(idea 2021年9月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

二言三言 143/115129

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~農地は‘限られた資源’【前編】~

一関農業委員会 会長 伊藤公夫さん (令和3年9月19日で任期満了)

一関市農業委員会 会長 伊藤 公夫さん

 平成24年9月から令和3年9月19日まで、一関市農業委員会会長を3期9年務める。高校卒業後、1年間の専業農家を経て、公務員となるが、以降も兼業農家として農業(水稲)に従事。東山町松川三室出身・在住。昭和18年生まれ。

対談者 一関市農業委員会 会長※ 伊藤公夫さん  ※令和3年9月10日で任期満了

 

    

聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺浩樹

 農業従事者の減少と高齢化により、遊休農地の増加が懸念される昨今。当市では令和3年4月現在、管内の農地面積18226haのうち、126haが遊休農地という現状。こうした現状を解消するため、「農地等の利用の最適化」が求められており、その推進役を担うのが「農業委員会」です。限られた「資源」である農地を、誰が、どのように守ることが「最適」なのでしょうか。

小野寺 まずは農業委員会の普段の業務内容を教えてください。

 

伊藤 そもそも農業委員会は昭和26年に施行された「農業委員会等に関する法律」に基づき、原則として市町村に一つ設置されています。一番の目的は「農地を守る」こと。農業における「土地」は何よりの「資源」です。限りある資源を「最適に活用」するため、農地の売買や貸借の許可、農地転用案件への意見具申などを行っています。

 

小野寺 昭和22年の農地改革とも関連しているのでしょうか。

 

伊藤 農地改革では、それまでの地主制度を解体、小作農家を解放し、自作農家※1を創出しました。そこで生まれた自作農家の権利を守り、食料自給率向上も図るため、昭和27年施行の「農地法」によって、農地に様々な規制がかけられているのです。

 

1 小作料を払って他人の土地を借り、そこを耕作する「小作農家」に対し、自分の土地を耕作する農家

 

小野寺 ここで言う「農地」というのはどのような土地を指しますか?

 

伊藤 地目が「田」や「畑」になっている土地(=耕作の目的に供される土地)と、採草放牧地が農地法の対象で、休耕地であっても、耕作目的に供されると判断されれば対象です。

 

小野寺 それらの土地を売買したり、転用する時には農業委員会の許可が必要になるのですね。

 

伊藤 下限面積が定められているため、全てが対象ではありません。実は令和2年3月までは50a(5反歩)以上の農地が対象でしたが、現在は10a(1反歩)へと引き下げられました。つまり、今までは5反歩以上じゃないと売買できなかったのが、家庭菜園レベルの1反歩でも売買できるようになったんです。

 

小野寺 5反歩以上じゃないと売買できないというのはどのような理由からでしょうか?

 

伊藤 この要件は取得者側に立った要件です。農地の最適化を考えた時に、1反歩2反歩の農地では生産性が低い、つまり農業で飯が食えない、ということなんです。ナタもカマも持たない農業者がそっちこっちに出てしまえば、いずれ耕作放棄地につながる可能性があるわけです。トラクターまでは持てなくても、最低でも管理機※2くらいは持ってほしい。その目安が5反歩だったんです。

 

※2 田や畑の耕耘を目的とした農業機械の一つで、各種作業機との連結を前提としたものを指すことも(ここでは小型の耕うん機を指す)。

 

小野寺 なるほど。5反歩以上耕作する予定がある人にしか農地は持たせないよ、ということですね。それを1反歩以上に引き下げた背景というのは? 

 

伊藤 1反歩2反歩程度の農地が欲しいという需要が増えているんです。例えば定年後にUターンした次三男が、いざ家を取得したら庭先から向こうは他人の敷地だった。最低でも家庭菜園はやりたいのに……と。そういう要望を受け、1反歩以上の農地で農作業を行う意志があれば、農地を取得できることにしたんです。この下限面積は各農業委員会に裁量権があります。

 

小野寺 移住者やUターン世代の需要に応えたわけですね。

 

伊藤 最近は農家住宅を求めて来る人も多いです。家は広いし、いかようにも改造できる。本宅に加えて、納屋や蔵までついてきたりして。逆に農家住宅に住んでいた老夫婦が「東京にいる息子のところに身を寄せるから」と、欲しい人がいればいくらでも良いから処分したいと希望するケースも増えてきています。そのため、市の空き家バンクとも連携し、空き家バンクに登録された家に付属した農地に関しては、1a(1畝)以上耕作するのであれば取得できるという要件にもしてあります。

 

小野寺 農業委員会は目に見えない、新たな時代の流れにも対応しているんですね。

 

伊藤 当市の農業委員は24名おりますが、農政専門委員会と農地専門委員会の二つに分かれています。農政専門委員会は、法令に基づく議案を審議したり、市長への提言をしますし、農地専門委員会は「農地利用最適化推進委員※3」と連携しながら、譲渡案件があれば、適正な農地運営がなされているかどうか、定例会をもって検討します。

 

※3 担当区域における農地等の利用の最適化の推進を担当(現場活動)する。平成28年より設置された。

 

小野寺 例えば近年、農地への太陽光パネル(発電設備)の設置が増えてきていますが、農業委員会としてはどのような対応をしているのでしょうか。設置後、草刈りもされずに荒れている場所も見かけるので……。

 

伊藤 他市町村では2反歩以上は許可しないなど、要件をつけているところもあるようですが、当市の場合、規模の要件はつけていません。業者主導での設置運用なので、騙されないか、そんなに設置して大丈夫かという不安はありますが、「農地転用許可制度」のもと、農業上の利用に支障が少ない農地に誘導する程度で、申請があった分はやむを得ないという状況です。ただし、10~20年後には必ず撤去することになるので、契約時に撤去費用だけは先にもらうことを指導しています。

 

小野寺 そうなんですね。ちなみに今年、休耕地が例年以上に目につくのですが、米価の下落に伴う生産調整のようなものがかかっているのでしょうか?

 

伊藤 直接的な生産調整はないですが、これ以上米価が下がらないように、国から県へ、県から各市町村への圧力は感じます。国は「行政による生産数量目標の配分に頼らず、生産者や集荷業者・団体が中心となって需要に応じた生産を」という呼びかけに留めていますが、水田を活用して麦や大豆、飼料用米等の戦略作物を生産すると助成金が交付されるなど、事実上は水稲栽培を減らせということ。米価が下がっても補填はしないという意味です。

 

小野寺 それもあって、農協を介さずに産直やインターネットで個人売買をする人が増えているんでしょうね。

 

伊藤 一番米価が良かった時は30㎏で1万2千円くらいしたんです。今はその半分。川崎のメダカ米ですら7500円。せめて1万円はないと、生産者は生きていけないですよね。

 

                                   

(2回シリーズの前編 ★後編はこちら)

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