく見て盗むしかないんです。

 

小野寺 作品を見せてもらえる機会はあったんですか?

 

佐久間 京都は分業制で、木取り、彫刻、漆塗り、金箔押、彩色など、それぞれ工房を構えてるんです。兄弟子が彫ったものを次の工程に持っていかせてもらえるようになると、そういう店と顔見知りになれて。良い作品が入ると「ちょっと見においで」と声をかけてもらえるようになるんです。東北訛りと、我ながら人柄が良かったんでしょうね(笑)

 

小野寺 一人で彫れるようになったのはいつくらいですか?

 

佐久間 5年目に兄弟子が荒彫りしたものを仕上げる機会をもらったものの、全体を見ないで集中してそこだけ彫るもんですから、けっきょく兄弟子が手直ししてから納めて。そこから1年間は頼まれなかったです

きちっと自分で仕上げられるようになったのは6年目を過ぎてからですね。

 

小野寺 岩手に戻ってからの仕事の依頼はどういう流れで?

 

佐久間 帰ってきても1から10まで彫れるわけじゃないので、数をこなし、腕を磨いてきました。岩手にも仏師はけっこういるんですが、仕事が続かないんですよ。私の場合、親父が北海道にもお客さんを持ってたので、北海道に年に2~3回一緒に行って、縁をもらって。その縁をつないで仕事をいただいて、今までお世話になっているのです。それから、戻って来た年に岩手県曹同宗青年会の5周年記念事業でインド旅行に参加させてらったんです。そこで岩手の若い和尚さんたちと仲良くなって、お仕事をいただいたり。

 

小野寺 ちなみに仏像の表情などは決まった型があるんですか。

 

佐久間 今頼まれている仕事の一つに釈迦十大弟子像があるんですが、京都の千本釈迦堂にある快慶が造ったとされる十大弟子像を手本とするわけです。ところが実際に行っても写真は撮れないし、インターネットや文化財の書物に掲載されている写真も正面から見たものなので、後ろの衣なんて想像して彫るしかないんです。顔の表情・手・腰のひねりは繊細で難しく、今でも苦行の道です。

 

小野寺 そもそも妄想の世界を立体化しているのが仏像の世界ですもんね。今は文化財の修復にも関わっているようですが?

 

佐久間 達谷西光寺の県文化財の不動明王坐像の修復の依頼を受けてるんですが、丈六仏と言って坐像の高さが約2m75㎝もあるんです。虫喰いなどで3分の2は新しく作らなきゃいけない状態なんですが、文化財は新しく作っても昔と同じような感じに仕上げていくことが大変なんです。修復の仕方も文化財担当の方から細かく指示を出されてます。平安時代に造られたこの仏の両腕や手を新しく作るわけですが、先人の仏師の刀の使い方と同じように仕上げていきたいと思います。

 

小野寺 技術料というのは仏師さんによって違うんですか?

 

佐久間 違いますね、たぶん弟の方が高いです(笑)大仏師にもなりますと、私たちより何倍も高いです。依頼されるお寺さんによって予算もありますので、結構厳しいですが、喜んでいただけるように頑張ってます。

 

小野寺 そもそも仏像などは誰がどういう時に依頼してくるものなんですか?

 

佐久間 例えば家族が亡くなり、お世話になったお寺に記念に何か残したいということで仏像の依頼があったり。お世話になっている北海道のお寺さんでは、娘さんが小児癌で、最期に何処に行きたいかと聞いたら「本堂に行きたい」と言い、本堂で仏様に手を合わせたのが最期だったと。その後、住職から「慈母観音像を娘のために納めたい」と依頼があったのが35年前です。その住職も身体を壊し、最後の仕事として「本堂の改築と本尊のお釈迦様をお願いしたい」と言われました。「最初の仕事から最後の仕事まで佐久間さんにお願いしたい」という想いを伝えられましてね。ありがたいことです。

 

小野寺 なるほど。けっきょく仏像を開眼させるのは和尚さんであっても、そこまでの状態は仏師さんが造るわけですもんね。

 

佐久間 そう、半分半分なんです。私は仏像に魂は入れられないけど、魂を込めることはできる。仏像には美術品という側面もありますが、私たち仏師としては、あくまでも「拝む対象物」を彫って与えていくことが役目ではないかと。

 

小野寺 東日本大震災の時にも様々動かれたようですが、やはりそういう想いで?

 

佐久間 被災したお寺も多くて、仮設のプレハブ小屋の中で、仏さんもないとこで葬儀やってるんですよ。一番仏さんにすがりたい時であるはずなのに。その時に、出来ることが何もなくなってしまったお寺に、少しでも役に立てればと思いながら仕上げた仏を届けました。全部で8体の仏を納めることができましたね。

 

小野寺 仏師さんの仕事って意外に身近なところに寄り添ってたんですね。

 

佐久間 助けたり、助けられたリ、親父もそうやってきたようです。お寺さんはもちろん、当時の製材業の方々からも。そういう意味で、親父には絶対かなわないなと思います。技術があれば続けられる仕事じゃなくて、人とのつながりが大事。日々を精進してまいります。合掌

 

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